02185_黒字=安全という誤解。PLとBSを突き合わせて判断せよ
「儲かっているから大丈夫」。 この言葉ほど、経営判断を鈍らせるものはありません。 PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。 評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。 たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。 検査値は...
「儲かっているから大丈夫」。 この言葉ほど、経営判断を鈍らせるものはありません。 PLが黒字でも、BSが痩せていれば会社は危険域にいます。 評価益や為替差益で一時的に数字が整っても、それは偶発的な要因の結果です 。 たとえ話をすれば、健康診断の前日にだけ暴飲暴食を控え、翌日からまた元の生活に戻るのと同じです。 検査値は...
法的整理は「終わり」ではない 「法的整理」と聞いただけで、経営者の多くは顔をしかめます。 倒産、破綻、廃業。 頭の中がすぐに“終わり”のイメージで埋まってしまうからです。 しかし、これは誤解です。 法的整理の本質は「事業再生」であり、「破壊」ではありません。 裁判所の制度を使って債権関係を整理し、利害調整を公正に進める...
「先生、うちは儲かっています。黒字です・・・それでも倒産できますか?」 先日、ある経営者からそんな相談を受けました。 ふつうに聞けば意味不明です。 黒字なら安全、そう信じている人が大半でしょう。 ところが、この質問は珍しくない。 むしろ現場では、よく耳にします。 そもそも「黒字=安全」という前提が、幻想にすぎません。 ...
事業承継の現場には、法務だけでは語りきれない「感情のもつれ」がつきものです。 親子間のわだかまり。 兄弟姉妹の不公平感。 義理の家族との距離感。 たとえば、長男に会社を継がせると決めていた父親が、いざ引退の時期が近づいてくると、急に決断を先送りにしはじめる。 あるいは、会社を手伝ってきた長女が、いくら貢献しても「経営は...
“うなずいていたから、理解していた”のは、本当か? たとえば、美術館の展示会で、音声ガイドを聞きながら歩いている人がいます。 黙ってうなずきながら、説明に耳を傾けている。 けれども、その人が展示内容を本当に理解しているかどうかは、外からは見えません。 「うなずいていたから、理解していたはず」とは、言い切れないのです。 ...
相手の理屈に勝つことではなく、話そのものを成立させない。 そんな“封じ方”が、企業法務には必要になる場面があります。 話すこと自体が、すでに罠 人と人とのトラブルというのは、理屈で解決するとは限りません。 相手が聞く耳を持っていれば、話せばわかるでしょう。 ところが世の中には、そもそも「話すこと」自体が罠、という場面が...
最近では、リモート会議の普及により、TeamsやZoomなどのツールを使って会議を行う機会が増えています。 移動の手間がなくなり、多拠点とのやり取りもスムーズになるなど、リモートならではのメリットも大きい一方で、記録の扱い方に関して新たな課題が生まれています。 特に問題となるのが、チャットログと正式な議事録、そしてAI...
資金調達の現場に入ると、つくづく感じることがあります。 どんなに緻密な準備をしても、案件は予定通りには進まないものです。 特に投資家との交渉では、最初の段取りを誤れば、その後は何をやってもズルズルと不利な展開に追い込まれていきます。 どれだけ立派なレポートを書いても、どれだけ法務リスクを正確に並べても、それだけで投資家...
企業経営において、適切な人員配置は非常に重要です。 役割が明確でバランスよく配置されていれば、業務はスムーズに進み、生産性が向上します。 しかし、企業が成長するにつれて、無駄が増えたり、業務の偏りが生じたりすることも少なくありません。 最近、ある企業の組織体制を精査する機会がありました。 その企業では、スタッフの業務を...
ビジネスの世界では、どの選択肢を取るかによって、同じ法律でも解釈が変わります。 これは、商売の値付けの考え方に似ています。 たとえば、老舗の製造業が新商品を開発し、価格を決めようとしているとしましょう。 営業部門は、「まずは市場に出しやすい低価格で勝負すべきだ」と考えます。 一方、財務部門は、「利益率を確保するために、...