02199_弁護士への報酬値引き交渉で信頼を失う企業の末路_プロが引く「信頼の損切り」ライン

企業が弁護士に求めるものは、危機の局面で実直に動いてくれる“プロフェッショナル”との信頼関係でしょう。 ところが、ときに、その信頼関係を自ら破壊してしまう企業は少なくありません。 今回は、教科書には載らない、しかし企業にとっては死活的に重要な「契約と信頼のリアル」について、実例をお話ししましょう。 信頼の上に成り立つ「...

02198_企業法務ケーススタディ:企業法務ケーススタディ:要件定義書を契約当日提示するベンダーと組むべきか?_ITプロジェクト炎上はここから始まる

<事例/質問> あるITベンダーとの交渉がうまくすすみません。 当方が「そちらから商品を買いたい。ただ、我が社で使えるかどうかわからないので、スペックや詳細の説明書(=要件定義書)を見せてほしい。見ないままでは、お金を払えない」と極めて常識的な要求をしているにも関わらず、ベンダーはこう返してくるのです。 ベンダー「ス...

02195_方便は戦術その2_「怒りの演技」に騙されるな _弁護士の交渉を見抜く技術

法務の現場では、弁護士が“怒る”場面に遭遇することがあります。 しかも、唐突に、極端に、激しく。 「この条件はふざけている。話にならん」「訴訟を辞さない」 声を荒らげ、机を叩き、身を乗り出して迫ってくる弁護士を前にして、「相当、怒らせてしまった」「これはもう引かざるを得ない」「本気で限界なのだろう」と受け取ってしまうこ...

02188_法的整理は禁じ手ではない。遅延と不備が会社を追い込む

「法的整理は最後の手段だから、できれば避けたい」。 多くの経営者がこう考えます。 しかし、この理解は誤りです。 法的整理の本質は清算ではなく再生です。 裁判所の制度を使い、債権関係を整理し、時間を確保するための正規の手続です。 任意の交渉では行き詰まった場面で、秩序を回復するために用意された仕組みです。 禁じ手ではあり...

02164_企業法務における安全の構造_「誰が見ても同じ判断」ができるか?

「たしかに確認はしました。でも、大丈夫そうだったので通しました」 ある中堅企業の担当者が発した言葉です 。 それは、取引先との契約書を担当者とその上長が確認し、法務部門もチェックをした上で決裁に至った案件でした。 ところが、後日、契約条項の一部について、親会社の監査役から「法令違反の懸念がある」と指摘を受けることになり...

02163_企業法務における安全の構造_「前任者からそう聞いていた」は通用しない

「前任者からそう聞いていました」 現場で問題が起きたとき、よく耳にする言葉です。 その裏には、暗黙のルールや文書化されていない手順、口頭だけで引き継がれてきた慣行が、当たり前のように存在しています。 たとえば、ある企業の経理部門では、「この処理、正式なマニュアルはないんです。でも、◯◯さんから『こうやればいい』と聞いて...

02162_企業法務における安全の構造_ヒヤリハットは“共有してこそ”意味がある

ヒヤリハットは「共有しないと」意味がない 「ヒヤリとしたが、報告するほどではない」「現場ではよくある話だ」「あとで話題にしても、どうしようもない」 ある作業員は、こうも言いました。「一瞬だけ危なかったんです。でも何も起きなかったし、わざわざ言うことでもないと思って・・・」こうした言葉が、組織の中で交わされているとすれば...

02152_アレンジャー契約_調整役の抽象的な価値をどう可視化するか_「書面に落とす」戦略

買収の現場では、時として「何をしてくれるのか、よくわからない」人物に、相当な金額の成功報酬を支払う話が浮上します。 たとえば、ある上場企業の買収案件でのことです。 対象会社の株主や主要取引先との「調整」を名目に、第三者に多額の報酬を支払う契約が検討されました。 契約書には、「株主との各種調整」「取引先との折衝」「情報収...

02141_ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化が、経営を守る_02「口約束」が契約違反に変わるとき

営業現場や経営会議では、スピードを重視するあまり、「とりあえず口頭で合意」する場面がよくあります。 けれども、その「言ったつもり」「聞いてない」が、あとになって高額な損害賠償リスクへと化けることがあります。 たとえば、ある中堅メーカーでの話です。 営業部長が、ある取引先の要望に応えるかたちで、「価格は従来どおりで、納期...

02139_仮運用中の決裁こそ、記録を残す―意思決定を見えるカタチに残せるかが、企業の分かれ道になる

会社のルールというのは、案外あいまいな時期があるものです。 特に、経営ルールの整備には、どうしても時間がかかります。 新しい組織が立ち上がるタイミングや、制度を切り替える局面では、どうしても「仮運用」の状態が生まれます。 要するに、ルールが整っていない間、現場では「仮運用」という言葉で日々の判断が下されることになります...