あっちを立てればこっちが立たず、という択一的課題を指します。
トレードオフ課題対する正しい課題対処としては、
「非選択課題(選ばなかった課題)について、決断力を以て一切放棄し、その不利を容認する」
ということが求められます。
もっともやってはいけないことは、
「トレードオフ課題に対して、いいとこ取りを模索する」
という態度・行動です。
たとえば、2020年オリンピック開催の是非は、医療資源が有限であることが前提である以上、
「オリンピックを開催するか、重症の老人を医療資源逼迫を理由に救済を先延ばしするか」
というトレードオフ課題でした。
ワクチン普及を進めることは、
「ワクチンを普及させて社会全体を救うか、副反応や拒否反応出た方々の犠牲を容認するか」
というトレードオフ課題です。
以上の状況を前提としつつ
「オリンピックは開催するが、医療資源逼迫を理由としては誰一人死なせない」
「ワクチンの普及・開発を進めるが、副反応等で誰一人苦しめない」
という
「いいとこ取り」
での態度で臨むことは可能でしょうか?
そういう
「いいとこ取り」
をした場合、どんなリスクが出るでしょうか?
すなわち、
「トレードオフ課題に対して、いいとこ取りを模索する」
という態度・行動で失うものは、何でしょう?
それは、
「時間」
と
「機会」
という、もっとも貴重な資源(一度喪失すると不可逆的に喪失し、再調達が絶対不可能)です。
いいとこ取りの姿勢で、(出てこない、出てくるとしても長期の時間や労力資源が必要となる)完全解を探して、グズグズしていると、時間と機会を失ってしまい、最悪の結果に陥る、ということになるのです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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