プロジェクト責任者が、企業トップに対し、
「現在の状況については結果的にはそこまで悪い状況ではないと考えていますが・・・」
などと前置きしながら報告をする場合、 たいていは、状況は悪化しています。
悪化、すなわち不快な状況にいたるには、
ゲーム空間の構造、論理、秩序、ルールの理解の不全
状況認知の不全
状況評価の不全
状況解釈の不全
展開予測の不全
ゴールデザインの不全
課題抽出の不全
対処行動選択肢抽出の不全
実行上のミス
等、実に様々な失敗の連鎖があるはずです。
そして、
「現在の状況については結果的にはそこまで悪い状況ではないと考えていますが・・・」
と言うプロジェクト責任者の、その認識ないし解釈そのものが
「不全」
となっている可能性があります。
企業トップが、不快な状況を変えようと、ゲームチェンジを行うのであれば、
「経路遮断」
を前提に、 現状総括をしなければなりません。
プロジェクト責任者が、どの部分から病巣部位が始まっているのかを認識していない状況では、自己保存バイアスが働き、
「経路依存」
が顕著となり、小手先のゲームチェンジとなって、また、より悲惨な失敗にいたるからです。
弁護士が加わったとしても、認知が歪んでいる責任者と、ロジカルな戦略を議論したところで、時間と労力の無駄になりかねません。
「現状総括すら困難であり、認知支援を」
と、企業トップが弁護士に相談するのであれば、非法律的案件として、
「現状総括DD」
を依頼することとなります。
企業にとっては、それすら、お金と時間を垂れ流すことになりますが、まずは現状の総括をしないことには、ゲームチェンジなど行えないのです。
こまめに顧問弁護士と連携をとり、フェーズが変わるごとに現状総括することは、予防法務に通じます。
「虫歯が広がってから虫歯の治療をはじめるよりも、虫歯にならないようにこまめに歯をメンテナンスすること」
に照らし合わせると、わかりやすいでしょうか。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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