紛争法務を実施する上で、いきなり訴訟を提起するのではなく、たいていの弁護士は、まず内容証明郵便による通知書を送ることを行い、裁判外交渉による解決を模索します。
内容証明郵便とは、いつ(確定日付)、だれが、だれに、どんな内容の文書を出したかということを、郵便局が証明してくれる郵便で、後日の紛争の証拠として非常に役立つものです。
内容証明郵便を出す際には、いろいろ注意点があります。
(1) 配達証明付にすること
まず、必ず配達証明を付けるようにしてください。
日本の民法では、意思表示は到達主義としているので、
「損害賠償を支払え」
等の意思表示も到達しないと、さらにいえば到達したことを証明できないと意味がありません。
相手に配達証明つき内容証明が配達されれば、
「上記郵便物は20XX年YY月ZZ日に配達されたことを証明します」
というハガキ(郵便物配達証明書)が、内容証明郵便の通知人に届きます。
(2) 求める趣旨を明確に
次に、意思表示の内容を明確にしてください。
カネを払ってほしいのか、ある行為をやめてほしいのか。
カネを払ってほしいなら、いくら払ってほしいのか、いつまでに払うのか、振込なのか現金持参なのか、払わなかったら利息はどれだけか。
この点が明確になっていないと、法律上の意思表示をしたことにはなりません。
よく素人さんの内容証明をみていると何を求めているかわからないものがあります。
こういう意味不明の内容証明を出すと、能力が低いとみられ、受け取った相手は
「この程度の内容証明しか書けないヤツが訴訟を起こすわけがない」
とタカをくくり、かえって交渉上不利を招きます。
その意味でもこの種の通知書は、求めるべき内容を明確に特定するよう、きっちりとした書き方をする必要があります。
(3) 回答期限を切ること
最後に、回答期限や支払期限を欠落した内容証明というのもよくみかけますが、非常に間が抜けた感じがします。
応答期限を区切り、それまでに応答がなければ、裁判を受ける権利を行使せざるを得ない旨書かないと、受け取った相手方も放置しても何のデメリットもないので、先送りしよう、ということになりかねません。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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