「儲かっているから大丈夫」。
この言葉ほど、経営者の判断を鈍らせる要因はありません。
PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。
評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。
たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。
検査値は一瞬だけ改善しても、内部の状態は何も変わっていない。
「一瞬の整合」
を健全性の証拠と勘違いすれば、致命的な結果になります。
法的現実はもっと冷徹です。
会社が存続できるかどうかを決める要素は、たった2つ。
債務超過の有無と、資金が尽きる速度。
それだけです。
見かけの黒字に安心して、BSの損傷を放置する。
この順番の誤りが、倒産を現実に変えます。
経営者がまずやるべきことは、PLとBSを同時に検証する体制を整えることです。
利益の出方と、資産・負債の質を、同じ基準で測り切ること。
そして、PLの
「良いニュース」
をBSの
「悪いニュース」
で相殺していないか、冷徹に点検することです。
黒字は
「安心」
ではありません。
黒字は、経営者に突きつけられた
「検証の出発点」
にすぎないのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所