建築主と周辺住民との間の紛争に関する行政指導が行われていることのみを理由として建築確認申請に対する処分を留保したことにつき、当該
「建築確認を留保したこと」
の是非をめぐって国家賠償請求訴訟が提起されたことがあります。
これに対し、最高裁判所(昭和60年7月16日判決)は、原則として
「建築主事が当該確認申請について行う確認処分自体は基本的に裁量の余地のない確認的行為の性格を有するものと解するのが相当である。(中略)建築主事としては速やかに確認処分を行う義務があるものといわなければならない」
としつつ、
「建築主が確認処分の留保につき任意に同意をしているものと認められる場合」
などには、当該留保も例外的に適法としました。
しかしながら、さらなる例外則として、
「建築主が右のような行政指導に不協力・不服従の意思を表明している場合には、(中略)行政指導に対する建築主の不協力が社会通念上正義の観念に反するものといえるような特段の事情が存在しない限り、行政指導が行われているとの理由だけで確認処分を留保することは違法である」
としました。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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