00599_企業の危機管理:企業危機が生じた場合の対処技術を身につける

企業危機を未然に防ぐこと、そのための内部統制やコンプライアンス体制を整備・推進することは、もちろん重要です。

とはいっても、生来的にミスを犯す習性ないし偏向を克服できない人間あるいは人間の集団が行うわけですから、ミスがエラーになり、エラーがリスクになり、リスクが危機に増幅するなんてしょっちゅう起こり得ます。

すなわち、危機の1つや2つ、百や千、あるいは万単位で、起こり得ることは避けられません。

「危機を絶対起こしたくない」
というなら、それはそれで簡単にできます。

リスクの根源である企業活動を止めてしまえばいいだけです。

ですが、リスクが根絶できますが、企業がなくなってしまえば、本末転倒です。

別の現実的な方法としては、

・企業危機が起こることを想定し、
・起こっても慌てず、
・起こった場合の対処技術、すなわち、シチュエーション・コントロールやダメージ・コントロールのスキルの存在を覚知し、
・これらスキルを意識的に習得し、
・これらスキル(リテラシーや認知スキルを含む)を有する「慌てず、騒がず、冷静に、大事を小事に、小事が無事にする」ような人材(外部専門家を含む)や体制を整備しておく

ことが考えられます。

また、有事になってから、慌てて、有事対応組織を整備しようとしたり、有事対応の考え方や、ロジックを体得し、実践しようとしても、絶対うまくいきません。

だいたい、慌てていいことは1つもありません。

時間的冗長性を喪失し、緊張する状態で、慌ててしまっては、どんなに偏差値の高い方の頭脳も、幼児以下の知的水準に劣化します。

その結果、
・「正解なき課題」について、正解を探し始めたり、
・「『(正解が存在しない課題について)正解を知っている』などという真っ赤な嘘をいけしゃあしゃあと公言して憚らない、立派(そうに見える)経歴や肩書を備え、バカ高いスーツを来て、バカ高いネクタイをぶら下げた、威風堂々とした、善意の詐欺師」に精神的に依存し、
すべてを失います。

有事の準備や心構えは、平時にこそしておくべきです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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