海外商品を輸入・販売する場合、一般的には、メーカーの現地法人や、メーカーと正規の販売契約を結んだ代理店によって、輸入・販売されます。
しかし、商品の内外価格差が大きい場合、本ケースのように他の業者や個人輸入代行等が海外から商品を直接輸入し販売するという方法が取られることがあります。
これは、複数の輸入ルートが並行することから、並行輸入といわれます。
並行輸入品は、その安い価格の代償として、返品や購入後のメンテナンスなど、アフターケアが不十分な場合があることはよく知られていますし、並行輸入品を買っておいて、正規代理店に持ち込んで修理を依頼しようなんて、随分図太い話です。
しかしながら、公正取引委員会としては、
「並行輸入品は価格競争を促進させる効果を有する」
との思想を有しており、その意味では並行輸入を保護するスタンスを取っております。
要するに、メーカー及び正規代理店としては、きちんと秩序だった国際展開をしたいし、各国の価格についても、地域の実情に応じて、最適な価格で販売したい、という経済的狙いをもっており、並行輸入を行う業者は、単なる秩序撹乱者として、
「邪魔で面倒な奴ら。消えてなくなっちまえ」
と思い、あの手この手奥の手使いながら、並行輸入業者や、並行輸入品を買った連中に嫌がらせをしようとします。
他方で、独禁法の規制当局である公取委は、
「どんな形にせよ、価格と品質の競争が激しくなれば、市場と消費者にとってはプラスであり、この競争の邪魔をするメーカーと正規ディーラーの方が不届き千万」
という感覚です。
ここで、並行輸入をめぐり、
「メーカー・正規代理店 VS 公取委・並行輸入業者・並行輸入品を買った消費者」
というタッグによる仁義なきデスマッチが展開される、という構図が浮かび上がってくるのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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