02133_感情ではなく事実を語れ―当事者が語ってはいけないこと
裁判というと、自分の思いのたけを語る場所だと思っている方は少なくありません。 「私はこんなに苦しんだ」「相手は本当にひどいことをした」「正義は自分にある」そうした強い気持ちを、裁判官の前でしっかり伝えたい、というのは、ごく自然な感情です。 けれども、こと民事裁判においては、そうした「思い」や「感情」を正面からぶつけるこ...
裁判というと、自分の思いのたけを語る場所だと思っている方は少なくありません。 「私はこんなに苦しんだ」「相手は本当にひどいことをした」「正義は自分にある」そうした強い気持ちを、裁判官の前でしっかり伝えたい、というのは、ごく自然な感情です。 けれども、こと民事裁判においては、そうした「思い」や「感情」を正面からぶつけるこ...
裁判所という場所は、想像以上に時間との闘いの真っ只中にあります。 どの法廷でも、朝から晩まで事件がびっしりと詰め込まれており、1件あたりに割り当てられる時間は本当にわずかです。 たとえば、ある民事事件の弁論期日では、午前10時から10分刻みで事件が組まれていくことも珍しくありません。 10時00分、10時10分、10時...
一般民事事件で、ある日、クライアントから「最高裁に上告されました!」と相談がありました。 まあ、よくある話です。 とはいえ、上告された側としては気になりますよね。 「相手はどんな理由で上告してきたのか?」と。 そこで、上告理由書(正式には「上告受理申立理由書」)を入手しようと、最高裁の担当書記官に問い合わせました。 す...
<事例/質問> 相手から内容証明が送られてきました。 「えっ、これってどういう意味?」「無視したらダメ?」「すぐに返信しないとまずい?」 はじめてのことなので、社内で大騒ぎとなりました。 相手方は、自分の会社よりも規模が大きく、世間的な認知度も評価も高いです。 ケンカになることは避けられません。 そこで、「回答書をどの...
裁判について、私はクライアントに次のようにお話をします。 裁判の本質:真実ではないストーリー 裁判は「真実を発見する手続き」ではありません。 判決は、原告・被告それぞれのストーリーを聞き、どちらのストーリーが「聞いて心地よいか」を判断して選ぶ場です。 これは、事実に基づいた冷静な判断というより、裁判官の感覚に響くストー...
ビジネスの現場では、「正解」が存在することが多く、その正解を見つけるためのルールや手順が整備されています。 たとえば、新商品の販売戦略を考えるとき、過去のデータや市場分析をもとに「何をすべきか」が具体的に見えてきます。 このように、正解に向けて効率的に資源を投入しながら進むのがビジネスプロセスの基本です。 一方で、法律...
「請求放棄」という訴訟手続きの終わり方は、表面上は自ら裁判を取り下げる形を取っていますが、実質的には「敗訴」に等しいといえます。 これは、裁判に負けたという事実を暗に認める行為であり、「勝ち目がない」「もう戦い続ける意味がない」との判断から行われる場合がほとんどです。 ですから、請求放棄は単なる裁判からの「手引き」では...
法律の世界において、 ・裁判官は、我々の味方でも相手の味方でもなく、コントロールできない「ジョーカー」のような存在です。 ・裁判官は、事件に関し、独裁権力を有している状況ですが、他方で、上訴によってさらなる別の上位の独裁権力のレビューにさらされる可能性もあるため、孤独な独裁者としてのストレスを抱えています。 ・裁判所と...
契約違反や不法行為、規制違反などで法律相談を受けた場合、弁護士は、相談者の意向を踏まえ、裁判外での解決を図るための交渉環境を整備します。 具体的には、相手に対して攻撃的な質問を行い、後の法的手続きで相手に不利な事実を引き出す戦略が取れるかどうかを慎重に検証します。 この検証には、厳密な証拠までは要求されないものの、少な...
<事例/質問> 友人から紹介された方がネットに詳しいということで、通販サイトを立ち上げてみる、という話になりました。 ですが、あまりその方はそれほどネットや通販に詳しいわけではなく、どこかに外注して通販サイトを作るということになってきて、見積もりも桁が違うものが出てきました。 そこで、話を取りやめにしたいと...