倒産が目前に迫った会社では、会社の命運を左右する
「ガバナンス」
を誰が握るかが重要になります。
そのために、相手へのけん制として弁護士を募ることは、一手として非常に有効です。
ここでいう
「相手」
とは、単に会社を狙う外部の第三者だけではありません。
たとえば、企業価値が落ちたタイミングで買収を狙う投資ファンドや競合企業など、会社の資産や事業を安く手に入れようとする外部の存在もいます。
しかし、それだけではなく、銀行や金融機関などの債権者が、貸付金の回収を最優先し、会社の存続よりも清算を選ぼうとするケースもあります。
さらに厄介なのは、倒産処理を生業とする弁護士や会計士(いわゆる「倒産村」)が、会社の再生ではなく、スムーズな倒産処理を進めようとするケースです。
彼らの視点では、会社を救うよりも
「いかに整理するか」
が優先されることが多いため、経営本部が望む形の再生とは異なる方向に舵を切られる可能性があります。
だからこそ、
「倒産村の傘下ではない」
弁護士を募ることが、前提条件となります。
ここで問題になるのが、弁護士チームの名称です。
一般的に
「リーガルアドバイザリーボード」
と聞くと、高い視点から助言をするだけの組織のように思われがちです。
しかし、アドバイスだけでは会社は救えません。
例えば、火事が発生したときに、現場で
「このままでは燃え広がるぞ」
「あそこの消火器を使うといい」
などとアドバイスをするだけの人がいたらどうでしょうか。
もちろん、助言はありがたいですが、実際に消火器を手に取り、火を消す人がいなければ意味がありません。
もっと厄介なのは、
「じゃあ、手足は手前どもが動かします」
としゃしゃり出てくる人たちの存在です。
彼らは、一見すると実務的に動いているように見えます。
しかし、その動きの裏には、会社を助けるどころか、逆粉飾騒ぎを引き起こし、気がつけば葬儀屋のように会社を倒産処理してしまうケースが少なくありません。
こうした事態を防ぐためには、名称からして明確に
「助言するだけではなく、実務に関与するチーム」
であることを示す必要があります。
その意味で、
「リーガルサポートコンソーシアム」
という名称がふさわしいのです。
チームの名称は、単なる呼び名ではなく、その組織の役割や方針を示す大切な看板です。
名前ひとつで、会社の未来が変わることもあります。
この局面では最も重要になるのは、実務的な弁護団を組織することであり、その名称は、
「リーガルサポートコンソーシアム」
がふさわしい、ということになります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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