売買契約において商品の受取日時や場所が指定された場合であっても、単に
「指定された場所」
に商品を置いてきただけでは、売り主としての義務を果たしたことにはならず、きちんと売買契約の買い主に受け取らせる、という行為が必要です。
もっとも、受け取る、受け取らないは買い主の責任であるにもかかわらず、
「売り主が、いつまでも商品を約束どおりの日時に提供する義務から免れられない」
というのでは、それはそれで売り主にとって酷な話です。
そこで、売買契約の対象物を約束の場所まで持参して、後は、買い主の
「受領」
という行為だけがあればよいだけ、という状態をつくれば売主はその後の責任(履行遅滞等)を負わないこととされました(民法第413条、492条)。
なお、このような買い主側の
「受領遅滞」
という状況が生じれば、売り主は買い主に対し、それ以降、発生した商品の保管費用を請求することもできます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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