02117_企業法務ケーススタディ:顧問弁護士に相談できないケースとは?クライアント同士の紛争と弁護士倫理

<事例/質問>

当社は、□□機械と共同で新しい部品の開発を進めていました。

両社で技術情報を共有しながら試作を重ね、最終段階に入ったところで、□□機械から突然「やはり自社単独で開発を進める」との連絡がありました。

それだけでなく、当社が提供した技術をもとに□□機械が特許出願をしていたことも発覚しました。

当社の立場としては、協力関係を前提に開発を進めていたため、□□機械のこの行動は到底納得できるものではありません。

法的措置について相談したいと思いますが、□□機械もまた先生の顧問先ですよね。

しかも、先生を当社に紹介してくれたのは□□機械という経緯があります。

このような場合、どのように相談すべきでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

まず、大前提として、相手方の会社が当事務所の顧問先であるため、倫理的な観点から、顧問先の会社社長の承諾を得る必要があります。

これを怠ると、後に当事務所が懲戒を受けるリスクが生じる可能性があります。

当事務所では、クライアント同士が紛争となった場合、以下の方針で対応することを基本としています。

このような場合、考えられる選択肢は4つあります。

1 相手方の同意を得たうえで相談を受ける
2 同意が得られない場合は、双方の相談を回避する
3 ただし、中立の立場で仲裁の場を提供し、後見的な形で話し合いをサポートすることは可能
4 もし上記の対応が難しい場合は、それぞれに適した弁護士を紹介する(初回の1時間の相談料については、当事務所が負担するなどの調整を行う。ただし、実際の案件を受任する際の費用については関与しない)

具体的な対応策として、次の3つが挙げられます。

(1) 顧問先の会社社長の同意を得る
(2)当事務所が仲裁人として関与する
(3)他の弁護士を紹介する

相談者が、どの方法を選ぶべきかは、□□機械との関係や今後の事業戦略も踏まえて慎重に判断する必要があります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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