<事例/質問>
ネットで誹謗中傷されていますが、全くの事実無根ではなく、実際発生した事実であり、それが多少誇張されているだけで、書き込み内容は、ほぼ真実。
ただ、どんどん拡散して評判は最悪で、今年の採用にも悪影響が出始めている。
裁判して身の潔白を証明したいが、そもそも身が潔白どころか、真っ黒なので、裁判をしても負けて却って恥をかくだけだし、カウンターリリースをしようとしても嘘しか書けないし、嘘を書いたら却って炎上する。
何も出来ず、ただただ、会社の評判がだだ下がりするのを手をこまねいてみているだけなのでしょうか。
<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>
ここで、ある銀行の例を紹介しましょう。
この銀行は、知り合いのリース会社を通じて反社会勢力にお金を貸していました。
この事実が発覚し、マスコミやネットで炎上、株価も暴落しました。銀行は裁判で身の潔白を証明しようとしましたが、日本の裁判には2つの欠点があります。
まず、時間がかかります。大事件となると2年以上かかり、その間に悪評が広がり銀行が倒産する可能性もあります。
また、どんなに高い弁護士を揃えても、銀行に有利な判決が出るとは限りません。
むしろ、裁判で身が真っ黒であることが証明されてしまいます。
こうした状況に対処するため、日本では新しい手法が考案されました。
それは、銀行が独自に
「裁判所」
を作る、つまり第三者委員会を設置するという方法です。
例えば
「あずさ地方銀行」
という裁判所を設け、ここで裁いてもらいます。
この委員会は銀行がスポンサーで運営され、裁判官も銀行に忖度しやすい環境です。裁判は迅速に進み、数ヶ月、場合によっては数週間で結果が出ます。
だから、第三者委員会の委員には東京高裁OBなどの弁護士がずらっと並んでいます。
第三者委員会は、スポンサー企業をクソミソに言いません。
非常に忖度してくれるし、まるでコールアンドレスポンスのように、
「ウチって無罪かな?」
と呼びかけると、
「無罪!」
「やっていない!」
と応じてくれる、そんな関係性があります。
ただ、シミ1つない全くの真っ白の美白、というと、クソ茶番であることがバレバレで却って炎上します。
そこで出てくる結論は、
「たしかに一部暴走分子が組織活動ではなく、個人として勝手に動いたが、これら心得違いした関係者・担当者は全て処分されており、問題は解消している、一過性のもので構造的なものではない、お金もしっかりきっちり返してもらっている、原因も、はるか以前の付き合いがダラダラ続いていただけで正式な絶縁をして原因レベルで解消しており、再発防止策もすでに構築済みである。その意味では、一時期、特定の担当者の暴走による一過性の特異な事件であったが、すでに過去のものとして解消しているし、今後再発することもない」
という
「限りなく白に近いライトグレー」
のような言い方をします。
事実無根ではなく、実際に非がある場合でも、このように対処する方法があります。
法的手法は日々進化しており、本やメディアでは教えてくれない対処法も存在します。
常に本質を把握し、状況に応じた対応策を考えることが重要です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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