02194_裁判官ってどんな人_神様にも好き嫌いがある
民事裁判に関わっていると、つくづく感じるのは、「裁判というものは人間くさい制度だな」ということです。 とりわけ控訴審ともなると、そこに立ちはだかるのは、「神様のような存在」としての裁判官です。 神様といっても、雲の上から何もかもお見通し、というわけではありません。 むしろ、好き嫌いやこだわり、嗜好のはっきりした、一人の...
民事裁判に関わっていると、つくづく感じるのは、「裁判というものは人間くさい制度だな」ということです。 とりわけ控訴審ともなると、そこに立ちはだかるのは、「神様のような存在」としての裁判官です。 神様といっても、雲の上から何もかもお見通し、というわけではありません。 むしろ、好き嫌いやこだわり、嗜好のはっきりした、一人の...
「裏技で切り抜けられる」。 そう考える経営者は少なくありません。 かし、経営危機に必要なのは「裏技」ではなく、条件を定め、準備し、決断を実行する力です。 これを私は経営者の法務リテラシーと呼んでいます。 やるべきことは複雑ではありません。 第一に、不正を排除すること。逆粉飾は「言わない・やらない・許さない」と社内で徹底...
「裁判所の再生手続を使えば最後は助かる」。 裁判所を使わず、金融機関や取引先との交渉に固執する会社は少なくありません。 しかし、資金が尽いた時点で再生手続に入っても、条件はすでに大きく劣化しています。 取引先は離れ、スポンサー候補は動かず、事業価値は下がり、条件は一気に不利になります。 選択肢は大幅に狭まるどころか、消...
「法的整理をするか、しないか」。 経営会議でこの二択が議論されているとき、その時点で問いが浅い証拠です。 経営に問われているのは、制度に入るか否かではありません。 本当に問われているのは、「どの未来を選ぶか」です。 選択肢は複数あります。 (1)既存経営陣での継続(コストの再設計)(2)社内承継や外部プロ経営者の導入(...
「何とかなる」。 再生の現場でこの言葉が出たとき、私は必ず数字を求めます。 「何とかなる」は、「何ともならない」からです。 経営危機は、感覚や気合では乗り切れません。 再生の第一歩は、ミエル化──すなわち現状を数字で可視化することです。 PL(損益)、BS(財産)、資金繰り(週次・日次ライン)、そして未来シナリオ。 こ...
「もう少し頑張れる」。 この言葉ほど危険な判断はありません。 経営の現場で使われるとき、それはすでに遅れている兆候です。 再生において最大の敵は、遅延です。 資金が尽きる直前では、スポンサー探索も事業譲渡も分社化も消えます。 選択肢は机上から消え、資金繰りに追われるだけになります。 だからこそ、基準を決めておくことが不...
「法的整理は最後の手段だから、できれば避けたい」。 多くの経営者がこう考えます。 しかし、この理解は誤りです。 法的整理の本質は清算ではなく再生です。 裁判所の制度を使い、債権関係を整理し、時間を確保するための正規の手続です。 任意の交渉では行き詰まった場面で、秩序を回復するために用意された仕組みです。 禁じ手ではあり...
「逆粉飾、できますか」。 儲かっている会社を、意図的に赤字に見せかける。 通常の粉飾決算と真逆のこの発想は、裏技ではなく、ただの違法行為です。 逆粉飾を行えば、金融商品取引法・会社法・税法のいずれにも抵触します。 その瞬間に、経営者個人の責任が直撃します。 追徴課税や課徴金だけでは終わらない。 損害賠償、刑事責任、そし...
「黒字だから法的整理は無理」。 それは誤りです。 法的整理の可否は、黒字かどうかの損益ではありません。 債務超過の有無と、資金が尽きる速度、この2点で決まります。 会計は、一定期間の成果を示す道具にすぎません。 法は、いま・この時点での支払能力と財産状態を問います。 軸が違う以上、PL(損益計算書)の数字がいくら整って...
「儲かっているから大丈夫」。 この言葉ほど、経営判断を鈍らせるものはありません。 PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。 評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。 たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。 検査値は...