02005_友人のベンチャー会社の負債について、株主は肩代わりしなければならないのか(教えて!鐵丸先生Vol. 13)

<事例/質問> 

友人が作ったベンチャーの株式会社に一部出資しましたが、これが経営に失敗して、多額の負債を背負い込んでしまいました。

株主の私は、負債を肩代わりしなければなりませんか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

結論から言います。

株が紙くずになるだけで、あなたは多額の負債を肩代わりする必要はありません。

株式会社には法理論上、責任者はおりません。

株式会社制度は
「誰も責任を取ることなく、好き勝手やりたい放題でき、金もうけができ、もうかったら分け前がもらえるオイシイ仕組み」
として誕生したものです。

出資者はやばくなったら合法的に堂々と逃げ出せるように設計されています。

例えば、
「株式会社とは、社会に散在する大衆資本を結集し、大規模経営をなすことを目的とする。当該目的を達成するためには、多数の者が容易に出資し参加できる体制が必要である。そこで、会社法は、株式制度(104条以下)を採用し、出資口を割合的単位として細分化した。また、出資者の責任を間接有限責任(104条)とし、社員は、債権者と直接対峙せず、また出資の限度でしか責任を負わないようにしたのである」
という説明があります。

これは、要するに
「デカい商売をするには少数の慎重な金持ちよりも、山っ気のある貧乏人の小銭をたくさん集めた方が元手が集めやすい。とは言え、小口の出資しかしない貧乏人に会社がつぶれた場合の負債まで負わせると誰もカネを出さない。だから『会社がぶっつぶれても出資者は出資分をスるだけで、一切責任を負わない』という仕組みにしたのが株式会社だ」
ということです。

「株主は有限責任を負う」
とは、社会的には
「無責任」
という意味と同義です。

ちなみに、
「有限会社」

「有限責任組合」

「無責任会社」
「無責任組合」
という意味です。

「ホニャララ有限監査法人」
とは、
「監査法人がどんな不祥事を起こしても出資した社員の一部は合法的に責任逃れできる法人」
という意味です。

ただし、連帯保証の念書などを差し入れてしまうと話は別です。

これは、株主として責任を負うのではなく、保証人としてハンコをついてしまった結果、自業自得で保証人として責任を負うことになります。

ですから、債権者から
「株主としての責任」
などと迫られても、絶対にハンコをついてはいけません。

そうすると有限責任から無限責任に変わってしまいます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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