02201_弁護士と「ハサミ」は使いよう_経営者のためのリスク管理三原則

想定外、では済まされない 想定外が起きたとき、人間の本性、そしてプロフェッショナルの本質が露わになるものです。 とくに、法務の現場ではそうです。 「想定していませんでした」と口にした瞬間、その者がプロかどうか、正体がはっきりと見えてしまうのです。 ある企業に対して、監督当局から厳しい指導上の要求が突きつけられたときのこ...

02197_「立派な社外役員がいるから万全」?!_「社外役員の弁護士が経営者を守る盾になる」という幻想

多くの経営者は、著名な法律事務所から弁護士を社外取締役や社外監査役として招き入れさえすれば、安心できるという甘い常識を持っています。 「金融機関にも『コンプライアンス体制は万全』と説明できる」「いざというときは、彼らが盾となって最前線で守ってくれるだろう」 社外役員となった弁護士が「会社を守る盾」になってくれると信じて...

02196_方便は戦術その3(最終回)_「嘘」と読むな、「戦術」と読め_誤読した依頼者に交渉の未来はない

「あの弁護士、嘘をついていないか?」――その疑いこそが危うい 法務の現場で、ある依頼者が言いました。 「最近、ウチの弁護士の発言、前と矛盾している気がするんです」「もしかして、あの人、何か隠していませんか?」 もちろん、疑念を持つこと自体は自由です。 しかし、そこには、依頼者として決定的な認識のズレがあります。 弁護士...

02195_方便は戦術その2_依頼者の一瞬の表情が交渉を左右する_あなたが弁護士の演技を潰していないか?

重要な交渉や和解協議の場に、私たち弁護士はあなた方の代理人として同席します。 その場面で、あなたの弁護士が、唐突に、極端に、声を荒らげ、相手方に強い語気で迫るのを見て、あなたはこのように不安に思ったことはありませんか? 「うちの弁護士は、本当にそこまで怒っているのか?」「感情的になって、交渉を壊してしまわないか?」「い...

02194_裁判官ってどんな人_神様にも好き嫌いがある

民事裁判に関わっていると、つくづく感じるのは、「裁判というものは人間くさい制度だな」ということです。 とりわけ控訴審ともなると、そこに立ちはだかるのは、「神様のような存在」としての裁判官です。 神様といっても、雲の上から何もかもお見通し、というわけではありません。 むしろ、好き嫌いやこだわり、嗜好のはっきりした、一人の...

02181_方便は戦術その1_弁護士の“二面性”を読み誤るな

法務の現場では、あの手この手が飛び交います。 ときには奥の手、場合によっては反則技すれすれの演技や方便。 その代表例のひとつが、「弁護士の二面性」です。 今回は、一見すると「ずる賢い」ように見える弁護士の行動の裏側にある、プロとしての思考と戦術についてお話しします。 弁護士が「怒るフリ」をする理由 たとえば、取引先との...

02151_顧問弁護士交代という選択:なぜ経営者は、顧問弁護士を“替えたくなる”のか

企業のトラブルや課題というのは、表に出るものもあれば、裏に隠れたままのものもあります。 そして、その中間に揺れ続ける“グレーゾーン”という場所に、とどまり続けるものもあります。 法務の現場では、表に見えるストーリーと、その裏で進んでいる本音や意図が、まったく別の形で動いていることが少なくありません。 たとえば、ある企業...

02150_非公式な話を公式に流されないために、弁護士ができること_情報戦時代の名誉と信用

たとえば、こんな場面を想像してみてください。 あなたのもとに突然、記者から一本の電話がかかってきます。 「そちらの報酬について、不当な要求があったと、当事者の方からうかがっているのですが……」 耳を疑うような内容です。 (そんな話は聞いていない。事実無根。むしろ円満に話が進んでいるはず――。) ところが、あなたの名を挙...

02149_弁護士は自動販売機ではない_企業が抱える“丸投げ法務”という病

法務というのは、どこか「外に頼ればなんとかなる」と思われがちな領域です。 そして、法については、「困ったときはプロに任せるべきだ」というのも、ビジネスの鉄則でしょう。 とはいえ、それは「任せ方」さえ間違えなければの話です。 「誰に」「どう頼むか」が明確であってこそ、初めて成立するのです。 ある会社が、ガバナンス不全と悪...

02129_スポット依頼は慎重に―顧問弁護士がいるなら、正しい手順と責任の線引きがカギになる

弁護士への依頼には、大きく分けて2つの形があります。 ひとつは、日常的な法律相談や契約書チェックなどを継続して依頼できる「顧問契約」。 もうひとつは、必要なときだけ単発で依頼する「スポット契約」です。 当事務所には、専門性や実績を評価いただき、大手の弁護士事務所でも手に負えなかった案件が、紹介を通じて持ち込まれることも...