02023_労働問題を起こさずに安全・安心に経営するコツ(教えて!鐵丸先生Vol. 31)

労働紛争が増えている昨今、労働裁判は本当に難しいものなのでしょうか?

企業の経営には、ヒト、モノ、カネ、チエといった経営資源が必要ですが、その中でも
「ヒト」
すなわち
「労働者」
という資源は非常に重要です。

しかし、経営者にとって最も知識が不足しているのが労働取引に関するルール、つまり労働関係法規です。

毎年発行される
「労働白書」
によれば、労働基準監督官が国内の事業所を調査した結果、労働基準法や労働安全衛生法などの違反率は毎年70%前後、業種によっては85%前後に達しています。

つまり、日本では10社中7~8社が労働関連法規を違反して経営しているという実態が浮かび上がってきます。

このため、労働問題は税務問題と並んで
「つつけば必ずホコリが出る」
法務課題の代表例です。

最近、政府の政策で増えた弁護士たちが労働者の代理人となり、企業を次々と訴えているのもその一因です。

企業が訴えられて弁護士の事務所に駆け込む際、最初に言われるのは、
「先生、こんなインチキ通るんですか!こんなの絶対おかしい。出るとこ出たら、絶対勝って下さい!」
というものです。

しかし、冷静に事実関係を確認し、関係法令や裁判例を示すと、多くの場合は企業側に非があることがわかります。

「出るとこ出た」
ら、かえって自分が恥を晒すことを理解していただくのです。

相談に来た当初は鼻息荒かった社長や人事責任者も、最終的にはしょんぼりして、
「なんとか和解でお願いします」
と蚊の泣くような声で言うようになります。

労働問題を防ぐためには、経営者として労働環境の改善と法令順守を徹底し、問題が深刻化する前に専門家に相談することが重要です。

労働者との信頼関係を築くことも大切であり、日頃からのコミュニケーションが鍵となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02022_刑事事件への対応やアプローチ(教えて!鐵丸先生Vol. 30)

<事例/質問>

先生は、刑事事件って受けられます?

刑事事件について取り組む場合、どのような対応をされていますか?

「畑中鐵丸先生”ならでは”のアプローチ」
とかってありますか?

<鐵丸先生の回答>

刑事事件についての私の考えをお話ししましょう。

刑事事件が刑事裁判にまで持ち込まれたら、勝ち目はほぼありません。

99.9%負けるのです。

こんな不利な土俵で戦うのはあまりにも愚かです。

もちろん、無罪判決を勝ち取る名手のような弁護士もいますが、その先生方でさえ、常に無罪を勝ち取れるわけではありません。

つまり、
「無罪判決を取れるスキルがある!」
と豪語する弁護士でも、失敗事件があるのです。

刑事裁判の有罪率が99.9%という事実を考えれば、どんな凄腕の刑事弁護士でも表に出さない失敗事件が相当数あると考えるのが合理的です。

しかし、私自身も刑事事件で勝っているケースは多く、それもかなりの割合を占めます。

その理由は、
「裁判になったら99.9%負ける」
というゲームのルールを前提にしているからです。

このルールを所与として、前提条件を潰すことに注力し、
「裁判にしない」
「裁判になる手前で事件を潰す」
という特殊な刑事弁護活動を展開しています。

具体的には、客観面で争える場合には、警察や検察が辟易するまで徹底的に事実との齟齬を争います。

客観面で争うことが難しい場合でも、認識面、故意か過失か、不注意かといった主観面を徹底して争います。

それでも争えなければ、情状面で争い、事件としてではなく事故として未立件や立件阻止を目指します。

そして、立件されても不起訴を目指し、
「裁判以前の手前の段階で事件潰し」
を画策します。

私や私が所属する弁護士法人畑中鐵丸法律事務所では、このような
「公判前弁護活動」
を中心に刑事事件を取り扱っています。

その結果、多くのクライアントに満足していただいています。

刑事訴訟にまでもつれ込んだ場合には、作戦環境の現実的認識・評価を前提にして、作戦目標についてクライアントと徹底した議論を行い、執行猶予や減刑を目指し、尽力します。

劇的な無罪判決は少ないかもしれませんが、目標達成に向けた取り組みで、こちらも多くのクライアントに満足いただいています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02021_裁判官にも個性がある?変わった裁判官の話(教えて!鐵丸先生Vol. 29)

裁判官といえば、真面目で堅実なイメージがありますが、実際には変わった裁判官もいます。

プロの弁護士として見てきた経験から、少しご紹介しましょう。

行政官僚と裁判官は、バックグラウンドや試験科目が似ており、どちらも東大や京大などの難関大学出身が多いです。

行政官僚は
「法律による行政」

「絶対的上命下服」
の原理で厳しく規律されています。

しかし、裁判官はその反対で、憲法76条3項により
「独立して職権を行う」
とされています。

つまり、裁判官は自分の良心に従い、誰にも指示されずに仕事を進めることができます。

そのため、裁判官の中には個性が強く、独特な判断をする人もいます。

例えば、
「東京地裁の藤山コート」
という言葉が法曹界では有名です。

1999年頃、東京地方裁判所の行政専門部の1つである地裁民事3部に、藤山雅行という裁判官がいました。

彼は国側に不利な判決を連発し、
「国破れて山河在り」
にちなみ
「国破れて3部あり」
とまで言われました。

彼の裁判部で訴訟を起こそうとする原告側が多く、何度も訴え提起と取り下げを繰り返すという噂もありました。

裁判官は非常に自由に自分の判断を下すことができます。

地裁の一裁判官でも、誰の命令も受けず、独自の解釈で法を運用します。

そのため、裁判官の個性や判断基準が大きく影響するのです。

実際、裁判官の中には常識や良識が通じない、非常に独特な方も少なからずいます。

司法試験に合格したエリート裁判官は、日本に約2800名いますが、その中には常識的な方もいれば、非常に個性的な方もいます。

こうした裁判官の存在が、裁判の予測を難しくし、奥深いものにしているのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02020_弁護士が裁判所で意識する話し方や態度(教えて!鐵丸先生Vol. 28)

弁護士として裁判所で話す時に意識するポイントをお話しします。

まず、弁護士は決して偉くはありません。

裁判は弁護士なしでも進められますし、必須の存在ではないのです。

裁判において絶対的に偉いのは裁判官だけで、彼らは圧倒的な権力を持っています。

裁判官は、憲法76条3項に基づき、その良心に従い独立して職権を行使します。

つまり、裁判官は誰にも指示されず、自分の判断で裁判を進めることができます。

この
「裁判官の独立」
は、他の国家機関や上司からの指示や干渉を受けないことを意味します。

裁判官は、自分の判断で事実を認定し、法律を解釈し、解決を決定するのです。

弁護士は裁判所の出入り業者のような存在です。

納期を厳守することが求められ、提出物や主張の期限を守らないと裁判官に嫌われます。

裁判官は
「小さい頃から宿題を期限内に提出する」
タイプの人たちであり、納期感覚がしっかりしています。

そんな彼らに対して、ルーズな態度は通用しません。

弁論準備室や法廷でのやり取りは時間が限られているため、主張や証拠は事前に提出する必要があります。

提出期限は通常、期日の1週間前に設定されますが、遅れそうな場合は事前に報告・連絡・相談(ホウレンソウ)を徹底し、対応を協議することが重要です。

弁護士が意識すべきなのは、裁判官の心証を良くするための態度です。

納期厳守とフォローを怠らず、裁判官に対して誠実で真面目な姿勢を見せることが、裁判を有利に進めるための鍵となります。

これらを徹底することは、裁判官の心証を少しでも良くして、クライアントにとって有利な結果を導くために、きわめて重要なポイントになります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02019_法廷ドラマと現実の裁判の違い(教えて!鐵丸先生Vol. 26)

法廷ドラマはスリリングで見応えがありますが、実際の裁判とはかなり異なります。

プロの弁護士が感じる違和感についてお話ししましょう。

まず、ドラマでは傍聴席がいつも満席ですが、現実の裁判はほとんどガラガラです。

コロナ前から同じで、傍聴人がいないことも珍しくありません。

また、ドラマでは弁護士が熱心に主張を読み上げますが、実際の民事裁判では事前に書面で提出され、法廷では
「準備書面を提出した」
と報告するだけです。

傍聴人には何が話されているのか全くわからないまま進行します。

証人尋問も違います。

ドラマでは裁判官が興味深く聞いていますが、現実ではあまり興味を示しません。

結論を先に決めていることが多いため、ただ流れ作業のように進めます。

ドラマのような激しい異議や驚くべき新事実の暴露もほとんどありません。

尋問では予想外の答えを引き出す質問は避けられ、すでに知っていることを確認するだけです。

証人が観念して真実を語るシーンも現実には少ないです。

証人尋問では嘘がつき放題であり、年間数万件の民事事件の中で偽証罪に問われるのはごくわずかです。

嘘をついてもお咎めなしなので、信憑性のある嘘をついた方が勝つことが多いのです。

民事裁判では真実や正義よりも、エゴ対エゴ、欲対欲の争いが中心です。

途中でやめたり和解で終わることが多く、判決まで持ち込むケースはまれです。

和解が多いのも特徴です。

判決言い渡しの日には原告も被告も欠席し、裁判官は結論をぼそぼそと述べるだけで理由は省略されます。

日本では、加害者にやさしく被害者に厳しいのが現実です。

パワハラ、セクハラ、モラハラなど、精神的苦痛の賠償、慰謝料は、本当に安いです。

弁護士費用の方が高かったりするのです。

「やられたらやり返す」
のは大損。経済的には、
「やられたら、放置」
「やられたら泣き寝入り」
が一番オトク、というのが現実なのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02018_ドラマの中の弁護士と現実の弁護士の違い(教えて!鐵丸先生Vol. 26)

<事例/質問>

弁護士もののドラマをよく見ますが、ドラマの中の弁護士と現実の弁護士とではどんなところが違うのでしょうか?

プロの弁護士の方が、弁護士もののドラマを見ていて違和感があったら教えてください。

<鐵丸先生の回答>

ドラマには六法全書をすべて覚えている弁護士が登場しますが、これは全くの嘘です。

法令の数は膨大で、法律だけでも1960本あり、法令全体では8284本にもなります。

こんな量を覚えることは不可能です。

実際、司法試験の論文試験には六法の持ち込みが可能で、試験会場には試験用六法が置かれています。

つまり、覚える必要はないのです。

あるドラマで、偽弁護士が
「特定商取引法の◯条」
と即答するシーンがありますが、これはあり得ません。

特定商取引法は司法試験科目に含まれていませんし、現実の弁護士がすらすら答えることはありません。

また、弁護士が法律大好きで勉強中毒というイメージも誤りです。

多くの弁護士は勉強が嫌いで、要領よく目先の利益を追求するちゃっかり者が多いです。

頻繁に改正がある法律の知識はアップデートされず、合格時点の知識で仕事をこなす弁護士も少なくありません。

ドラマで描かれない現実の場面として、ギャラの取り決めやギャラでの揉め事、失敗した弁護士が依頼者から詰め寄られる場面があります。

刑事事件では、被告が罪を認めて情状弁護に終始するケースが多く、逆転無罪のようなドラマチックな展開は稀です。

弁護士の重要な役割は、被告人の家族から資金を集めて被害者と示談を成立させ、被害者に寛大な処置を求める文書を作成してもらうことです。

こうした現実を理解しながら、ドラマを楽しんでください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02017_ネットでの誹謗中傷が拡散、事実も含まれているので裁判では負けるだろうし、カウンターリリースも炎上すると思う(教えて!鐵丸先生Vol. 25)

<事例/質問>

ネットで当社についての誹謗中傷が広がっていますが、それは全くの事実無根ではなく、実際に発生した事実が多少誇張されているだけです。

書き込み内容はほぼ真実で、評判が悪化し、採用にも影響が出始めています。

裁判で身の潔白を証明しようとしても、実際には身が潔白どころか真っ黒なので、裁判に負けて恥をかくだけです。

カウンターリリースも嘘しか書けず、嘘を書いたら逆に炎上する恐れがあります。何もできず、ただ評判が悪化するのを見ているしかないのでしょうか。

<鐵丸先生の回答>

ここで、ある銀行の例を紹介しましょう。

この銀行は、知り合いのリース会社を通じて反社会勢力にお金を貸していました。

この事実が発覚し、マスコミやネットで炎上、株価も暴落しました。銀行は裁判で身の潔白を証明しようとしましたが、日本の裁判には2つの欠点があります。

まず、時間がかかります。大事件となると2年以上かかり、その間に悪評が広がり銀行が倒産する可能性もあります。

また、どんなに高い弁護士を揃えても、銀行に有利な判決が出るとは限りません。

むしろ、裁判で身が真っ黒であることが証明されてしまいます。

こうした状況に対処するため、日本では新しい手法が考案されました。

それは、銀行が独自に
「裁判所」
を作る、つまり第三者委員会を設置するという方法です。

例えば
「あずさ地方銀行」
という裁判所を設け、ここで裁いてもらいます。

この委員会は銀行がスポンサーで運営され、裁判官も銀行に忖度しやすい環境です。裁判は迅速に進み、数ヶ月、場合によっては数週間で結果が出ます。

だから、第三者委員会の委員には東京高裁OBなどの弁護士がずらっと並んでいます。

第三者委員会は、スポンサー企業をクソミソに言いません。

非常に忖度してくれるし、まるでコールアンドレスポンスのように、
「ウチって無罪かな?」
と呼びかけると、
「無罪!」
「やっていない!」
と応じてくれる、そんな関係性があります。

ただ、シミ1つない全くの真っ白の美白、というと、クソ茶番であることがバレバレで却って炎上します。

そこで出てくる結論は、
「たしかに一部暴走分子が組織活動ではなく、個人として勝手に動いたが、これら心得違いした関係者・担当者は全て処分されており、問題は解消している、一過性のもので構造的なものではない、お金もしっかりきっちり返してもらっている、原因も、はるか以前の付き合いがダラダラ続いていただけで正式な絶縁をして原因レベルで解消しており、再発防止策もすでに構築済みである。その意味では、一時期、特定の担当者の暴走による一過性の特異な事件であったが、すでに過去のものとして解消しているし、今後再発することもない」
という
「限りなく白に近いライトグレー」
のような言い方をします。

事実無根ではなく、実際に非がある場合でも、このように対処する方法があります。

法的手法は日々進化しており、本やメディアでは教えてくれない対処法も存在します。

常に本質を把握し、状況に応じた対応策を考えることが重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02016_リリース予定の新商品についてネットで誹謗中傷が蔓延し、裁判しようにも追いつかない(教えて!鐵丸先生Vol. 24)

<事例/質問>

当社がリリース予定の新しい商品について、ネットで全くの事実無根の誹謗中傷が蔓延しています。

ライバル会社の仕業かもしれませんが、裁判をしようにも次々と書き込みが現れ、追いつきません。

このまま放置するしかないのでしょうか。

対抗措置としてカウンターリリースも考えていますが、逆に炎上することも心配です。

<鐵丸先生の回答>

これはよくある話です。

新しい商品のスペックが嘘だとか、既存商品とほとんど変わらないとか、ネガティブな噂が広まり、予約注文が入らなかったり、発売後に在庫が積み上がることもあります。

裁判で対応しようとしても、相手が特定できなければ始まりません。

有害情報の発信者を特定しようとしても、掲示板やSNS事業者、通信業者が通信の秘密を盾に抵抗するので、裁判は難航します。

そこで、対抗言論を使って反撃することが考えられます。

やられたらやり返す、言われたら言い返すということです。

しかし、これを実行する際には慎重に行う必要があります。

同じ掲示板やSNSで直接反論するのは逆効果になることがあります。

私がお勧めするのは、立場や力の差を利用して反撃する方法です。

誹謗中傷に対して、きちんとしたソースやデータ、エビデンスを示して反論することです。

戦う場所は自社の公式サイトのニュースリリースで行い、表現もフォーマルにし、徹底した証拠と論理を用います。

相手の発言と逐一同じレベルで対抗するのではなく、
「一部ネットで当社の新商品について誤解があるようです」
といった形で、高みから諭すように間違いを正します。

「便所の落書きのような根拠のない、無責任なコメント」
と、
「公式の場で根拠と論理に基づいたフォーマルで責任ある発言」
が併存すると、自然と
「地上で騒いでいるところに、戦闘機が高高度から爆弾を降り注ぐ」
ような状況が伝わります。逆SEO(検索順位操作)も、こうした前提を整えた上で戦略的に組み合わせると有効です。

特に、企業として無責任な誹謗中傷に対抗するには、このような方法を押さえておくことが重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02015_ネットでの誹謗中傷法的なに対する法的な対処(教えて!鐵丸先生Vol. 23)

事実無根の誹謗中傷をされた場合、まず考えるべきは、書き込みを削除させること、そして損害賠償を請求することです。

ただし、これを実行するには誹謗中傷を行った相手を特定する必要があります。

相手の住所や氏名がわからなければ、裁判を起こすこともできません。

誹謗中傷をしている相手がはっきりわかっている場合は、内容証明を送りつけるなり、裁判を起こせば良いでしょう。

しかし、匿名掲示板やSNSで書き込まれている場合は、掲示板運営者やSNS事業者、インターネット接続業者に発信者の情報開示を請求することになります。

しかし、これらの事業者は通信の秘密を守るため、簡単には情報を提供してくれません。

通信の秘密は憲法でも保障されており、法的に情報を開示させるには裁判所の命令が必要です。

発信者の特定には時間とコストがかかり、損害賠償請求までたどり着いても、得られる賠償金額は僅かです。

その間にも、誹謗中傷の書き込みが増える可能性があります。

また、明らかな違法行為でない場合は、裁判で敗訴するリスクもあります。

そのため、法的手段に頼るのはハードルが高く、コストパフォーマンスが悪いです。

別のアプローチとして、
「言い返す」
という方法もあります。

完全に事実無根の誹謗中傷であれば、証拠を示して反論するのです。

例えば、
「あなたは大学を出ていないし、弁護士でもない」
と言われたら、東大の卒業証明書や弁護士登録の証明書をネットにアップすれば良いのです。

法律や裁判に頼るのは弁護士の営業手法としては正しいかもしれませんが、普通に言論市場でやり返すことも有効な方法です。

まずは事実を証明する証拠を提示し、誹謗中傷がデタラメであることを公に示すことで、迅速かつ効果的に対応できます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02014_友人から保証人を依頼されたときの対応(教えて!鐵丸先生Vol. 22)

ビジネスでは
「感情」

「勘定」
を分けて考えるべきです。

「助けたい」
「困っているから」
と連帯保証を引き受けると、一緒に地獄に落ちることになります。

連帯保証をするというのは、借金をしていないのに同じ責任を負うことです。

実際にハンコを押したことで人生が狂った人は多いのです。

連帯保証を頼まれるのは、そもそも相手に信用がないからです。

信用がないということは、無理をしている、背伸びをしているということです。

例えば、年収500万円のサラリーマンが2億円の家を買うために連帯保証を頼まれるのは無謀です。

2500万円の中古にしておけば、自分でローンを組むことができます。

また、事業をしていて自分の信用だけでお金を借りられないのは、信用がないからです。

お金があり、実績があり、商売が順調なら、銀行が貸してくれるはずです。

急成長するポテンシャルがあるなら、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルが資金を提供してくれるでしょう。

特に
「根保証」
は危険です。

普通の保証なら、借りた人が返済すれば終わりですが、根保証は一度返済してもまた借りることができ、保証関係が延々と続きます。

これでは無間地獄です。

根保証を引き受けるなら、極度額に対して十分な報酬をもらうべきです。

知らない間に連帯保証人にされるケースもあります。

手形を使っていつの間にか連帯保証人にされることがあるのです。

貸し手と債務者の間に第三者が挟まれて裏書きをすると、その第三者が連帯保証人になるというトリックです。

無担保裏書きをしないと、責任を背負い込まされます。

迷ったときは、手を出さず、ハンコを押さないことが最善です。

ハンコを押さないことで助かった人はたくさんいますが、ハンコを押して地獄を見た人は数え切れないほどいます。

迷ったら、プロに相談するか、ハンコを押さないことです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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