02185_黒字=安全という誤解。PLとBSを突き合わせて判断せよ

「儲かっているから大丈夫」。

この言葉ほど、経営者の判断を鈍らせる要因はありません。

PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。

評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。

たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。

検査値は一瞬だけ改善しても、内部の状態は何も変わっていない。

「一瞬の整合」
を健全性の証拠と勘違いすれば、致命的な結果になります。

法的現実はもっと冷徹です。

会社が存続できるかどうかを決める要素は、たった2つ。

債務超過の有無と、資金が尽きる速度。

それだけです。

見かけの黒字に安心して、BSの損傷を放置する。

この順番の誤りが、倒産を現実に変えます。

経営者がまずやるべきことは、PLとBSを同時に検証する体制を整えることです。

利益の出方と、資産・負債の質を、同じ基準で測り切ること。

そして、PLの
「良いニュース」
をBSの
「悪いニュース」
で相殺していないか、冷徹に点検することです。

黒字は
「安心」
ではありません。

黒字は、経営者に突きつけられた
「検証の出発点」
にすぎないのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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