02039_証人尋問の前、クライアントへの助言は?(教えて!鐵丸先生Vol. 51)

<事例/質問> 

鐵丸先生は証人尋問をされることがあると思いますが、証人尋問の前に、クライアントや証人にどんな助言をしていますか。

もしよければ、教えてください。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

証人尋問の前には、以下の点について助言しています。

1 緊張しないこと

証人尋問の前に結果はほぼ決まっている。

勝ち筋なら、冷静に自分のストーリーを伝えることが大切。

負け筋の場合でも、感情に訴えて同情を誘うことが重要。

2 地味なスーツを着ること

服装は裁判所での印象を左右する。

派手すぎない、堅実なスーツを選ぶように。

3 ハンコを忘れないこと

ハンコを忘れると指印を押すことになり、これは少しおどろおどろしい印象を与えるかもしれない。

4 リラックスすること

証言は記憶テストではない。

リラックスして自分の言葉で話すことが大切。

5 陳述書をよく読むこと

事前に陳述書を確認し、記憶と違う部分や矛盾がある場合は、前日までに知らせるように。

6 裁判官をしっかり見ること

証言中は裁判官を見て、滑舌良く、はっきりと話すことが重要。

7 覚えていないことは正直に言うこと

記憶があいまいな場合は、その理由を含めて
「覚えていない」
とはっきり伝える。

8 反対尋問では間を取ること

質問と答えの間に3秒ほど間を置くことで、異議の機会を与えずに進行できる。

9 厳しい質問への対応

矛盾を指摘された場合は、
「事実でないように聞こえるかもしれませんが、私の言っていることは事実です」
と言い切る。

10 反対尋問は時間稼ぎを狙うこと

わざとゆっくり答えることで、相手の弁護士の時間を消費させる。

相手が焦ったら、さらにゆっくり答える。

11 裁判官の補充尋問に注意すること

裁判官の質問はわかりにくい場合があるので、
「何をおっしゃっているのかわかりません」
とはっきり伝えることが大切。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/67416

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組の4番です

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02038_サラリーマンを辞めて起業するために気をつけること(教えて!鐵丸先生Vol. 50)

<事例/質問>

FIREブームの影響で会社を辞めて起業した先輩がいますが、いきなり失敗して田舎に戻り、奥さんとも離婚しそうな状況です。

僕も起業を考えているのですが、失敗しないためにはどのような点に気をつければよいでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

サラリーマンから起業する方が失敗する原因はいろいろありますが、主に3つの要因が挙げられます。

1つ目は、お金に対する意識が低すぎることです。

多くの人は学校や家庭で
「お金は汚いもの」
「お金に執着するのは邪悪で堕落している」
という考えを植え付けられてきました。

しかし、実際には成功したお金持ちはお金を大切にします。

彼らはお金を家族や自分の命よりも大事にすることさえあります。

お金に対してマイナスのイメージを持つ人は、起業してもすぐに失敗することが多いです。

潜在意識でお金を汚いと感じていると、ビジネスの重要な場面で妥協してしまうことになります。

2つ目は、他人を信じすぎることです。

ビジネスでの最高の信頼関係とは、相手をとことん信頼することではなく、適度な緊張関係を保つことです。

相手を監視し、ビビらせ、何か問題があれば即座に対処する姿勢が重要です。

これがビジネスにおける最高の信頼関係を築く方法です。

3つ目は、すべてを自分で抱え込むことです。

起業にはバディ(仲間)が必要です。

バディはバイアスチェックや認識の整理、ディスカッションのパートナーとして重要です。

しかし、パートナーはいない方がいいです。

責任者は一人で十分で、ビジネスの立ち上げには民主主義よりも独裁が有効です。

即断、即決、即実行には、みんなで話し合うよりトップダウンの方が効果的です。

また、メンターも慎重に選ぶべきです。

メンターによっては逆に利用されてしまうことがあります。

バディとは、絶妙なバランスで互いを補完し合う関係性が必要です。

以上の点を意識して、起業に挑むことをお勧めします。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/65840

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02037_反対尋問が不安(教えて!鐵丸先生Vol. 49)

<事例/質問>

今度、証人尋問があるのですが、反対尋問ってどんな感じなのでしょうか。

テレビドラマ等を見ていると、弁護士さんが鋭く切り込んでくるイメージがあり、不安です。

憂鬱になり、夜も寝られません。

何か、うまく切り抜けられるためのコツとかありますか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

民事裁判における証人尋問は、テレビドラマのように弁護士が議論をふっかけたり、無知な証人をやり込めたりする場面ではありません。

証人は
「証拠方法」
すなわち
「証拠の道具」
「事実の痕跡が記憶された脳の記憶領域を確認する手続き」
です。

その結果が尋問調書に記録され、証拠資料として取り扱われます。

民事訴訟法では、尋問手続きがつつがなく運ぶように、証人尋問中に無意味で有害な行為が行われる場合には、反対当事者の弁護士が異議を申し立てることができます。

たとえば、弁護士が証人に意見を求めたり、困惑させようとしたりする場合、気の利いた弁護士は
「この質問は意見を求めていますので異議を申し立てます」
と具体的に述べて、裁判官に異議を認めてもらうようにします。

証人尋問の目的は、証人が記憶している事実を確認することです。

証人が意見を述べることは許されていませんし、証人尋問はクイズや記憶テストではないので、覚えていないことは
「忘れました」
と答えればよいのです。

証人尋問は
「記録(記憶)再生手続き」
であり、証人が知っている事実を再生するだけで十分です。

また、証言の際には、既に証拠として提出されている陳述書やメモを確認し、記憶を呼び覚ますことも可能です。

証人尋問は
「記録再生」
という即物的な手続きであり、弁護士が感情的に攻撃したり議論をふっかけることはありません。

証人は自分の知っている事実を正直に話すだけでよく、緊張する必要はありません。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/63960

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02036_証人尋問が不安です(教えて!鐵丸先生Vol. 48)

<事例/質問> 

弁護士さんに頼んでいる裁判がいよいよ大詰めで、来週、証人尋問があります。

弁護士さんは、
「これからが本番です。気合いれて準備しましょう」
といろいろリハーサル等をやってもらえるのですが、やればやるほど、緊張が高まり、不安で不安でしょうがありません。

リハーサル段階ですでにグッダグダで、弁護士さんからは
「このままでは負けてしまいますよ」と言われています。

昔のことを聞かれても、覚えていないことも多く、うまく答えられる気がしません。

どうしたらいいでしょう?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

証人尋問はただのセレモニーです。

一般には
「証人尋問は訴訟の最もドラマチックな場面」
とされますが、実際の民事訴訟では、事件の筋、すなわち勝敗は証人尋問開始前にほぼ決まっており、尋問はほとんどの場合セレモニーに過ぎません。

これは筆者の適当な感想ではありません。

弁護士会主催のセミナーで紹介されたデータによれば、民事裁判官のアンケートで
「証人尋問の後で心証が変更することはありますか?」
との問いに、7~8割近くの裁判官が
「尋問が終わっても心証の変更はない」
と回答しています。

まず、民事裁判官は証人尋問前に心証を決定しており、つまり
「どちらを勝たせるか」
を決めた上で尋問に臨んでいるのです。

また、大抵の事件では、証人尋問は裁判官に新しい事実を発見させる場ではなく、既に分かっている事実を確認する場です。最後に
「民事事件は関係文書を見れば、7~8割方は解決できる」
ということです。

訴訟に不慣れな弁護士や依頼者は証人尋問手続に入ると
「これから証人尋問!本番だ!」
と気合を入れますが、実際にはその時点で裁判官はほぼ結論を出しており、気合を入れるタイミングとしては遅すぎます。

つまり、尋問前に提出している文書の証拠(書証)が乏しければ、どんなに尋問で頑張っても無駄ということです。

裁判では、誠実さや正義や倫理が問われているわけではなく、約束があったかどうか、約束が実現されているかどうかを文書という強力な証拠で説明可能かどうかが重要です。

リラックスして臨むことが大切です。

顔色が悪い、うつむいていると嘘をついているように思われるので、元気よく、はきはきと話してください。

覚えていないことは
「忘れました」
と答えればよいのです。

これはクイズ番組ではありません。

5年前の昼食を覚えているほうが不自然です。

ただし、陳述書だけはよく読んでおきましょう。

特に、弁護士さんが適当に書いた場合、その矛盾を突かれると大変です。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/62418

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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02035_お客様へのお詫びに念書を強要されたら(教えて!鐵丸先生Vol. 47)

<事例/質問> 

お店を経営しております。

実は、こちらの不手際があり、お客様にご迷惑をおかけしてしまいました。

お客様は激怒しているみたいですが、経営者である私が直接お詫びすることになりました。

念書にサインしてもらうから、ハンコをもってこい、と言われています。

こちらのミスであり、うまく収まるなら言う通り従おうと思っておりますが、何かアドバイスはあるでしょうか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

「念書を書け」
と言われても、そんなもの書く義務はまったくありません。

ですので、応答としては、
「ヤだ」
が正解です。

念書作成を要求された場合、私などは、
「念書、念書、念書ってさっきから何度も言っておられますが、そんなに念書がほしいの? こっちはイヤなんだけど、そちらがどうしても念書がほしいんだったら、東京地裁に、『これこれこういう念書を作成し、交付せよ』という訴訟を提起すればいいじゃないですか。そちらが訴えたら、こっちはこっちで、最高裁まで3回は争わせていただきます。万が一、最高裁で敗訴が確定し、さらに、確定判決に基づいてそちらが強制執行を申し立てたら、その段階で、おとなしく従ったほうがいいか無視するか、改めて、考えます」
と答えることにしています。

「念書? ヤだ」
といっても、相手が引き下がらないとします。

義務がないことを強く求めたら、強要罪に該当します。

ローマ法皇や皇族の方々のように、ジェントルかつエレガントに念書や詫び状をお求めになるのであれば問題ないでしょうが、詫び状をしつこく求めるような通常のケースですと、暴力や害悪の仄めかしを伴うので、強要罪ないし脅迫罪、少なくとも迷惑防止条例違反には該当するでしょう。

実際、滋賀県近江八幡市のボウリング場で店員に言いがかりをつけ土下座させた、
「元気が良くて、声の大きい、権利意識高めの舗装工のお兄さん」
がいらっしゃったのですが、このお兄さん、大津地裁で、強要罪に問われ、2015年3月18日、懲役8月の実刑判決を食らっておられます。

あまりしつこくやられたら、こちらが被害者として、警察を呼んで対処すればいいだけです。

いずれにせよ、
「訴えるぞ」
と、明らかに実現性のないハッタリかまされてビビるのもダメですが、
「念書書け」
と言われ、言うなりになって書くのもアホです。

もちろん、こんな対処法、学校で教えてくれませんし、そもそも、教師は知りません。親も知らないでしょう。

世の中、こういう、
「学校や親が教えてくれないが、生きていく上で、絶対知っておくべき、非常識なリテラシー」
がかなりの数存在するのです。 詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/60882

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、36分22秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02034_内容証明が届いたときの対応(教えて!鐵丸先生Vol. 46)

<事例/質問> 

取引先とモメています。

相手は弁護士をつけたようで、内容証明郵便の通知が来ました。

いろいろ質問事項が書いてありますが、こちらとして認めると後々不利になるようなこともあります。

他方で、通知文書には文書が届いてから10日以内にて返答せよ、と書いてありました。

どうも受け取った総務部長が慌ててしまってあれこれ悩んだ挙げ句、届いたこと自体を社長の私に隠していて、何と、今日が回答期限です。

いい加減な回答をして、あとで裁判になって揚げ足取られてもこまります。どうしたらいいですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

まず、内容証明郵便が届いたからといって慌てる必要はありません。

内容証明郵便は、法的な効力を持つものではなく、ただの
「お手紙」
です。

DMやラブレター、怪文書と同じで、受け取ったからといってすぐに行動する必要はありません。

相手が設定した10日以内という回答期限も、一方的なものです。

そのような短期間での返答を求められても、こちらがそれに応じる義務はありません。

実際、こういった通知に対して急いで対応すると、後々不利になる可能性があります。

相手の要求に対しては、
「希望を与えず、絶望もさせず」
というように、冷静かつ慎重な対応を心がけるべきです。

たとえば、官僚の答弁や総理大臣の記者会見のように、巧みに対応することが求められます。

内容証明郵便には何の法的効力もないため、まずは慎重に状況を確認し、必要であれば専門家に相談しましょう。

慌てて返答することは避け、じっくりと調査を進める姿勢を示すことが重要です。

こちらが慌てる必要は全くありませんし、遅れても申し訳ないと思う必要もありません。

むしろ、相手が急ぐのであれば、訴訟を起こすなり明確な法的手段を取ってくるべきです。

訴訟を起こせないからこそ、内容証明郵便という中途半端な手段を使ってきているに過ぎないのです。

今回の返答としては、以下のように対応することが考えられます:

「~~~~~~」旨の常識では想定しがたい内容の内容証明郵便を受け取り、当方としても非常に困惑しております。
~~~~~との件について、突如、特段の法的根拠を示すこともなく、10日以内という短期の期間を区切った上で、「連絡せよ」などと要求されても、一般に期限内に対応することは困難を極めます。
まず、10日間という期限自体、貴方が一方的に設定したものであり、当方としては特段法的に拘束されるものではありませんので、したがって、貴ご主張の10日間との異常までに短期の対応期限については、こちらとしてはこれに応じる立場にはないということを先ずはご確認下さい。
当社としては、貴通知を受けましたものの、彼我の事実認識や法令解釈に大きな隔たりがあるため、今後の貴方との交渉については、慎重な対応をせざるを得ないところです。
本件書簡記載のご主張については、一応の調査を開始いたしますが、貴職らが一方的に定められた期間内に回答すべき具体的な法的根拠が明示されていないうえ、その内容が調査に時間を要するものであるため、当該期限に従うべき理由はないと、判断します。
通知人らといたしましては、一定の法令や義務に基づくものという趣旨ではございませんが、一定のお時間を頂いたうえで、本件書簡にかかる事項につき、検討させていただき、しかるべき対応をおってさせていただきます。
なお、お約束するのは、何らかの対応であって、貴ご要望の全部または一部に従うことを当然に意味するものではありません。
当然、貴ご要望に添いかねるとの対応の可能性もありますが、この点、予め、あしからずご了承ください。

このような返答をすることで、相手に対して冷静で慎重な対応を示しつつ、こちらの立場を守ることができます。

無理に期限内に返答する必要はありませんし、返答内容も慎重に選ぶべきです。

弁護士に相談しながら、次の一手を考えましょう。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/58335

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、35分12秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02033_痴漢で逮捕された従業員を解雇できるか(教えて!鐵丸先生Vol. 45)

<事例/質問> 

従業員が、痴漢で逮捕されました。

今、勾留になっています。

弁護士がついて、お話を聞く限り、本人は無罪だ、冤罪だ、と争っているようです。

でも、ニュースで報道もされました。

当社は大変な迷惑を被っております。

すぐにでも解雇をしたいのですが、弁護士の先生は、人権派の先生で、解雇なんてとんでもない、とか言っておられます。

というより、本人は警察にいるのか拘置所にいるのか、どこにいるかもよくわかりません。

彼にどうやって伝えたら解雇は成立するでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

従業員が、痴漢で逮捕され、今、勾留になっています。

弁護士の話を聞く限り、本人は
「無罪だ、冤罪だ」
と争っているようです。

でも、ニュースで報道もされました。

当社は大変な迷惑を被っております。

すぐにでも解雇をしたいのですが、弁護士の先生は、
「人権派の先生で、解雇なんてとんでもない」
とか言っておられます。

というより、本人は警察にいるのか拘置所にいるのか、どこにいるかもよくわかりません。

彼にどうやって伝えたら解雇は成立するでしょうか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

「従業員が罪を犯して逮捕されたら即解雇」
という考えの経営者も多いかもしれませんが、実際にはそれほど簡単ではありません。

罪を犯して逮捕された場合、従業員が自主的に辞めるケースが多いですが、
「犯罪は悪いが、社員としては優秀だから定年まで勤めたい」
と主張された場合、強制的に解雇するのは難しいです。

特に無罪を主張している場合は、
「無罪推定の原則」
に反することから人権上の問題となります。

ところが、逮捕された従業員が保釈されたとしても、若い女性向けの情報サイトを運営する会社でその従業員が復帰するとなると問題です。

従業員が
「無罪推定がある」
とはいえ、被疑者としての立場で勤務を続けると、顧客や社内の信頼を損なう可能性が高いからです。

また、勾留が長引き、年休を消化した後に欠勤が続く場合も、会社としての適切な対応が求められます。

多くの企業では、起訴休職制度を就業規則で定めています。

これは
「従業員が刑事事件で起訴され、拘留されている間は休職扱いにする」
というものです。

通常の休職とは異なり、起訴休職は従業員が犯罪に関与し、それが会社の信用を損なう恐れがある場合に適用されます。

例えば、痴漢の疑いがかけられた従業員が勤務を続けることで会社の信用が傷つく恐れがある場合、会社は
「病欠」
扱いではなく
「起訴休職」
として明確に対応することが重要です。

この間、従業員は労務を提供できないため、賃金は発生しません。

就業規則にこれを明記しておくことで、後々のトラブルを避けることができます。

また、
「会社に来るな」
と命じる場合、その理由を明確にしないと、
「働く意欲はあるのに会社が拒んでいる」
と解釈され、賃金支払いの問題が生じることもあります。

さらに、社員が勾留されている間に特段の対応をしない場合、民法536条2項(債務者の危険負担等)や労働基準法26条(休業手当)に基づいて賃金を巡るトラブルが発生することもあります。

懲戒解雇についても慎重な対応が求められます。

私生活上の行為であっても、会社の信用を損なう場合に限り、懲戒解雇が検討されるべきです。

特に、従業員が痴漢の事実を争っている場合、即座に懲戒解雇を行うのは行き過ぎとされるリスクがあります。

解雇無効とされる可能性もあるため、慎重な対応が求められます。

詳細は、以下をお聴きください。

https://audee.jp/voice/show/56914

※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、32分55秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02032_SNSで投稿した写真が勝手に使われているが、著作権侵害で訴えることはできるか(教えて!鐵丸先生Vol. 38)

<事例/質問>

SNSで、いろいろ写真を撮って投稿して、そこそこフォロワーがいます。

素人写真ですが、それなりに工夫をしており、自分としては味わいのある写真であり、だからこそ人気があると思っています。

最近、私の写真を勝手に使われたりすることがありますが、著作権侵害で訴えられますか。

ちなみに、©(マルシー)とかは特に付けていません。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

写真には著作権が成立します。

ただし、どんな写真でも著作権が成立するわけではありません。

著作権が認められるのは、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
という定義に当てはまる場合です。

要するに、著作権法が保護するのはアイデアや技術ではなく、
「クリエイティブな表現」
なのです。

証明写真やメモ代わりの写真でも、その写真が
「カッケー! ヤベエ! チョーイケてる!」
というように、創作的でユニークな表現であれば、著作物として認められる可能性があります。

プロのカメラマンでなくても、素人でも、小学生でも、写真がクリエイティブであれば立派な著作物になります。

相談者の写真も工夫があり、味わい深いのであれば著作物となり得ます。

その場合、他人に無断で使用されたら著作権侵害の問題が発生します。

よく
「(C)(マルシー)」
が著作権を示すために必要だと思われがちですが、これは表示しなくても著作権には影響しません。

バンクシーやジャクソン・ポロックの絵にも
「(C)」
と書かれていませんし、逆に横山大観やダビンチの絵に
「(C)」
が書かれていたら驚きますよね。

ただし、著作権は簡単に侵害されることが多く、心理的障壁が低いのも事実です。

そのため、まずは著作権侵害が発生した場合、きちんと
「あなたの行為が私の権利を侵害しています」
と伝えることが大切です。

弁護士名義の手紙でも、内容証明郵便でも、メールでも構いません。何らかの形でメッセージを送ることで、侵害が明らかになります。

しかし、裁判まで進めるかどうかは慎重に考える必要があります。

賠償金の相場は低いため、裁判費用と時間を考えると割に合わないことが多いです。

そのため、一発かまして謝罪を求め、出典明記(クレジット)をしてもらう方が賢明かもしれません。

詳細は、以下をお聴きください。


※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、41分14秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02031_「企業法務弁護士、ビジネス弁護士になるためのイニシエーション(通過儀礼)」は、「小学校で学んだ常識」を完全に捨て去ること

1 「ビジネス」という非常識な世界、さらに非常識で良識が通用しない「企業法務」「ビジネス法務」の世界

「企業法務弁護士やビジネス弁護士としてのキャリアを歩む」ということは、
・「ビジネス」や「(ビジネスを組織ぐるみで展開する)企業」という非常識な世界を理解し、
・さらに、これを上回る、非常識で良識が通用しない「企業法務」「ビジネス法務」という特な空間で、熾烈な知的ゲームをする、
ということを意味します。

そして、これらの世界は、あなたが小学校で学んだ道徳や常識とはまったく異なる場所です。

というか、小学校の教育には、想像すら困難な世界です。

ここで求められるのは、既存のルールを超えた非常識な思考と感受性と行動です。

企業法務やビジネスの現場では、
「この世にはお金より大事なものがある」
とか
「真面目にやっていればお金は後からついてくる」
といった、
「陳腐な戯言や、(金儲けや喧嘩には)有害な寝言」
を捨て去り、全く別の常識や情緒や行動が求められます。

企業法務弁護士やビジネス弁護士が扱うことになるのは、
「(カネや財産や権利に狂ったように執着する)経済社会における、さらに、『(図体の大きいプレーヤーほど)やったもの勝ち』がまかり通り、『勝つためにはどのような手段でも取ることが当たり前』という、病理的な空間における、特異な現象」
です。

これらの案件遂行には、常識的な解決策では太刀打ちできない、異常な状況が日常的に発生するのです。

2 非常識な金額と規模

企業法務弁護士やビジネス弁護士が扱う訴額やディールサイズは、常識を超えた規模になります。

数億円、数十億円、場合によっては数百億円規模の案件が飛び交う世界です。

これほどの金額が動く場面では、常識的な思考では到底理解できない戦略や駆け引きが繰り広げられます。

というか、
「面の皮が厚くないと、大企業の経営や、大きな事業や国際事業などやっていけない」
というのが現実です。

企業社会においては、各プレイヤーが自社の利益を最大化するために、あらゆる手段を駆使します。

交渉の裏で行われる策略や情報戦は、まさに
「何でもあり」
「やったもん勝ち」
のグロテスクな世界です。

このような状況では、小学校で学んだ
「損得を考えず、正しいことをする」
という道徳的な観念は、まったく通用しません。

「生き馬の目を抜く」
ことが普通に求められ、ボーっとしていると全てを取り上げられる、殺伐とした社会です。

3 ルール軽視、結果が全て、何でもありの総力戦

非常識なカネや権利や財産の奪い合いの状況では、
「ルール軽視、結果が全て、何でもあり」
の総力戦が展開されます。

ここでは、あの手、この手を駆使して、相手を出し抜くことが普通に行われます。

自分がやるやらないは別として、相手は、平然と、あの手、この手のみならず、奥の手、禁じ手、寝技、小技、裏技、反則技・・・これらすべてを駆使してきますし、そういうことを想定し、対処構築しておくことが求められるのです。

このような環境で成功するためには、柔軟な思考と合目的的行動が必要です。

例えば、契約書の一文をどう解釈するかによって、数億円、数十億円、さらには数百億円の利害得失が変わることもあります。

そのため、常に先を見据え、相手の一手先を読む力が求められるのです。

4 トラブルと想定外の連続

ビジネス活動や企業活動においては、トラブルや想定外の事態が日常的に発生します。

これらの問題に対処するためには、迅速かつ的確な対応が求められます。

また、予測不可能な事態に備えて、常に複数のシナリオを用意しておくことも重要です。

取引や、契約交渉より、さらにシビアなやりとりになる裁判外交渉や、訴訟といった、ビジネス法務や企業法務に関する事柄においては、さらに高い頻度で重篤な想定外が発生します。

問題が起きることを予想し、問題に対処するためのリソース(時間やお金のほか、認識の冗長性や、精神的な余裕を含む)を確保し、冷静かつ的確に対処し、大事を小事に、小事を無事に近づけるような行動が求められるのです。

5 非常識なプレイヤーとの戦い

企業法務弁護士やビジネス弁護士としての仕事は、非常識なロジックとルールで戦うプレイヤー相手に行われます。

これらのプレイヤーは、平然と非常識な打ち手を使い、相手を圧倒しようとします。

このような環境で成功するためには、相手の思考や行動を先読みし、それに対抗するための戦略を練ることが重要です。

常に相手の一手先を読み、それに対抗するための準備を怠らないことが重要です。

6 新たな「常識」のインストール

企業法務弁護士やビジネス弁護士として活動するためには、小学校で学んだ常識を捨て去り、新たな常識を確立することが必要です。

この新たな常識とは、非常識な状況に対応するための柔軟な思考と常識に囚われない果断な決断と行動力です。

そして、これをモノにするためには、マキャベリの頭脳とゴリアテの巨体を持つ圧倒的な強さを誇る相手と、シビれるような勝負の舞台に立ち、修羅場を何度もくぐり、クライアントに罵倒されることを含めた屈辱を噛み締めつつ、死なない程度のかすり傷をいくつも負いながら、体で覚えておくほかありません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02030_事業立ち上げに成功したらIPO(株式公開)をすすめられた(教えて!鐵丸先生Vol. 37)

<事例/質問>

「御社の事業は素晴らしい。極めて有望だ。上場も夢ではない。あなたはIPO(株式公開)に興味はないか? 私はこれまで何社もの上場を支援してきた。私に出資させて、私の仲間も役員に入れ、一緒に上場の夢を実現しないか」
という話が浮上して、出資をしてもらう話が進んでいます。

正直申し上げて、上場とかIPOとか言われてもピンと来ていませんが、でも、とんでもなく金持ちになれる、という話は聞いたことがあるので、やってみたいと考えています。

何か、気にしておくべきことはありますか。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

事業が順調に進むと、高級スーツに高価なネクタイを締めたIPOコンサルタントや公認会計士が近寄ってくることがあります。

「私は上場のプロだ。私が株主になれば、上場間違いなし」
と、
「上場のプロ」
を自称する高いスーツを着て、ゴツい時計をつけ、ピカピカの靴を履いた、知能が高そうなおじさん(筆者の通称「上場おじさん」)の 自信たっぷりの様子に幻惑され 、
「資本政策だの、ショートレビューだの、主幹事選定だの、強制監査だの、遡及監査だの、直前期だの、開示だの、内部統制だの、ブックビルディングだの、有報だの、ロックアップだの、Ⅱの分だの、実質基準だの・・・・」
とまるで、般若心経のような難解な用語を並べ、また、そのような呪文のような専門用語を華麗に操る
「上場おじさん」
の立ち居振る舞いにすっかり魅了されてしまい、出資を受け入れ、役員に迎え入れてしまうことがあります。

しかし、実際には本業が混乱するほどの管理課題を突きつけられ、その対応のために大量の予算を費やし、資金が枯渇し、上場を断念するという話もあります。

まるで、裏口入学で小学校や幼稚園のお受験を頼んだのに、数千万円かけて不合格になるようなものです。

上場を目指すなら、他人に頼るのではなく、自分自身で上場のルールやゲームのロジックを学び、不足するリソースを外部から適正価格で調達し、外注を管理するべきです。

また、上場の目的が脚光を浴びることや知名度を上げること、目立つことなどであれば、上場ステータスに意味があります。

しかし、金持ちになるという目的では、上場は必ずしも最適な方法ではありません。

IPOには夢と現実のギャップがあります。

マーク・ザッカーバーグ氏がフェイスブックのIPOで巨額の資産を得たと言われますが、それは
「持ち株数×株価」
で計算されたもので、現金ではありません。

上場時に創業オーナーが持ち株を多く売ることは難しく、せいぜい換金できるのは5〜10%程度です。

大量に売ろうとすると、証券会社や投資家から圧力がかかり、断念せざるを得ません。

なぜ多く売れないのかというと、大量の持ち株売却は経営から手を引く意思や自社の成長性に悲観的と見なされ、株価に悪影響を与えるからです。

市場は創業オーナーの動向に敏感に反応し、真偽不明な噂でも株価を動かします。

逆に、5~10%程度なら問題にならないという経験則があります。

上場企業になると、経営者の報酬や交際費も厳しくチェックされます。

上場・非上場を合わせた社長の平均年収は3000万円程度で、ベンチャー企業の場合は2000万円前後とされています。

上場企業の経営者でも数億円の役員報酬を得るのは例外で(あの、カルロス・ゴーン氏でも、高額報酬を開示するを遠慮して、それが有価証券報告書虚偽記載罪を犯す遠因となりました)、上場企業の社長の平均年収も2000~3000万円の範囲です。

非上場時は自由だった報酬額や交際費も、上場後は株主や投資家からの厳しい説明責任が求められます。

上場企業は株主のものであり、経営者の自由は制約されるのです。

上場企業になる、つまりパブリックカンパニーになるというのは、こういうことです。

それでいて手元に残るのは、売るに売れないバーチャルな株資産と1~2億円程度のキャッシュ。

正直、割が合わないと思います。

年収が2000万円、3000万円でも、上場企業の経営者になれば付き合いも広がるので、カツカツの範囲でしょう。

「上場する意味がない」
と感じるなら、IPOよりバイアウトを考えるべきです。

バイアウトなら持ち株を全て現金化でき、確実にキャッシュリッチになります。

例えば、時価総額が20億円の場合、全株を売却してその額をまるまる現金化できます。

見ず知らずの他人からの出資を受け入れるかどうか、もう一度よく考えてください。

詳細は、以下をお聴きください。


※「教えて!鐵丸先生」のコーナーは、番組後半、40分14秒以降から開始されます

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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