01544_「コンプライアンス」への視点──攻めのリスク管理戦略
相次ぐ企業不祥事のなかで「コンプライアンス」(法令遵守)が経営のキーワードになっている。 しかし私が違和感を覚えるのは、「コンプライアンス経営」が「倫理綱領の策定」と同義となっている点であり、「性善説に立ってみんないい子になりましょう、と道徳教育・修身教育をするような、倫理の問題」だと思っている企業が実に多いことだ。 ...
相次ぐ企業不祥事のなかで「コンプライアンス」(法令遵守)が経営のキーワードになっている。 しかし私が違和感を覚えるのは、「コンプライアンス経営」が「倫理綱領の策定」と同義となっている点であり、「性善説に立ってみんないい子になりましょう、と道徳教育・修身教育をするような、倫理の問題」だと思っている企業が実に多いことだ。 ...
昭和ないし平成初期の護送船団行政の時代であれば、官庁主導による保護育成と業界協調体制による救済がありました。 法務だのコンプライアンスだの細かいことに目くじら立てなくても、慣行と業界の相場感に従い、それでもわからなければお上の指導に依存していれば安泰でした。 すなわち、かつては、管理や法務は無視して、営業だけをしていれ...
法令遵守が各企業毎に自己責任で行わなければならない時代となった現在、管理、なかんずく法務管理を適正に行わないと、今後も健全に生き残ることは不可能です。 実際、金融・証券業界は、いち早くこのような時代の流れに適合して管理強化、法務強化を完了しました。 金融庁も金融検査マニュアルを作り上げました。 このマニュアルを見ると、...
ところで、昭和の時代においてもそれなりに企業不祥事が発生し報道されていましたが、「コンプライアンス」という言葉が取り沙汰されることはありませんでした。 昭和の時代においては、企業にとっては、監督官庁こそが、法制定者であり、法執行者であり、紛争解決機関であり、神様であったのです。 監督官庁と緊密な関係を保っていれば、そも...
会社法において、子会社の定義は次のようなものと定められました。 大前提の議論として、「株主有限責任」という株式会社の根本原理がありますので、いかに親子会社関係にあるとはいえ、株主有限責任のバリアーを通り越して、株式を有しているだけの別法人がいきなり子会社の不祥事の責任を取らされることはありえません。 しかしながら、会社...
株主総会の運営に関してですが、前世紀に主流であった「特殊株主・総会屋が暗躍し、会社の説明義務の不備を突かれる」等といった、修羅場あり、山場ありの総会対策はすでに過去のものとなりつつあります。 現在では、自らが投資する会社の方向性に興味・関心を有する一般投資家や、経営者の経営責任を追及すべく財務諸表を読み込み、徹底した理...
2005年会社法施行前の商法改正時代から、経済界から「株主代表訴訟が濫発されると、経営萎縮を招き、取締役のなり手がいなくなる」等といわれ、これをもとに、責任限定契約制度が導入され、2005年会社法においても盛り込まれました(会社法427条)。 責任限定契約とは、役員の賠償責任に上限を設定するもので、会社と契約を結んでお...
代表訴訟が提起されるに先立ち、まず、取締役の責任を追及する株主は、監査役に対して訴訟提起通知(60日以内に監査役が会社を代表して、法令違反をなした取締役を訴えることを求める通知)を発出します。 多くの会社は、この段階で株主の要求を突っぱねてしまいますが、状況によっては、監査役に訴えてもらうことも一計に値します。 次に、...
企業組織運営法務における有事としては、株主代表訴訟がまず挙げられます。 よく知られているように、1993年の商法改正により株主代表訴訟については、どれだけ多くの金額を請求しようと、訴額は一律95万円とみなされ、8,200円の印紙代を払えば提訴可能となりました。 この改正以降、株主代表訴訟提起の事実上のハードルがなくなり...
東京証券取引所では、株式公開会社の経営や株式市場の透明性を高め、また、一般株主を保護する観点から、上場会社に対して、「独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役)」を1名以上確保することを企業行動規範の「遵守すべき事項」として規定しています。 この詳細については、独立役員の確保に係る実務上...