02154_「話せばわかる」は幻想。構造でトラブルを封じる法務技術──第三者を代理人に立てる
相手の理屈に勝つことではなく、話そのものを成立させない。 そんな“封じ方”が、企業法務には必要になる場面があります。 話すこと自体が、すでに罠 人と人とのトラブルというのは、理屈で解決するとは限りません。 相手が聞く耳を持っていれば、話せばわかるでしょう。 ところが世の中には、そもそも「話すこと」自体が罠、という場面が...
相手の理屈に勝つことではなく、話そのものを成立させない。 そんな“封じ方”が、企業法務には必要になる場面があります。 話すこと自体が、すでに罠 人と人とのトラブルというのは、理屈で解決するとは限りません。 相手が聞く耳を持っていれば、話せばわかるでしょう。 ところが世の中には、そもそも「話すこと」自体が罠、という場面が...
「会社役員には、そもそも休業損害が出ないのでは?」 交通事故などの損害賠償請求において、こうした問いを耳にすることがあります。 たしかに、会社役員は従業員のような労働契約の相手方ではなく、「会社の機関」としての地位にある――そのため、報酬も一律に「労働の対価」とは言いにくいのが実情です。 けれども、実務の現場では、役員...
買収の現場では、時として「何をしてくれるのか、よくわからない」人物に、相当な金額の成功報酬を支払う話が浮上します。 たとえば、ある上場企業の買収案件でのことです。 対象会社の株主や主要取引先との「調整」を名目に、第三者に多額の報酬を支払う契約が検討されました。 契約書には、「株主との各種調整」「取引先との折衝」「情報収...
企業のトラブルや課題というのは、表に出るものもあれば、裏に隠れたままのものもあります。 そして、その中間に揺れ続ける“グレーゾーン”という場所に、とどまり続けるものもあります。 法務の現場では、表に見えるストーリーと、その裏で進んでいる本音や意図が、まったく別の形で動いていることが少なくありません。 たとえば、ある企業...
たとえば、こんな場面を想像してみてください。 あなたのもとに突然、記者から一本の電話がかかってきます。 「そちらの報酬について、不当な要求があったと、当事者の方からうかがっているのですが……」 耳を疑うような内容です。 (そんな話は聞いていない。事実無根。むしろ円満に話が進んでいるはず――。) ところが、あなたの名を挙...
法務というのは、どこか「外に頼ればなんとかなる」と思われがちな領域です。 そして、法については、「困ったときはプロに任せるべきだ」というのも、ビジネスの鉄則でしょう。 とはいえ、それは「任せ方」さえ間違えなければの話です。 「誰に」「どう頼むか」が明確であってこそ、初めて成立するのです。 ある会社が、ガバナンス不全と悪...
企業がキャンペーンや懸賞を行う場面は、広報・販促の現場で日常茶飯事となっています。 さて、「賞金」や「受賞」というフェーズでは、企業側にとって、思わぬ落とし穴があります。 たとえば、・年齢確認の抜け落ち・受賞者が18歳未満だった場合の対応・賞金の送金に伴う個人情報の取扱いなど、「見落としがちな論点」が次々と浮かびます。...
法務デューデリジェンス、通称「法務DD」。 M&Aやファンドレイズの現場では、欠かすことのできない調査項目のひとつです。 この法務DD、投資検討段階では、どこまで“重”装備する必要があるのでしょうか。 実際の現場での扱われ方は、少々異なっているように思われます。 たとえば、投資案件が持ち込まれ、投資判断が下される前の場...
1 警察から会社に連絡がきたら、まず心がけるべきこと ある日、警察から会社に電話がかかってきた――。 こう聞くと、「うちは関係ない」「そんなこと滅多にない」と感じる方もいるかもしれません。 けれども実際には、企業が思いがけない形で捜査機関の関心を受けることは、決して珍しくありません。 そして、そんな突然の要請に、現場が...
ある会社での話です。 経営会議の場で、役員のひとりがこう言いました。 「この案件、正式な契約はまだだけど、先に動いてしまおう」「一昨日、ゴルフに行ったんだけど、先方のトップ以下3名が了解してたから、大丈夫でしょ」 その場では、誰も強く反対せず、話は流れていきました。 法務担当者も出席していましたが、何も言いませんでした...