「古くからの取引先を大事にする」
のは結構ですが、この種の情実が保証や信用供与に及ぶと大変危険な徴候となって現れます。
中小企業の倒産原因で多いのは、連帯保証や過剰な信用供与によるものです。
一般に
「困ったときはお互いさま」
といわれます。
しかし、ビジネスでは、
「感情」
と
「勘定」
は峻別すべきであり、特に、
「かわいそうだから」
という理由で連帯保証をしたり、手形を使って連帯保証類似の行為をするのは絶対やってはいけないことです。
企業を経営していると、知人や友人から
「金を貸してくれ」
とか
「保証人になってくれ」
という依頼が舞い込むことがよくあります。
そして、そのような依頼に必ずついてくるのは、
「絶対迷惑をかけないから」
という言葉です。
しかし、冷静に考えると、事業をやっている会社に金を借りに来たり、保証人を依頼しに来たりする、というのは、銀行が見放したからであり、銀行が見放すのは、すでに相当程度銀行に迷惑をかけているからです。
人に迷惑を被らせている人間は、たいてい、迷惑を被らせることに鈍感になっています。
そして、そういう人間に限って、眉一つ動かさず
「絶対迷惑をかけないから」
というウソを平然といえるようになるのです。
いずれにせよ、こういう人間の話をまともに取り合うと、間違いなく身を滅ぼします。
助けを求めてきた知人や友人を見放すのはどうも気が引けるという場合には、見舞金を出して追い返すべきです。
ある経営者は、知人や友人が金の無心や保証の依頼に来た場合、
「大変だな。同情する。だが、申し訳ないが、これしかもっていない。見舞金として取っておいてくれ」
といって、状況に応じて10万円以内の適当な額を計算して、これを渡して帰ってもらうことにするそうです。
このくらいシビアでドライな考えをもてない経営者は、今のご時世、会社を経営する資格はない、といえるのではないでしょうか。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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