任意整理を希望する債務者が、民事再生を前提とするような再生計画(債権大幅カットと分割弁済)に、
「債権者の多数の同意と認可を見込めるであろう」
と企図しても、弁護士としては、その検討・構築には疑義を挟まざるを得ません。
弁護士に依頼さえすれば、債権者から”大幅な債権カットとカット後債権の分割弁済を受諾を得る”ことは可能であろうと、考えるのでしょうが、そもそも、契約自由の原則が働く任意整理と公権力介入型手続きである民事再生は別物です。
もちろん、任意整理は和解の一種であり、相手の同意可能性を捨象して、
「言うだけタダ」
「とりあえず言ってみる」
「やってみなはれ」
という形で、(民事再生でもないのに)民事再生を前提とした再生計画(債権大幅カットと分割弁済)を提案すること自体は、絶対ダメ、とか、許されない、とか、違法、とかいうわけではありません。
ただ、債権者に相手にされず、時間の無駄ですし、また、債権者の信頼を喪失し、今後、まともなコミュニケーションができなくなる、さらには、より強硬な対応を招きかねません。
何より、
「(民事再生でもないのに)民事再生を前提とした再生計画(債権大幅カットと分割弁済)を提案」
してくる代理人(弁護士)は、今後、相手にされない可能性があります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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