文書の保存期間は利用可能性を完全に喪失した時期を基準にすべきです。
一般に税務上の時効を基準として文書保存期間を定める企業が多いようですが、契約書や領収書等について、税務時効に基づき形式的に保存期間を定めるのではなく、後日の法的紛争も視野に入れて保存期間を定めるべきです。
商事時効を念頭にするなら5年ですが、民事時効や不法行為責任まで視野に入れるならさらに長くなります(例えば不法行為の消滅時効の最も長い期間は不法行為時から20年にも及びます) 。
したがって、処分証書や重要な報告証書は、税務上の時効に基づき形式的に保存期間を定めるのではなく、後日の法的紛争も視野に入れてしかるべき期間まで保存しておくべきです。
なお、原本保存が理想ですが、こちらは物理的なスペースを費消するので、
原本管理とデータ管理を概念区分し、
新しい文書管理ツールを活用することで、
永年保存が可能となります。
すなわち、
スキャニングをして、セキュアなクラウドで管理すれば、物理的スペースを費消することなく、文書に格納された内容を電子情報としてであれば半永久的に保管することができます。
なお、ICT技術の進化により、文書の管理技術の基本的思想も変化が起きつつあります。
すなわち、
「分類して整理せよ」
から
「分類や整理に時間を使うな。蓄積して検索せよ」
へと変質しました。
これに、スキャニングのスピードやOCRの精度や検索ソフトの向上の技術進化が重なり、文書管理は圧倒的に効率的かつ低コストで大量のデータを容易に管理できるようになっています。
なお、クラウドによる文書管理は、BCPに基づく分散管理を同時に実現できるので、災害や物理的障害にも耐性を発揮することになります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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