経営者のビジネス課題は多岐にわたります。
ビジネス課題にはそれぞれプロジェクトがあり、各プロジェクトにはそれぞれ打ち合わせやメール・メッセージ等やり取りがあります。
経営者は、ややもすれば、日々の打ち合わせやメール・メッセージ等に埋もれかねません。
だからこそ、経営者は、ビジネス課題をビジネス課題としてしっかり分類することが重要です。
筆者は、ビジネス課題を次のように分類します。
1 経営課題1:お金を増やす(お金を増やす仕組みを創る)
2 経営課題2:支出を減らす(収益に貢献しない支出箇所を発見・特定して極小化・解消する)
3 経営課題3:時間を節約する(スピード制約要因〔ボトルネック〕を発見・特定して極小化・解消する)
4 経営課題4:手間を節約する(無駄な手間をなくす)
5 会計管理課題1:正常な経営状況をミエル化・カタチ化・言語化・数字化・フォーマル化
6 法務課題1・文書管理及び予防法務課題:「正常な(有事至る以前の、未然の)」経営状況をミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化
7 法務課題2・紛争法務課題:すでに有事に移行した事案について、あの手、この手、奥の手、禁じ手、寝技、小技、反則技を用いて、事態対処を行う
8 外注管理課題:5、6、7のいずれかまたは全てを外注する場合における外注管理及び外注が効果的に機能するような事務的支援
5、6、7については、企業によっては、内製の課題とするのではなく、外注課題・外注管理課題とするのが、合理的でしょう。
6については、
「内製化する」
という選択肢をとる企業もありますが、上場企業ではない、あるいは上場を目指さないのであれば、特に強制の契機が働くわけでもないため、内製化にこだわらなくてもよいでしょう。
7については、(紛争法務経験がある、年収2000万クラスの)社内弁護士でもいない限り、外注一択であり、素人が、弁護士の真似事をすると、たいてい大やけどを負うことになる、と考えます。
「分類するだけで終わり」
ではありません。
「日々の事象をどの課題として認識するか」
は、課題を分類する以上に重要です。
例えば、
・従業員が、働き方や残業代等に不満を持ち、労基に駆け込む
・従業員から内容証明郵便の通知が来る
というような事象は、弁護士の感覚からすると、すでに
「大きな有事」
であり、一刻も早く、
「7 法務課題2・紛争法務課題:すでに有事に移行した事案について、あの手、この手、奥の手、禁じ手、寝技、小技、反則技を用いて、事態対処を行う」
と決断し、専門家介入すべき重大かつ重篤な病理インシデントです。
ところが、経営者によっては、
「6 法務課題1・文書管理及び予防法務課題:「正常な(有事至る以前の、未然の)」経営状況をミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化」
と判断し、その結果、事態がこじれ、対処が遅れ、対処に失敗し、結果、大きな火傷を負う方がいらっしゃるのも現実です。
経営がうまくいっている企業の経営者は、専門家(弁護士)を上手につかって
「日々の事象をどの課題として認識するか」
状況評価、状況解釈について、弁護士との齟齬をなくすことに注力しています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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