02000_就業規則には普通解雇ができるとあるが中途採用社員を解雇できるか(教えて!鐵丸先生Vol. 44)

労働契約法16条は、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用(らんよう)したものとして、無効とする」と明文で規定しています。 この条文は、「解雇権濫用法理」と呼ばれる著名な判例法理が法律の明文となった(昇格した)ものです。 要すれば、「解雇の権利は、形式上・字面上、...

01999_辞めた従業員が「残業代を払え、(拒否したら)裁判する」と言ってきた(教えて!鐵丸先生Vol. 43)

「労働事件については当然企業側の言い分をしっかり聞いてくれるはず」という思い込みをもつ経営者は少なくありません。 裁判官一般でいえば、割と保守的で権威や体制にシンパシーある行動をとる方が多い、とみて差し支えないと思われます。 また、裁判官は、多数の事件を抱え、労働時間や残業などといった概念すら吹き飛ぶほどの仕事漬けの毎...

01984_試用期間明けから意図的なサボタージュと考えられる行動を続ける社員がいる状況とは

従業員が、(言や策を弄して)業務上疾病との認定を得ると、会社としては、会社に来ない人間に対して長期間相当な金銭提供をせざるを得ません。 さて、中途で入社した男性社員が、試用期間あけから、意図的なサボタージュと考えられる行動を続けたケースがありました。 男性社員は、いろいろ理由をつけては会社に来ようとせず、かといって、退...

01982_海外赴任中の従業員を制御するための文書作成の視点

文書を送って海外に赴任中の従業員を制御する、ということは、そのこと自体、他者制御課題です。 制御対象である相手方の認識や思考に立って、観察して、展開予測をしないと、戦理にかなった行動は難しいといえましょう。 制御対象である相手方の認識や思考に立って観察すれば、送ろうとする文書が、・(相手方にとって)承服しがたい内容・(...

01981_労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら_その2

労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら、「様々な選択課題を内包する、ケースないしプロジェクト」として、“時間的冗長性”と“対処チーム組成”を考えなければなりません。 まず、認識すべきことは、この対処課題には、「唯一の絶対的正解がない」という厳然たる状況です。 あるのは、「どれも正解とは、言い難い、いずれも...

01980_労務マネジメントにおいて文書による謝罪を要求されたら_その1

労務マネジメントにおいて、文書による謝罪を要求されたら、その対処は、「みようみまねでつくってみた謝罪文を、弁護士にみてもらって、ちょっと助言をもらって手直しすればいい」というものではありません。 あるいは、・相手方が、「相手の望む対応(文書による謝罪)をしない限り、アクションを起こす」と言ったのはブラフであり、相手の要...

01977_“パワハラ”事案を知ったときの会社対応

全体・概括として、・パワハラ罪やパワハラ禁止法というものは、法律的に明確な定義は存在しません。・“パワハラ”というものは、不定形で抽象的なものであり、被害者側が、5W1Hを含め、具体的な事実関係と違法性を主張として、固めるまでは、(言い方は不適切かもしれませんが) 会社側としては腕組みして待っていれば足りる話です。・そ...

01975_クライアントと弁護士の関係

弁護士と、クライアントとの関係は、民主的な文民統制における、ミリタリー(軍人)と、シヴィリアン(政治家)の関係と同じです。 ・ミリタリー(軍人。弁護士の暗喩)は、奉仕すべきシヴィリアン(政治家。クライアントの暗喩)に対して、判断の前提たる選択肢を抽出整理し、上程します。 ・その際、各選択肢には、客観性を貫いた、怜悧なプ...

01974_労働事件における交渉条件提示を会社側が躊躇あるいは放置していることのリスク

労働事件において、交渉のテーブルに双方がついた状況で、「交渉を進めるための(会社側からの)妥協的条件提示がなかなかできない」ことに相手方がしびれを切らした場合、訴訟(ないし労働審判)に移行、という最後通告を受けかねません。 弁護士としては、クライアントである会社側から、方針について「了承」をもらわないことには、相手方に...

01967_未払残業代事件における裁判所の対処哲学その3_裁判所からしょっぱい対応を受けた「未払残業代事件」

保守的・体制寄りとかどうとかいう前に、未払残業代事件については、裁判所全体として、企業側にそうとう厳しい対応をしてくる、という認識を明確にもつべきです。 すなわち、・労働時間はきっちり管理させ記録させる、そして・記録された時間どおり、単価を乗じた労賃はすべてきっちり払わせる。・払わなければ、耳を揃え、利息をつけて強制的...