00378_期間終了後、高額な値上げの受諾か退去を迫られる、借主にとってあまりに過酷な定期賃貸借契約

借り主の地位を強化しすぎてしまうと、不動産オーナーは、不動産を貸すということを躊躇するようになりますし、これが原因となり、かえって賃貸物件の円滑な供給を阻害することになりかねません。 そこで、借地借家法は、「更新がないことを前提とした賃貸借契約制度(定期賃貸借契約制度)」を設け、貸主、借り主の調整を図ることとしました。...

00377_「不動産なんて、一度貸したら、自分の所有ではなくなる」と言われる賃貸借契約の特徴

賃貸借契約では、一定の期間が経過すれば、当然に、借りた物を返還しなければなりませんので、もし、借り主が、借りた物を気に入るなどして、一定の期間経過後も、同じ物を借り続けたいのであれば、再度、貸主と交渉し、新たな賃貸借契約を締結しなければなりません。 民法は、「賃貸借の存続期間は、更新することができる(民法604条2項)...

00376_ノーアクションレター制度

ビジネススキームが法令に違反するのかどうかが判断できないような状況であるにもかかわらず、これを確認する手段が一切存在しないとすれば、企業は法令違反を必要以上に恐れてしまい(萎縮効果)、積極的な経済活動が阻害されかねません。 こうした事態を回避するために、規制緩和政策の一環として、ノーアクションレター(法令適用事前確認手...

00375_新規事業立ち上げ時のリスク・アセスメントの手法

企業が新規事業を検討する際、「いかに儲けるか」という積極的な検討課題とともに、「儲ける仕組が法律によって禁止されていないか」という保守的な検討課題が必ずつきまといます。 「これって、なんか儲かりそう!」という魅力的な事業であればあるほど、企業が行き過ぎた営利活動に突っ走らないように、必ず周到に規制の壁が用意されているも...

00374_株式を公開していなくても金商法が適用される場合

金融商品取引法(金商法)は、金融市場における取引が適切な情報に基づき公正に行われるようにするため、金融市場というインフラを用いる企業に厳格な情報開示を求めています。 金商法は、「金融市場というインフラを用いる企業」すなわち、株式公開企業を主な規制の対象とし、当該企業に適切な情報を開示することを要求しています。 株式公開...

00372_M&Aや事業提携等において、「名板貸」責任が発生する具体的場合

名板貸人は、どのような場合に、名板貸人の責任を負わされることになるのでしょうか。 自らの意思に基づいて約束を交わしたわけではない名板貸人に、私的自治の大原則を修正してまで、本来他人であるはずの名板借人が勝手に背負った債務まで弁済させるという重い責任を発生させるわけですから、それなりの要件が要求されます。 すなわち、1 ...

00371_M&Aや事業提携の際に発生する名板貸リスクとは?

江戸時代においては「連座制」なんて制度があり、自分に責任がなくても他人のケツを拭かされるということが当たり前のようにありましたが、近代法制においては「人は自らの意思に基づいた約束にのみ拘束される」というのが基本的な考え方であり、「自らが合意したものでない限り、他人が勝手に締結した契約に拘束されることはない」というのが原...

00367_国や独立行政法人と取引する企業が、ある日、突然、会計検査院に乗り込まれるリスク

日本国憲法第90条は「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない」と規定しており、これを受けた会計検査院法第20条は「会計検査院は、日本国憲法第90条の規定により国の収入支出の決算の検査を行うほか、法律に定める会計の検査を行う」...

00366_インサイダー規制がトリッキーに作用するストックオプション取引

ストックオプションの権利を行使して株式を取得する場合については、「厳格な手続きが予定されており、投資家による市場への信頼喪失が発生しない」という理由で、インサイダー取引に該当しないものとされています(金融商品取引法166条6項)。 ただ、「ストックオプションがインサイダー取引にならない」のはあくまで、株式取得面に限って...

00365_インサイダー取引が規制される理由・背景

金融商品取引法(旧証券取引法)は、「資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする(第1条)」という目的を実現するため、詳細な規定を設けています。 株価は市場において形成された客観的で公正な企業価値を反映するものであり、このような期...