00443_オーバーローン状態で劣後順位の抵当権者が競売申立をしても無駄な理由

抵当権者としては、不動産の価格が低迷している時点では、「もうちょっと待ってみて、不動産価格が上がってから、競売を実施したい」という希望を持つことがあります。 この場合、自分に優先する抵当権者が競売を実施するのであれば、自分に優先する抵当権者が既に存在することを覚悟して抵当権者となったのですから、まだ諦めがつくかもしれま...

00442_抵当権とは

抵当権とは、不動産の占有を移転しないまま、債務の担保とした不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利をいいます。 平たくいえば、不動産を借金のカタに入れるが、時が来るまではそのまま使うことが許されるけれども、借金が払えないと(つまり、債務不履行が発生した場合です)、抵当権が実行=競売にかけられてし...

00439_職務著作とは

職務著作(法人著作)とは、従業員が創作した著作物について、使用者である企業に「著作者」の地位を直接与える制度です(著作権法15条)。 特許法にも類似の制度(職務発明)がありますが、こちらはあくまでも「発明者」は発明を行った当該従業員であり(発明者主義)、「職務発明と認められる場合には会社が相当な対価を従業員に支払って特...

00437_会社私物化をした場合に役員個人が負うべき刑事責任リスク

役員が自分が企業から融資を受けるという場合、民事上、取引の有効性が否定されることや、役員が損害賠償責任を負うことに加え、刑事罰を受けるリスクまで想定すべきなのでしょうか。 「会社を取り巻く多数の利害関係者を調整する」という目的を有する会社法は、役員による会社の私物化行為について、民事的な責任に加え、刑事罰による制裁を予...

00435_定期賃貸借制度が、不動産オーナーにとっての大きな意味と価値をもつ理由

借地借家法の規定だと、何だかいつまでも更新が繰り返されてしまいそうですし、実際に、裁判例も、借りる側に有利になるよう、「正当事由の存在」についてとても厳しく判断しており、これでは、逆に不動産オーナーにとってあまりに不当な結果となりますし、これでは、優良不動産の有効活用ができなくなってしまいます。 そこで、借地借家法にお...

00434_借地借家法における契約期間更新のルール

賃貸借契約とは、当事者の一方が他方に物の使用等をさせ、これに対し相手方は使用等の対価を支払うことを約束する内容の契約です。 民法は、賃貸借契約の「期間」について、「賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする(604条)」と定めるのみで、あとは...

00432_金融商品取引法(旧証券取引法)の規制スタンスの変化

数十年前までは、わが国の産業金融は、銀行の提供する間接金融が中心でした。 資本市場は「一攫千金を夢見る相場師たちの鉄火場」としてみられており、証券会社の地位や役割が低かったこともあり、直接金融、すなわち資本市場を通じた企業の金融システムはあまり重要視されていませんでした。 しかしながら、現代の資本市場は、「限りある金融...

00428_「事業会社への救済融資」を行うべきではない理由

企業が、取引先や関係先に対して事業資金の融資を行う、ということはよく見受けられます。 もちろん、収益が見込める事業を計画的かつ合理的に営んでいる限り、何もプライベートな企業なんかに泣きつかなくても銀行が貸してくれるはずですが、無計画あるいは不合理な冒険的事業を企図するような場合や、不祥事等が発生して企業の存続に疑義が持...

00427_DMを民間宅配便メールで送ると違法とされる理由

国民が自分の意思を他人に対して安心確実に伝達する手段が確保されることは、近代国家においては非常に重要です。 例えば、政治批判を含む議論以外のビジネスの分野でも、競合する第三者に秘密のまま自分の意思を意図する相手へ確実に送る手段が整備されていなければ、自由な競争すら危ぶまれますから、「安価で、安心確実に通信を行う」ことは...

00426_食品PL訴訟事件:こんにゃくゼリー事件

2007年頃から、こんにゃくを材料としたやや弾力性の高いゼリーを噛まずに飲み込み窒息してしまう事件が相次ぎ、社会問題にもなっていました。 そして、2008年7月、「子供や高齢者は喉に詰まるおそれがあるため食べないように」と記載された警告文に気付かず、1歳9カ月の幼児に凍ったこんにゃくゼリーを食べさせてしまい、窒息死する...