取締役は、会社に対して善管注意義務を負っています。
これは、
「会社の利益を最大限にするように、取締役として全力を尽くすように」
という、会社と取締役との間の委任契約に根拠を有しています(会社法330条、民法644条)。
また、この義務は、別名、会社に対する
「忠実義務」
ともいわれるものであり、会社の利益を横取りするなどして会社を裏切るようなことは法令違反とされています(会社法355条)。
そして、役員が会社からの借り入れる取引については、
「有利な条件で融資を受けたい取締役の思惑」
と
「確実な担保を取り、高い利息を設定したい会社の利益」
とが矛盾・衝突する契約(利益相反取引)となります。
このような会社の利益を損ねる危険性のある取引を行うには、当該会社の取締役会等の法定機関で当該取引を承認する決議を経由すべきことが法律上要請されています(会社法356条、365条)。
オーナー経営者がよくやりがちな、
「借り方が、あまり合理性がなく、はちょっと強引なやり方」
といった場合、この種の手続きを経由していない可能性もあり、取引の有効性自体に疑問が残るところです。
もっとも、株式を当該オーナーが100%所有していれば、誰の目も気にすることなく、やりたい放題といったところですが、外部の第三者に株式をもたせていたり、株式を公開していると、大きな問題に発展する場合があります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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