02190_まずは「ミエル化」。数字と計画を言語化しなければ再生は始まらない

「何とかなる」。

再生の現場でこの言葉が出たとき、私は必ず数字を求めます。

「何とかなる」
は、
「何ともならない」
からです。

経営危機は、感覚や気合では乗り切れません。

再生の第一歩は、ミエル化──すなわち現状を数字で可視化することです。

PL(損益)、BS(財産)、資金繰り(週次・日次ライン)、そして未来シナリオ。

この4点を揃えて初めて、現状と危機と打ち手が一望できます。

ここで重要なのは、数字を並べるだけで終わらせないことです。

どの資産を守るのか、どの負債を削るのか、誰が・いつ・何をやるのか。

これを言葉にする。

言葉にするからこそ、計画は現場を動かす力を持つのです。

実例を挙げます。

J社は赤字が膨らんでいたものの、PL・BS・資金繰り・未来シナリオを1枚にまとめ、取引先と金融機関に提示しました。

批判も出ましたが、根拠が明示されていたため議論は前進し、スポンサー探索につながりました。

交渉は早期にまとまり、再生の道を確保できました。

一方、K社は、PLと資金繰りを別々に見ていたため、黒字感覚のまま資金を失っていきました。

取引先や金融機関との打合せは終始和やかにみえましたが、PLしか示せず、資金の尽き方も打ち手も不明瞭でした。

結果、取引先の不安は高まり、交渉そのものは整いませんでした。

J社とK社、差を生んだのは業績ではなく、現状のミエル化と、未来の打ち手を一枚で整理した資料でした。

現状を正しく示すこと。

これを抜きに再生は始まりません。

多くの経営者が頭では理解しています。

問題は、
「ミエル化」
そして
「言語化」
という行動に移せるかどうか、ということなのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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