一般民事事件で、ある日、クライアントから
「最高裁に上告されました!」
と相談がありました。
まあ、よくある話です。
とはいえ、上告された側としては気になりますよね。
「相手はどんな理由で上告してきたのか?」
と。
そこで、上告理由書(正式には「上告受理申立理由書」)を入手しようと、最高裁の担当書記官に問い合わせました。
すると、こんな回答が。
「弁論が開かれる場合には、副本(相手の書面のコピー)が送達されます。でも、それ以前に入手したいなら『送達申請』をしてください」
なるほど。
でも、ここでふと考えました。
「そもそも、この書面、見る必要ある?」
上告審は、基本的に“放置”でOK
最高裁の役割は、法律の解釈を統一すること。
つまり、
「この事件が日本の司法にとって重要か?」
という観点で判断されます。
単なる事実認定の争い(たとえば「Aさんがこう言った」「Bさんがこうした」みたいな話)を持ち込んでも、最高裁は
「いや、それ高裁で終わってるでしょ」
とスルーします。
実際、上告が受理されるのはごくわずか。
判例や学説が分かれている特別なケースでもない限り、反論書面を出すまでもなく、
「放置」
が最適解です。
つまり、そもそも最高裁での上告審は、法令解釈に重要な問題がある場合に限られ、事実認定を争うような主張は基本的に門前払い。
判例や学説が割れているような特殊なケースでない限り、反論書面を提出するまでもなく
「放置」
が最適解、ということなのです。
上告理由書の送達上申すら不要! 結論:「放置プレー」
そこでクライアントにこう説明しました。
「上告理由書の送達上申すらせず、放置プレーが一番」
クライアントも
「なるほど」
と納得。
とはいえ、
「万が一、上告が受理されたらどうします?」
という不安もあります。
でも、その確率は、“隕石が自宅に直撃するレベル”です。
その場合は、開き直りましょう。
ついでに宝くじを買いまくりましょうか。
まあ、隕石が家に落ちたら、その埋め合わせとして宝くじが当たるに違いない?! ですね。
上告不受理の決定はいつ出る? → 最低3ヶ月、長ければ1年半
とはいえ、
「上告不受理決定がいつ出るのか?」
も気になりますよね。
こればかりは最高裁の調査官デスクの混み具合次第。
早くて3ヶ月、遅いと1年半かかることもあります。
これを聞いたクライアントは絶句していましたが・・・まあ、気長に待つしかありません。
まとめ:最高裁に上告されたら、まずは「放置プレー」
上告されたからといって、慌てる必要はありません。
・上告審は「法令解釈の統一」が目的。事実認定の争いは門前払いされる。
・判例・学説が分かれていない限り、反論書面は不要。基本は「放置プレー」。
・上告受理される確率は隕石が自宅に直撃するレベル。
・不受理決定までの期間は、最低3ヶ月〜最長1年半。
最高裁まで持ち込まれたからといって、大騒ぎする必要はありません。
冷静に状況を見極めて、必要なときに動けば大丈夫です。
それまでは、気長に待ちましょう。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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