01517_営業は、気合(精神論)ではなくサイエンス(方法論)に変化している

低成長でデフレーションが顕著な現代においては、営業は、データと科学で緻密に戦略をたて、細かいことにこだわる戦術によって行うことが求められます。

一例を申しあげますと、

売り上げ=
(潜在客数×来店率×成約率×平均客単価)+
(来店客数×リピート率×リピート成約率×平均リピート客単価)

として計算されます。

売り上げを伸ばすには、
潜在客数を増やすか、
来店率を上げるか、
成約率を上げるか、
平均客単価を上げるか、
リピート率を上げるか、
のいずれかの方法によるしかありません。

すなわち、
「売り上げが低迷している」
という状態を改善するのであれば、
1 平均客単価が減少しているのか、
2 成約率が悪いのか、
3 来店率が悪いのか、
4 リピート率が下がっているのか、
5 潜在客数が減少しているのか、
6 そもそも市場自体が構造的に縮小傾向にあるのか、
などを分析した上で、それぞれに原因に対して有意となるべき合理的な手段を構築し、遂行すべきなのです。

いたずらに、
「気合」「根性」
と精神論を叫んだところで時間とエネルギーの無駄です。

科学的なアプローチを行って合理的な手順や段取りで進めていかない限り、営業はまともに機能しません。

大日本帝国海軍連合艦隊司令長官であった山本五十六は、
「やってみせ言って聞かせてさせてみてほめてやらねば人は動かじ」
といったそうです。

海軍のような指揮命令系統が整備されていて、最終目標が
「敵をより多く殺戮する」
という単純明快な組織ですら、このような状況です。

ましてや、営業活動、すなわち、
「暴力や威圧や詐術を用いず、人の潜在需要に働きかけ、購買意欲を顕在化させ、購買行動、すなわち時間とカネとエネルギーを費消してまで、特定のモノやサービスを購入するよう仕向ける」
という複雑で小難しいミッションを遂行しなければならない企業においては、海軍以上に現場への指示を、合理的で、細かく、具体的で、再現性を持たせるようにしないと組織は動きません。

ハウステンボスを建て直したH社の社長が建て直しの話をしていた際、
「『10%売上げを増やせ』という指示を出しても、現場には理解できない。現場への指示は明快で具体的であるべきだ。そこで『移動であれ、会議であれ、作業するのであれ、話をまとめるのであれ、10%スピードアップをしてくれ。1時間かかっている会議は50分で終わってくれ。お使いに行くときは歩いていかずに自転車を使ってくれ。こういう細かいところも含めて全てスピードアップをしてくれ』という指示を出しました。そうしただけで、売上が劇的に改善された」
ということをいっていました。

このように、生き残る企業(ハウステンボスの場合、「生き返る企業」ということになりますが)は、精神論、根性論ではなく、科学的で具体的な方法論が実践され、その具体的あらわれとして
「現場に対して確実に伝わる、現実的で合理的な指示」
が行われることが多いようです。

運営管理コード:YVKSF111TO115

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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