サブリースの一番の問題は、
「一定額の賃料を長年にわたって確定的にもらい続ける保証がない」
ということです。
不動産屋から、
「定期的に賃料を自動で増額させていただきますから」
などという甘言が用いられ、あたかも長期の賃料保証がなされているケースがあります。
しかし、たとえ、このような定めがあったとしても、一定期間後に賃料が減額される可能性を否定することはできません。
すなわち、賃料については、不動産の価値が周辺環境、景気、不動産市況等によって影響されやすいものであることから、借地借家法により、借り主には賃料減額請求なる権利が認められています。
借地借家法というと、
「“個人”の借り主を保護する趣旨で制定されたものであり、借主が“事業者”であるときは無関係だろう」
などと即断する方もいらっしゃるかもしれませんが、事業者であっても同法の保護を受けます。
上記サブリースという仕組みからすると、
「2段階の賃貸借を包含する1つの事業性の強いプロジェクトであることから、個別に1つの賃貸借関係だけを抜き出して借地借家法を適用するのは不合理だ」
という有力な学説もかつては存在しておりました。
しかし、最高裁は、
「借主が事業者で、しかも、賃料自動増額の定めがあったとしても、同法に基づいて賃料減額請求をすることができる」
旨判示し、サブリース業者が約束を違えて賃料の減額をできる(逆にいえばオーナーは賃料収入の一部を失う)、との法理が確立したのです(最高裁2003<平成15>年10月21日判決)。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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