02164_企業法務における安全の構造_「誰が見ても同じ判断」ができるか?
「たしかに確認はしました。でも、大丈夫そうだったので通しました」 ある中堅企業の担当者が発した言葉です 。 それは、取引先との契約書を担当者とその上長が確認し、法務部門もチェックをした上で決裁に至った案件でした。 ところが、後日、契約条項の一部について、親会社の監査役から「法令違反の懸念がある」と指摘を受けることになり...
「たしかに確認はしました。でも、大丈夫そうだったので通しました」 ある中堅企業の担当者が発した言葉です 。 それは、取引先との契約書を担当者とその上長が確認し、法務部門もチェックをした上で決裁に至った案件でした。 ところが、後日、契約条項の一部について、親会社の監査役から「法令違反の懸念がある」と指摘を受けることになり...
「前任者からそう聞いていました」 現場で問題が起きたとき、よく耳にする言葉です。 その裏には、暗黙のルールや文書化されていない手順、口頭だけで引き継がれてきた慣行が、当たり前のように存在しています。 たとえば、ある企業の経理部門では、「この処理、正式なマニュアルはないんです。でも、◯◯さんから『こうやればいい』と聞いて...
ヒヤリハットは「共有しないと」意味がない 「ヒヤリとしたが、報告するほどではない」「現場ではよくある話だ」「あとで話題にしても、どうしようもない」 ある作業員は、こうも言いました。「一瞬だけ危なかったんです。でも何も起きなかったし、わざわざ言うことでもないと思って・・・」こうした言葉が、組織の中で交わされているとすれば...
「情報管理には“気をつけていたつもり”でした」サイバー事故や個人情報漏洩の報道で、こうした発言が関係者から繰り返されることがあります。 けれども、「つもり」では済まされないのが、情報漏洩というインシデントの厳しさです。 ある情報通信系のスタートアップで、クラウドに保管されていた顧客データが、外部から閲覧可能な設定になっ...
痴漢で逮捕された――懲戒は可能か? 社員が刑事事件の嫌疑をかけられたとき――企業は、どのように対応すべきでしょうか。 たとえば、通勤電車内で痴漢行為をしたとして社員が逮捕された場合。 企業としては「即刻クビにしたい」と思うかもしれません。 けれども、ここでもやはり「感情より構造」「処分より静かな出口」「冷静な見きわめ」...
焦点は「職種」ではなく「副業の中身」 ある人事担当者から、そんな相談を受けたことがあります。 本人に確認したところ、「生活費が足りなかったので・・・」と。 たしかに、副業解禁時代の昨今、副収入を得る手段として夜職を選ぶ人がいるのも現実です。 とはいえ、焦点となるのは「職種」そのものではありません。 問われるべきは、その...
“ちょっと投稿しただけ”が、企業全体を揺るがす時代に たとえば、ある従業員が昼休みにスマホからフェイスブックを開き、ちょっと愚痴を書き込みました。 「うちの会社、マジでクソ」「あの上司、ほんまムリ」 本人としてはストレス発散のつもりです。 ところが、アカウントには実名、プロフィール欄には勤務先が明記されており、位置情報...
「不倫」=「解雇」ではない 芸能人の不倫スキャンダルが連日のように報道され、企業役員や社員が辞任・処分に追い込まれるケースも後を絶ちません。 経営者によっては、「社員が不倫した? それならすぐに処分だ」と、反射的に処分を指示する人も少なくありません。 しかし、私生活上の問題を理由に懲戒処分をするには、高いハードルがあり...
不祥事の「境界線」は、意外なほど見えづらい たとえば、ある社員が週末に飲酒運転で摘発された。 あるいは、勤務時間外にSNSで過激な発言をして炎上した。 こうした「私生活上の非行」を理由に、企業が懲戒処分を行うことはできるのでしょうか。 企業秩序を守るという名目で、企業経営者が厳正な対応を取りたくなる気持ちはわかります。...
独自の判断は、事故の元 ある会社の営業部において、次のようなケースがありました。 「過去の契約を参考に、こちらでひとまず契約書のドラフトを作ってみました。なかなか出来がよかったので、契約書案と断ったうえで、先方に渡しました。最終的には、法務部でやりとりすることも伝えています」 見よう見まねで契約書を作成し、法務部に相談...