01814_ステップ1:ファクトレポーティング

法務相談では、弁護士はクライアントから話を聞き取り、クライアントのおかれた状況をメタ認知(俯瞰認知)しながら、法的なテーマを浮かび上がらせていきます。

初回の法律相談では、クライアントが弁護士に話す内容は、当事者であることから、センチメントも、単なる噂や罵詈雑言も混入されています。

弁護士は聞き取った話を分解し、テーマをいくつか設定しますが、この段階では、相手の違法行為や不当行為の特定に至ってはおりません。

そこで、クライアントには、宿題事項として、弁護士が設定した各テーマに関して、基本的な事実関係を時系列で整理することが求められます。

これは、今後、対抗言論を構築する上での、
「ステップ1:ファクトレポーティング」
と呼ばれるプロセスで、ようするに、相手の違法行為や不当行為を、事実ないし状況として5W2Hの形(Howだけでなく、how much、how manyという定量的・数額的な特定を含む)で特定するためプロセスです。

このプロセスは、法的専門性とは無関係のプロセスです。

すなわち、本プロセスは
「法的課題」などではなく、
「自らが体験した事実の、ミエル化・カタチ化・言語化・文書化」
という単純な事務課題であり、
(新聞記者や事務系公務員勤務経験2年程度の知的資源と事務資源があれば対処可能な)
国語の問題です。

そして、直接経験していない弁護士が勝手に想像を働かして創作することは本来不可能であり、むしろ、直接経験したクライアントにおいて、固有の事務資源を運用して、完遂していただくべきものなのです。

当事者であるクライアントには、負荷や時間がかかり、地道な作業ではありますが、クライアントしか知り得ない、クライアントで前置すべきこのプロセスこそが、必要であり、最重要事項なのです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01813_弁護士の手の内

有事になると、弁護士は、以下のように事項を因数分解し、戦略を練る準備をすすめていきます。

1 戦略立案環境

1)コミュニケーション環境

(1)電子メール
(2)携帯電話
(3)FAX

2)情報環境(状況認知・観察)

3)思考環境(論理則や経験則やリテラシーの実装)
(1)法的三段論法
 ・大前提:規範特定(法律にはこう書いてある)
 ・小前提:事実ないし状況の特定(5W2H、ハウマッチ、ハウメニーという量的な特定を含む)
 ・あてはめ:ズレを手当・修正することを含む
 ・結論

(2)捜査・行政・司法など権力の動かし方
 ・大前提として、ミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化をしないと、一切取り合わない
 ・次に問題となるのは、文書の中身と方向性
 ・・ロゴス(論理=法的三段論法)
 ・・パトス(情緒)
 ・・エトス(信頼=証拠、反論想定と反論処理)

(3)文明社会のルール
 ・他者を誹謗中傷するには、動かぬ証拠(エトス〔信頼=証拠、反論想定と反論処理〕)が絶対必要
 ・動かぬ証拠がないにも関わらず、他者を誹謗中傷すると、誹謗中傷した人間が犯罪者になる
 ・どんなにヒドイことをされても動かぬ証拠がなければ泣き寝入り
 ・動かぬ痕跡さえ残さなければ、やりたい放題が許容される

4)状況分析(状況の評価・解釈・展開予測)と作戦計画立案の検討・協議の場

2 具体的方法論

0)クライアントから相談された案件
・弁護士の見解
・その根拠1、2・・・
・さらに、「案件の手前」のミスやエラーや過ちをすべて、番号をふって、あんなやましいこと、こんなあくどいこと、という形で、整理して弁護士に伝える
→そこから、弁護士が法的三段論法を使って、どうやって攻撃できるかを検討

1)作戦目標(現実的で、相手方も納得可能な着地点・落とし所)
・パーフェクトゲーム(役所に転居届出を出すように、書類を出せば、すべて司法権力や捜査権力が思い通りに動いて処理してくれる)は不可能
・ゲームに完全に勝とうとすると、負けて生き地獄を見る
・ゲームに勝つには、勝てるゲームの姿をデザインする(ゴールデザイン=現実的な作戦目標・着地点=落とし所)
・現実的な作戦目標を目指して、勝ちにこだわるのではなく、(ゲームを楽しむぐらいの余裕をもって)プロセスを全うする
・現実的なゴールデザイン

2)方法論(対話と圧力を使いこなすことで、満足する結果に近づくか遠ざかるか、というところ)
・「対話と圧力を使いこなす」=そんなに簡単なものではない
・「対話」とは、他人と天気の話をするのではなく、ゲームとしての外交。誰をプレーヤーにして、どういうロジックでゲームをすすめるか、という知的な構築が必要。言いなりになるわけではなく、かといって、喧嘩するわけでもなく。バレるようなウソはつかないが、本当のことは決して言わない
・「圧力」とは、訴訟となるだろうが、勝つための訴訟と、圧力としての訴訟は違う。後者は、手数とスピードが勝負。形勢不利とみたら、とっととやめる。こういう訴訟スタイルを取れる弁護士は、1%以下。弁護士は、訴訟=勝つためにやる、じっくりやる、腰を据えてやる(勝つためにやっても、じっくりやっても、腰を据えてやっても負けるときは負ける)、という先入観に支配されている

3)対話環境の構築

(1)カウンターパート(対話窓口)の設営
 ・プレーヤーをどう性格付け(立ち位置)して、どういう目的を与えて、どう動いてもらうか?
 ・相手の見え方
 ・バイアスチェック・ストレステスト

(2)カウンターパート(対話窓口)からの情報発信デザイン
 ・一言一句事前に準備して、場合によってはリハーサルをして、交渉を制御する
 ・この営みをしかるべく、疎漏なく実施するには、弁護士とクライアント、双方の報・連・相(会議や連絡協議の場も必要)と、その前提としての管理資源、事務資源(状況のミエル化・カタチ化・言語化・文書化・フォーマル化を行う資源)、知的資源が必要

4)圧力手段の抽出と選択

圧力手段4種類
(1)刑事責任
(2)行政処分
(3)民事責任
(4)社会的責任

・相手の行いを「5W2Hの要素を含めて」整理して、証拠を添えて、メモにしてまとめる(いくつあってもいい)
・それから、上記の4つのうち、どれに使えるかを考える
・考えたら、圧力として実践する

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01812_続・弁護士としての価値

弁護士の助言に滅入るクライアントもいます。

ただ、それはお門違いというものです。

弁護士は、現実を提示しているだけです。

現実を、ありのままに、メタ認知(俯瞰認知)して、妙なセンチメントを混入させずに、フェアにお伝えしているだけです。

怒るとすれば、包み隠さず現実を提示した弁護士に対してではなく、現実に対して、あるいは、そのような現下の状況を作出せしめたクライアント自身に対して、怒り、後悔するほかありません。

不愉快な現実にぶち当たれば、精神衛生上、どうすべきか?

人それぞれでしょうが、著者は、坂本龍馬の作とも、高杉晋作の作ともいわれる都々逸を思い出しながら、乗り切ります。

何をくよくよ川端柳
川の流れを見て暮らす

最後に、相手との戦いをギブアップするという不本意な結論を受け入れた場合、予備計画(プランB)について聞かれれば、もちろん、弁護士は、作戦創造性において、あの手この手奥の手を構築することは不可能ではありません。

ただ、それについては、軽々しく披瀝することはありません。

状況と前提が整えばお伝えしますし、弁護士の価値はそこにこそあるのですから。

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01811_弁護士としての価値

弁護士は、紛争の専門家として、クライアントのおかれた状況を俯瞰し、
「法務・安全保障課題に関する前提リテラシーの実装と、評価・解釈・展開予測」
において、常に悲観想定をします。

「弁護士の悲観想定」とは、
言葉を換えれば、
「想像力ある知性」
ということです。

ようするに、弁護士は、火傷を負わなくても、ストーブの熱さが理解でき、そこに弁護士としての価値があるのです。

紛争を前に、クライアントには楽観想定をする自由と権利があります。

ただし、紛争は、
「本気で争わなければ」などという精神論
では勝てません。

弁護士は、どんなに不利でもクライアントへ力添えをする役割を全うしますが、状況の冷徹な認識をする際、精神論で状況を認識するような愚劣さを持ち合わせてはおりません。

結局、楽観想定を推し進めようとするクライアントは、自業自得、自己責任、因果応報、という帰結を受け入れることを求められます。

他方で、クライアントが、相手との紛争の状況と展開予測を現実的にみて、形勢不利とみて、
「やっぱり辞める」
ということは十分あり得えます。

たとえ正当性ではこちらに分があったとしても、戦局と資源動員と動員体制のレベルで劣悪な状況である場合、作戦原理で負ける可能性があるからです。

悪あがきであろうと、戦理に基づく可能性ある作戦展開であろうと、弁護士は、戦の専門家として、与えられた前提で、クライアントの指示に従い、その範囲と限度において最善を尽くすだけです。

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01810_弁護士との関係構築のあり方を考える(弁護士をサプライヤーとして処遇するか、パートナーとして処遇するか)

法務・安全保障課題を評価・解釈・展開予測するプロセスにおいて、クライアントは、委任する弁護士の取扱いについて、決めておかなければなりません。

すなわち、弁護士を、

1)パートナーではなく、サプライヤーとして、
「法務・安全保障課題に関する前提リテラシーの実装と、評価・解釈・展開予測」について
共有しない状態で、展開作戦にふさわしい予算環境を提供しないまま、機械的・事務的に対処させるのか、

2)サプライヤーではなく、報酬リスクを負担するパートナーとして、
「法務・安全保障課題に関する前提リテラシーの実装と、評価・解釈・展開予測」について
共有する状態で、展開作戦にふさわしい予算環境を提供し、正常な環境と士気を以て戦略的に対処させるのか、

ということです。

弁護士としては、(1)なのか(2)なのか確認できるまでは受任を差し控えることとなるでしょう。

弁護士の取扱いを決めることに慎重になるあまり、時間を費消しては、貴重な機会を逃しかねませんので、注意が必要です。

さて、受任した弁護士は、与えられた前提で、クライアントの指示に従い、その範囲と限度において最善を尽くします。

ところで、

弁護士として、(A)という悲観想定での展開予測を行ったものの、クライアントが、(B)という楽観想定を選択し弁護士に(B)を前提とした課題対処を求めた場合です。
そして、弁護士の想定(A)が現実化し、(B)が悪手となって、損害が重篤化した場合、たとえ弁護士として課題対処に関わったとはいえ、もともと、間違った想定が原因で発生した災いであり、責任は、楽観想定を選択したクライアントに帰すことになります。
したがって、法律上はもちろんのこと、事実上も道義上も、弁護士としては責任を負担しかねることとなります。この点は理の当然であることを、クライアントは了承ておかなければなりません。

というように、見ている風景が違うと、作戦計画も、作戦士気も、動員予算も、まったく違ってきます。

もちろん、(1)は(1)として構いません。

弁護士を(1)のサプライヤーとして委任するのか、(2)のパートナーとして委任するのかは、クライアントが決めることですし、弁護士は与えられた前提で最善を尽くすだけです。

ただ、弁護士として困るのは、展開予測において、(A)という弁護士の悲観想定と(B)というクライアントの楽観想定、予測がズレる場合です。

同床異夢だと、不幸な事故が起きます。

クライアントは、弁護士からの報連相(報告、連絡ないし相談)をしっかり、きっちり読んで理解しなければなりませんし、わからなければ、わからないと言う勇気も必要です。

特に有事の際は、事件や事案のフェーズは刻一刻と変化し、気づけば、
「こんなはずではなかったのに」
と後悔するクライアントも少なくありません。

満足する結果を享受するクライアントの多くは、弁護士を(2)のパートナーとして処遇し、弁護士としっかり連絡を取り合い、すべてにおいて、時間を費消させすぎずに(A)という悲観想定をしつつ決断し、合理的試行錯誤(PDCA)を遂行しています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01809_弁護士への外注_法務安全保証課題

1 法務・安全保障課題の発見・認知

法務・安全保障課題を対処する上では、契機となるインシデントが認知されなければ、課題認識を持てません。

この点、弁護士は社外の存在ゆえ、クライアントから持ち込まれることが前提となって、課題の発見・認知が可能となりますので、クライアントの協力が必須となります。

課題を発見・認知したところで、弁護士は都度
「これは法務課題(リーガルマター)です」
という形で指摘することとなります。

2 法務・安全保障課題に関する前提リテラシーの実装と、評価・解釈・展開予測

法務・安全保障課題が発見・認知された場合には、前提リテラシーを実装し、当該リテラシーを基礎に、評価・解釈・展開予測のプロセスが必要となります。

この点について弁護士はもちろん助言しますが、ただ、弁護士として披瀝した評価・解釈・展開予測の採否は、クライアントがジャッジするべき事柄です。

ここで、問題が生じる可能性があります。

たとえば、弁護士として、(A)という悲観想定での展開予測を行ったものの、クライアントが、(B)という楽観想定を選択し弁護士に(B)を前提とした課題対処を求めた場合です。

そして、弁護士の想定(A)が現実化し、(B)が悪手となって、損害が重篤化した場合、たとえ弁護士として課題対処に関わったとはいえ、もともと、間違った想定が原因で発生した災いであり、責任は、楽観想定を選択したクライアントに帰すことになります。

したがって、法律上はもちろんのこと、事実上も道義上も、弁護士としては責任を負担しかねることとなります。この点は理の当然であることを、クライアントは了承しておかなければなりません。

3 課題対処の計画立案

クライアントとしては、楽観想定(B)の方向では対処する意向ではあっても、悲観想定(A)の場合の計画もみてみたいので、動員計画(予算見積もり)を弁護士に求めることもあり得ましょう。

クライアントが楽観想定(B)を堅持し、楽観想定(B)に基づく具体的行動を計画・準備・着手し、また、この点について弁護士が支援をしている最中であったとしても、クライアントが所望すれば、弁護士は悲観想定(A)に基づく動員計画(予算見積もり)を予備的に提出することとなります。

4 課題対処の着手・遂行

課題対処の着手・遂行については、弁護士が同意する想定に基づく妙手・最善手のものであれ、弁護士としては同意いたしかねる想定に基づく悪手であれ、弁護士はできる限りの対処をします。

「弁護士としては同意いたしかねる想定に基づく悪手」
であったとしても、弁護士はクライアントの指示に従い、その範囲と限度において最善を尽くします。

ただ、弁護士の想定どおり芳しからざる結果となった場合、課題対処に関わったとはいえ、法律上はもちろんのこと、事実上も道義上も、弁護士としては責任を負担しかねることになります。

そのうえ、弁護士業務に関する一般的知見に属することでもありますが、弁護士は、与えられた前提で最善を尽くすものの、取引の性質が請負ではなく委任である関係上、その結果を保証するものではありません。

いわば、すべての事件や事案は、蓋然性に依拠するゲームであり、一定の前提や環境を所与として、合理的試行錯誤(PDCA)を遂行する営みですので、認識や評価が一致し、想定が共有された場合でも、結果については保証できない、ということなのです。

5 報連相(報告、連絡ないし相談)

課題対処を行う場合、報連相(報告、連絡ないし相談)という事務課題が発生します。

日常ビジネス活動とは違い、弁護士が関わる事案・事件は、いずれも、会社にとって大きな事柄です。

その意味で、クライアントは、弁護士からの報連相(報告、連絡ないし相談)を、しっかり、きっちり読み、理解しなければなりません。

他方で、機能的識字の限界等の問題もあり、弁護士からの報連相(報告、連絡ないし相談)を、理解できない方もいます。

そこで、弁護士としては、事案進捗毎に、トップだけでなく関係者一同に、説明をすることとなります。

クライアントによっては、
「会社の大きなビジネスの中で、法務は小さなもの」
「時間がもったいない」等、
安全保障を軽視する傾向にある方もいます。

しかし、安全保障については、軽視すれば軽視するほど、有事の際、時間を費消することになることも、頭に入れておかなければなりません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01808_プロジェクトを進めるには

プロジェクトを進めるには、

正しく状況を認知し、
正しく状況を解釈・評価し、
正しく改善相場観を理解し(そのためには会社法の知見が必須になります)、
正しく展開予測を行い、
正しくかつ現実的で合理的で達成可能で明快な目標を設定し、
正しく課題を抽出し、
正しく課題対処上の選択肢を創出し、
正しく選択肢のプロコン評価(メリット・デメリット評価)を加え、
最善の選択肢を選び、
正しいチーム体制や正しい受命者を選び、
正しくPDCA(合理的試行錯誤)を行う、
ということが必須になります。

これは、高度な知的な営みであり、相応の知的支援が必要であろう、と推測します。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01807_法務部を持たない零細企業が、法務部機能を顧問弁護士にアウトソースするケースについて考える

顧問契約は、顧問先企業に
「事務機能と法務上の執務に責任をもてる人間」
が存在することを前提に、
「助言を与える」
ことを本旨とするサービスです。

「事務機能と法務上の執務に責任をもてる人間」とは、
・企業内活動の言語化・記録化・文書化・文書データの整理・保存
・取引活動(ヒト・モノ・カネ・情報といった各資産の調達・運用や、商品・役務を顧客に提供する営業取引)の言語化・記録化・文書化・文書データの整理・保存
・平時の治安維持や危機予防・危機管理としての処置(発見・特定されたリスクについての予防措置の構築と文
といった組織の機能を担う人間です。

個人で経営する場合、経営者が
「事務機能と法務上の執務に責任をもてる人間」
を兼ねる方がいらっしゃいますが、平時ならいざしらず、有事の際は貴重な時間を喪失しかねません。

そこで、弁護士にアウトソースする、ということも考えられます。

弁護士が、
「事務機能と法務上の執務に責任をもてる人間」
に相当する機能をカバーする、ということです。

その場合、顧問料とは別に、費用がかかります。

費用についての考え方は人それぞれですが、一般的な法務・文書管理の専門スタッフを雇用するための人件費(経験者の中途採用となるので、年収450万円~)を考えると、格安ともとらえられましょうし、今後、信頼できる法務スタッフ雇用に成功した場合、そのまま引き継いで、弁護士のアウトソースコストを消失させることも可能です(弁護士は、一般の労働者のように解雇を巡って争うことはしませんし、手間がかかる割に利益が出ない、いわば、困っているクライアントを助ける暫定的サービスは、喜んで事務承継をするでしょう)。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01806_「弁護士との意見の違い」について

訴訟を提起するとなると、相手もあれやこれやと何かしら嫌がらせをしかけてくるでしょうし、それらに対処するための損害が想定される場合もあります。

弁護士は、論理と経験上の蓋然性にしたがって状況に対処する選択肢を創出しますが、法務相談者(大将)において、訴訟に不可避の損害を嫌悪するなら、訴訟などやめてしまったほうがいいでしょう。

「ジャングルで存分に戦ってほしいが、支給した新品のブーツには泥一つつけるな」
などという命令をする大将は、戦場には不要ですし、有害だということです。

あるいは、法務相談者(大将)が、弁護士の披瀝する選択肢をことごとく却下し、楽観的な自説を滔々と演説するのであれば、そもそも訴訟を起こすことなど不要でしょう。

また、大将のまわりに、楽観的な平和主義者(で、そのため、今日の惨状の出現に寄与した)がいるのであれば、その方はいわば、戦犯であり、完全に排除しなければなりません(この方が、弁護士と同程度の知性と感受性と洞察力と展開予測力をもって、楽観論に傾きがちな大将に注意喚起と警告を与えたものの、大将がその言を受け入れなかった、諫言の士であれば、チームに加えるべきでしょう)。

訴訟は、いわば軍事です。

そして、上記のことは、軍事の常識です。

「弁護士との意見の違い」
だったと、流すようなことではありません。

「弁護士との意見の違い」は、
リテラシーや認知や状況評価や状況解釈や展開予測や課題対処、要するに、頭の程度の問題です。

例えば、
「未来予測」や「展開予測」
というのは、すなわち、頭脳の質の問題です。

「未来予測能力が低い」
というのは、要するに、
「あたまが悪い」
ということです。

「危機状況を観察し、そこから経験上の蓋然性として想定される未来」
については、常に、一定の幅のある解釈が成り立ち得ます。

「それを甘く、軽くみて、何も備えない人」
と、
「保守的に想定して、(無駄になっても、保険と考えて)備える人」
との思考の差は、
「意見の違い」
ではなく、頭の程度の差なのであり、前者が、
「単にあたまが悪い」
というだけです。

「有事を想定して安全保障を備える人間の脳」
と、
「平和主義を唱えて安全保障をせず逆に安全保障を放棄して国家を危機に晒す人間の脳」
の違いは
「右か左か」の問題ではなく、
「上か下か」の問題なのです。

訴訟を起こさざるを得ないような現下の惨状がある、というのは、
「相手の頭が上で、当方の頭が下」
であった当然の帰結なのです。

厳しいようですが、これが現実です。

「弁護士とは意見が合わない。だから、もう、訴訟は起こさない」
というのであれば、最初から、相手に際限なき譲歩を行えばいいだけです。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01805_「弁護士との電子メールによる報・連・相体制の構築」の際に留意すべきアカウント名設定

メールアドレスを作成する際、ビジネス常識でいいますと、姓名が推測されるようなものを選択されることをおすすめします。

メールを送信する際、とくに、機微情報を含む連絡をする際、姓名とかけ離れたアカウントの場合、送信者に、アイデンティティ確認の負荷が生じますし、重要で緊急な作戦行動の障害になります。

また、個性豊かで、保有者推測不明なメアドを、
「重要で緊急な作戦行動のための機微情報」
を連絡する際のものとして使う場合であっても、最低限、アカウントの名称に、例えば、「○○○_プライベイトアカウント」
「○○○_緊急連絡アカウント」
等とすることが推奨されます。

拙速に判断すべき事柄が出来するようなメールが飛び交う、という状況もあるからです。

メールの誤送信があってはならないのは当然のこと、他のメールに埋もれる、あるいは受信しておきながら精読が遅れるようなことは忌避すべきです。

訴訟提起を前に、今後、密行性が要求され、露見によって重大な資産が喪失するリスクのある、緊張度の高い軍事作戦を立案・遂行していくには、気を引き締めなければなりません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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