01482_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>外国公務員贈賄防止コンプライアンス

日本企業が
「法制度の確立が未熟で、贈収賄が横行しやすい非欧米圏の新興国」
に進出する場合、現地行政官への贈賄を通じてビジネスを円滑化するという悪弊が慣行化していきました。

他方、これを贈賄罪等で摘発しようとしても、そもそも当該贈賄は進出当事国の国家的法益の問題であり、
「日本の刑法の贈賄罪が、外国の国家的法益を保護するために、日本の主権の及ぶ範囲を越えて、海外で適用される」
等ということも法理上あり得ません。

しかしこのような新興国への腐敗を助長する行為が国際的に違法視されるようになり、これを受けて、
「ビジネス版不法行為総則」
ともいうべき不正競争防止法は、国境を越えた企業のアンフェア営業・セールス活動にも積極的な規制を及ぼすようになりました。

具体的には、不正競争防止法2004年改正により、それまで刑法では不可罰であった外国公務員への贈賄行為も
「不正競争行為」
として規制されるようになり、違反行為に対して刑事罰が科されるようになりました。

外国公務員贈賄防止コンプライアンスを確立する上では、不正競争防止法を所管する経済産業省の外国公務員贈賄防止指針経済産業省ウェブサイト)が参考になります。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01481_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>国際商品売買(貿易取引)における決済方法

1 L/C

国際商品売買(貿易取引)の決済手法として著名なものにL/C(Letter of Credit、信用状)があります。

貿易取引においては、取引の相手方が遠隔の外国にいるため、
「商品を発送したとしても、買手が対価支払いをしない、あるいはできないのではないか」
との不安を招来します。

このような不安を解消するものとして、荷為替手形という方式(輸出代金を額面とする為替手形に船積書類を添付する方式)がありますが、 この方式に銀行による信用供与を加えてさらに確実にしたものが、L/C決済というシステムです。

2 国際ファクタリング

以上のようなL/C決済に加え、最近では、L/Cの事務負担を軽減し、より迅速化した決済手段として国際ファクタリングの利用が増えてきました。

国際ファクタリングとは、ファクタリング(他人が有する売掛債権を買い取って、その債権の回収を行う金融サービス)の仕組みを利用したもので、世界各国にネットワークを有する国際ファクタリング組織が海外販売先(輸入者)の信用調査を行い、その信用リスクを保証する形で輸出代金決裁を行う仕組みです。

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01480_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>貿易保険

貿易保険は、日本企業の貿易や海外投資等、国際取引にかかるリスクを回避するための保険の1つで、
「国際取引に対応した取引信用保険」
と考えることができます。

この保険は、公的機関である独立行政法人日本貿易保険が行っているもので、

・戦争や政情不安定、政策的な外貨送金規制等、取引先が属する国自体を原因とするリスク
・取引先の支払遅延や破綻等の与信リスク

といったリスクをヘッジしています。

具体的な保険の種類としては、

貿易一般保険(個別保険)
貿易代金貸付保険(2年以上)
企業総合保険
貿易一般保険(技術提供契約等)
輸出手形保険
前払輸入保険
海外投資保険
海外事業資金貸付保険
与信管理
限度額設定型貿易保険
知的財産権等ライセンス保険
中小企業輸出代金保険
簡易通知型包括保険

といった保険がありますが、詳細は独立行政法人日本貿易保険の保険商品説明のURLに掲載されています。

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01479_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>非欧米諸国に製品を輸出する場合の外為法コンプライアンス

欧米諸国に対して日本製品を輸出する場合はそれほど問題とはなりませんが、非欧米諸国への製品輸出に関しては、
「兵器の製造・開発などに転用されるおそれのある製品」
に関して安全保障貿易管理上の規制が及ぶ場合があります。

安全保障貿易管理とは、
「外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下、「外為法」)」
に基づく国際テロ等への対策を目的とした輸出規制であり、具体的には、以下のとおり、
「リスト規制」
「キャッチオール規制」
の2種の規制が存在します。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
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そして、上記規制については一般に知られていませんので、知らないが故に規制違反の輸出を行ってしまう可能性があります。

この点に関し、実際、東証一部上場の機器メーカーであるヤマハ発動機が、上記許可を得ずに軍事転用可能な無人ヘリコプターを中国企業に輸出したとして、同社従業員3名が2007年2月に外為法違反及び外国貿易法違反の疑いで逮捕される、という事件が発生しています(最終的には、法人としての同社が略式起訴され罰金刑を受ける結果となりました)。

以上のとおり、安全保障貿易管理に関する規制違反行為に対しては厳しい制裁が予定されており、注意と警戒が必要です。

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01478_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>中国から撤退する際の手続

日本企業の中国への進出が拡大する一方、様々な理由で中国から撤退を検討する企業も増え始めているようです。

撤退の際、設立した合弁企業等を解散・清算することになりますが、その際、

・解散決議の際、中国側パートナーが反対してデッドロックに陥った場合の対応
・中国側が出資した資産に不動産等の国有資産が含まれていた場合の処理や
・労働者の解雇の問題
・税制上の優遇措置を受けていた場合の事後処理等

様々な法的課題があり、予防法務の観点からの対策が必要となります。

1 中国法人解散における原則的手続

合弁企業等を解散するには、

・「董事会(日本の会社法における株主総会と取締役会の権限を併有した機関)」による全員一致の解散決議
・董事会による全員一致の解散決議書の作成及び審査許可機関への提出
・審査許可機関による当該決議の批准

といった手続が必要となります。

ところが、合弁企業における中国側パートナーは、解散に伴い、それまで享受していた合弁企業に対する各種優遇措置や、日本企業から提供を受けていた豊富な資金、優秀な人材、高度な技術等を失うことになります。

このようなことから、中国における合弁企業を解散する際、中国側パートナーの徹底した抵抗に遭遇し(しかも前述のとおり解散要件として全員一致決議が要求されているので日本企業としてもこれを無視しては先に進めないことになります)、
「いつまでたっても合弁企業の解散ができない」
というデッドロック状態に陥るリスクがありえます。

2 中国会社法(公司法)改正による解散要件の緩和

以上のような状況を受け、中国会社法(公司法)が改正され、一定の条件を具備した場合、解散を希望する会社の株主が人民法院に対し会社解散請求を申立てることができる、という制度が導入されました(「会社解散訴訟制度」。公司法183条)。

また、中国政府により公布・施行された
2008年5月5日付
「外商投資企業の解散及び清算業務を法に基づき適切に行なうことに関する指導意見(商務部意見)」3条
及び
2008年10月20日付
「外商投資企業の解散抹消登記管理に関連する問題の通知(工商・商務通知)」2条1項
によって、外国資本と中国資本によって設立された合弁企業にも上記会社解散訴訟制度が適用されることになっています。

これにより、
「董事会」
による全員一致の解散決議がなくても、人民法院の決定等を得ることで合弁会社の解散を進めることが可能となりました。

3 合弁企業が国有資産の出資を受けていた場合の清算手続

合弁企業設立に際して中国側が国有資産を出資していた場合、解散するにあたり、中国政府が指定する機関による価格評価や国有資産管理部門の確認等の手続が必要となります。

この手続を憚怠して財産処分をした場合、当該処分が無効となる場合もあるので注意が必要となります。

4 合弁企業が税制優遇措置を受けていた場合の手続

合弁企業が輸入関税上の優遇措置あるいはその他の免税措置を受けていた場合、解散にあたって、免除された税金の一定割合を追徴される場合があります。

中国における合弁企業解散にあたっては、上記のような税務課題もふまえて、必要な清算原資を確保して進めていく必要があります。

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01477_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>中国における債権回収事故の予防

中国においては、国民性、商慣習、企業体質等の面から、債権回収事故が生じやすく、予防法務上適切な対応が必要となります。

1 三角債(の抗弁)

中国において債権回収を行う過程で
「三角債(の抗弁)」
と呼ばれる理由をもって支払いを拒まれることがあります。

「三角債(の抗弁)」
とは、第三債務者、すなわち債務者が売掛債権を有する取引相手が債務を支払わないことを理由に、自己の債務の支払いを停止することです。

無論、法的根拠はないのですが、中国の商慣行では
「商流の下流の相手が払わない以上、こちらが払わないのは当然である」
という強固な考え方があるため、全く悪びれることなくこのような抗弁を持ち出されます。

債権管理・回収上、非常に大きな障害となるので、このような事象をふまえて、信用管理を行うべき必要があります。

2 不当な支払遅延

また、中国においては、経理の仕事が
「キャッシュフローを改善し、手元資金を厚くすることであり、そのためにあらゆる手段を講じること」
と理解されている節があります。

このため、債務者である中国企業の経理担当者が主体となって故意に支払を不当に遅らせる、といった事態が頻発します。

すなわち、納品が終わり支払期限が到来している債務が支払われなかったため、債権者の営業担当者が債務者の経理担当者へ連絡をすると、
「上司から請求書が下りてきていない」
「支払の責任者が出張中でわからない」
「既に支払っている」
「商品を返品したい」
等といった弁解が延々と行われ、支払いを不当に渋る、といつた事態に遭遇します。

3 推奨される信用管理

以上のような、中国での債権回収事故に対する予防対策として、以下のような方法が考えられます。

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01476_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>取引先のデフォルト対策の重要性

非欧米諸国の企業と国際取引する場合や、ジョイントベンチャー契約を通じて進出していく場合においては、常に契約違反があった場合を想定したリスク管理が必要となります。

特に、非欧米圏の新興国の企業や法人に関しては、契約違反によって損害を被って裁判に勝ち、あるいは有利な仲裁判断を得ても、みるべき資産がなく、
「訴訟に勝ったが、結局、取りっぱぐれた」
というケースも少なくありません。

したがって、信用や財産に乏しい相手先と国際取引を行う場合、事前に相手の資産調査を入念に行い、必要に応じて、確実な担保を設定するなど、
「いつデフォルトされても、確実に回収して撤退できる」
準備を整えておくべきです。

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01475_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ3)>予防対策フェーズ>法令スタディー

非欧米圏において各種取引を行う際、準拠法を日本に引っ張り込むことができればリスクを大幅に低減させることが可能ですが、交渉環境上そのような相手に契約条件を呑ませることができない場合や、現地に進出する場合(現地法人の設立、現地企業の買収を行う場合)には、進出当事国の民商事法に準拠することになります。

他方、非欧米諸国においては、法令の内容や運用の実態に関する情報が乏しいため、法的リスクの解析が難しく、予防対策が難航しがちです。

とはいえ、法令の内容や運用の実態に関する情報全てを入手しようとしても、コストが膨大なものとなってしまいます。

そこで、法令環境に関する情報が乏しい国において各種取引構築を実施する際、ある程度ポイントを絞って予防法務上のケアを行っていくことになります。

以下、ポイントとなるべき項目を紹介しておきます。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01474_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>シンガポール

世界有数の貿易港、国際的ハブ空港を保有するシンガポールですが、先般のリーマンショックにもかかわらず、2009年4月頃から経済が回復基調にあるようです。

シンガポールでは、他のアジア諸国と異なり、原則として、外国資本による全額出資が認められており、また、一部の国家の安全保障に関わる企業の場合を除き、産業ごとに限定的な制限があるだけです(例:新聞社やテレビ局等の放送会社の株式保有は5%以内)。

次に、シンガポールにおける上場環境ですが、現在、シンガポールの証券取引所であるSGX(Singapore Exchange Ltd.)には、2012年時点で308社の外国企業が上場している(実に、上場企業の約40%近くを占める)ことからも明らかなとおり、税制面、地政面等の点において、外国の銀行、証券会社その他の金融関連会社等にとって極めて魅力的な上場環境を提供しています。

SGXは、
「メイン・ボード(メジャーマーケット)」

「カタリスト(新興市場)」
と呼ばれる市場があり、
「メイン・ボード」
では、株式の取引市場のほか、債券、預託証券、不動産投資信託等の取引市場もあります。

それぞれの上場審査基準(抜粋)は次の図のとおりとなっています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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01473_非欧米国際法務>非欧米国際法務(フェーズ2)>経営政策・法務戦略構築フェーズ>香港の資本市場

日本企業の中には、低迷が続く日本の資本市場に限界を感じ、
「近隣の、より整備が進んだ資本市場において株式を公開し、資金調達の前提を整える」
といったことを具体的に検討する企業が増えています。

そこで、本節では、先進的金融マーケットを有する香港やシンガポールの資本市場への参入を検討する場合における企業法務(経営サポート法務)上のポイントを概説していきます。

香港の資本市場

イギリス軍による1841年の占領以降、イギリス資本主義の下、世界貿易の中心地として発展してきた香港ですが、資本市場の特徴として、
1 会計帳簿、監査報告書の強固な信頼性、
2 経験豊かなアドバイザーが多く、各種プロセスに透明性があること、
といったことが挙げられます。

香港における株式公開状況ですが、2013年4月時点において、その取扱い株式の時価総額はいまだ東京証券取引所の70%程度に留まります。

しかしながら、外国企業の上場数、機関投資家や個人投資家の質、数、取引所に占める外国企業株式の時価総額の比率等を考えれば、遠くない将来、低迷する日本市場を追い抜くとも考えられています。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

香港の証券取引所は、チャイナ・モバイル、香港上海銀行、中国石油といった大企業が上場する
「メイン・ボード」
と呼ばれる
「大規模かつ安定事業基盤を有する企業(日本でいう一部上場企業に相当)」
向けの市場と、GEMと呼ばれる
「それ以外の企業(日本でいう二部上場企業等に相当)」
向けの市場があります。

GEMにおける上場基準は以下の図のとおりであり、スポンサーと呼ばれる香港証券取引所から認定された証券会社が審査して上場適格と判断し、これに香港証券取引所が異議を述べなければ、上場することができます。

日本の上場手続と比較しても短期間で実施することも可能です。

【図表】(C)畑中鐵丸、(一社)日本みらい基金 /出典:企業法務バイブル[第2版]
著者: 弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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