02167 _“言った”“言わない”の地獄から抜け出す技法_「信じるな」から始まる、トラブル予防の技術

「そういう意味では言っていない」 「いや、間違いなくそう聞いた」 この手のすれ違いは、企業活動の至るところで発生します。 そして、厄介なことに、どちらかが意図的にウソをついているわけではないことも多いのです。 むしろ、双方が「自分の記憶こそ正しい」と、本気で思い込んでいるのです。 そこにこそ、最大の落とし穴があります。...

01266_民事裁判のリアル_裁判官は書面しか読まない

民事裁判というと、テレビドラマのようなシーンを思い浮かべる方が多いかもしれません。 大きな法廷で、当事者が感情をぶつけ合い、証人が泣きながら語り、最後に裁判官が「判決!」と声を張り上げる――そんなイメージを持たれている方にとって、実際の民事裁判は驚くほど静かで、そして淡々としたものに映ると思います。 なぜなら、民事裁判...

02165_企業法務における安全の構造_(最終回)再発防止は「研修の構造」で決まる_“やったか”ではなく“根づかせたか”

「研修はしました」トラブル発生後に、そう釈明されることがあります。 確かに、企業として必要な研修を実施していた。受講記録も残っているし、社内メールでも周知済み。それなのに、なぜ起きたのか── 答えは、はっきりしています。 それは「研修“だけ”で済ませてしまった」からです。 研修は、実施すること自体が目的ではありません。...

02164_企業法務における安全の構造_「誰が見ても同じ判断」ができるか?

「たしかに確認はしました。でも、大丈夫そうだったので通しました」 ある中堅企業の担当者が発した言葉です 。 それは、取引先との契約書を担当者とその上長が確認し、法務部門もチェックをした上で決裁に至った案件でした。 ところが、後日、契約条項の一部について、親会社の監査役から「法令違反の懸念がある」と指摘を受けることになり...

02163_企業法務における安全の構造_「前任者からそう聞いていた」は通用しない

「前任者からそう聞いていました」 現場で問題が起きたとき、よく耳にする言葉です。 その裏には、暗黙のルールや文書化されていない手順、口頭だけで引き継がれてきた慣行が、当たり前のように存在しています。 たとえば、ある企業の経理部門では、「この処理、正式なマニュアルはないんです。でも、◯◯さんから『こうやればいい』と聞いて...

02162_企業法務における安全の構造_ヒヤリハットは“共有してこそ”意味がある

ヒヤリハットは「共有しないと」意味がない 「ヒヤリとしたが、報告するほどではない」「現場ではよくある話だ」「あとで話題にしても、どうしようもない」 ある作業員は、こうも言いました。「一瞬だけ危なかったんです。でも何も起きなかったし、わざわざ言うことでもないと思って・・・」こうした言葉が、組織の中で交わされているとすれば...

02161_企業法務における安全の構造_ クラウド時代のリスクは感覚では防げない

「情報管理には“気をつけていたつもり”でした」サイバー事故や個人情報漏洩の報道で、こうした発言が関係者から繰り返されることがあります。 けれども、「つもり」では済まされないのが、情報漏洩というインシデントの厳しさです。 ある情報通信系のスタートアップで、クラウドに保管されていた顧客データが、外部から閲覧可能な設定になっ...

02160_社員の不祥事にどう向き合うか_その5_痴漢で逮捕されても解雇はできない?_懲戒も休職も難しい時、どう動くか

痴漢で逮捕された――懲戒は可能か? 社員が刑事事件の嫌疑をかけられたとき――企業は、どのように対応すべきでしょうか。 たとえば、通勤電車内で痴漢行為をしたとして社員が逮捕された場合。 企業としては「即刻クビにしたい」と思うかもしれません。 けれども、ここでもやはり「感情より構造」「処分より静かな出口」「冷静な見きわめ」...

02159_社員の不祥事にどう向き合うか_その4_副業バイトでキャバクラ勤務!?就業規則違反にあたるか?

焦点は「職種」ではなく「副業の中身」 ある人事担当者から、そんな相談を受けたことがあります。 本人に確認したところ、「生活費が足りなかったので・・・」と。 たしかに、副業解禁時代の昨今、副収入を得る手段として夜職を選ぶ人がいるのも現実です。 とはいえ、焦点となるのは「職種」そのものではありません。 問われるべきは、その...

02158_社員の不祥事にどう向き合うか_その3_SNSで暴言、会社に炎上_懲戒処分はできるか?

“ちょっと投稿しただけ”が、企業全体を揺るがす時代に たとえば、ある従業員が昼休みにスマホからフェイスブックを開き、ちょっと愚痴を書き込みました。 「うちの会社、マジでクソ」「あの上司、ほんまムリ」 本人としてはストレス発散のつもりです。 ところが、アカウントには実名、プロフィール欄には勤務先が明記されており、位置情報...