02012_公正証書とは(教えて!鐵丸先生Vol. 20)

<事例/質問> 

公正証書とはなんですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

公正証書とは、一般の人々の要請(嘱託)に基づいて作成される私的な権利義務に関する文書です。

法律の専門家である公証人が内容を確認し、公証人法に基づいて作成する公文書です。

公証人は、裁判官や検察官のOBが務め、公証役場という独立採算制の施設で活動しています。

日本全国に多くの公証役場があります。

公正証書は、私人の権利関係を扱いながらも公文書としての性格を持つため、高い証明力を持っています。

特に金銭債務の支払いを内容とする契約では、公正証書を作成することで、債務者が支払いを怠った場合、裁判を経ずに直ちに強制執行手続きに移ることができます。

通常の借用書や銀行との契約書では、たとえ弁護士が作成したものであっても、債務者が支払いをしない場合には裁判所に訴えを起こし、判決を得る必要があります。

この手続きには時間や費用、エネルギーがかかります。

しかし、公正証書で金銭消費貸借契約書を作成しておけば、判決と同じ効力を持つため、即座に強制執行にかかることができます。

公正証書は非常に強い効力を持つため、重要な契約に関しては多少のコストがかかっても公正証書化を検討する価値があります。

特に、金銭消費貸借契約(貸金契約)で抵当権などを設定しない場合には、公正証書が非常に有効です。

支払い懈怠があった際、公正証書が強力な力を発揮するため、債務者への融資条件として公正証書化を求めるべきです。

公正証書は契約内容を明確にし、法的トラブルを防ぐための強力なツールです。

大事な契約を結ぶ際には、ぜひ公正証書の作成を検討してみてください。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02011_M&Aで売り手側の契約書は分厚いほうがいいのか(教えて!鐵丸先生Vol. 19)

<事例/質問> 

代々続いた家業を売却するのですが、税理士さんに任せていろいろやってもらっています。

M&Aという割に、ペラペラの契約書で心配です。

もっと分厚い契約書にしておくべきではないでしょうか。

その方が、安心できますので。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

日本の産業界では、長い間、
「信頼関係」
に基づく簡素な契約書が尊ばれてきました。

しかし、市場が縮小し、競争が激化する中で、外資や新興企業の参入も増え、欧米流の詳細な契約書が主流になっています。

これにより、
「ペラペラの契約書では不安」
という声も増えてきました。

とはいえ、分厚い契約書が常に有利とは限りません。

特に
「M&Aの売り手側」
にとって、分厚い契約書は逆効果です。

売り手側にとって最も有利な立場は、
「現状有姿で売り逃げる」
ことです。

詳細な契約書を作成すればするほど、売却後も様々な責任を負うことになります。

したがって、契約書はシンプルであることが理想です。

例えば、会社の実情が思ったより悪くても、見えない債務やリスクがあっても、保証を一切せずに売却することが望ましいです。

契約書には全株式譲渡とその対価のみを記載し、その他の詳細な取り決めは避けるべきです。

法的に問題がある表現が含まれていても、それは買い手側が裁判で不利になる可能性を秘めているため、あえてそのままにしておくのも1つの戦略です。

相手方(買い手側)が簡素な契約書を提案してきた場合、それは歓迎すべきことです。

細々とした契約内容を定めることは、売り手側が自分の首を絞めることになります。

買い手側の提案を無条件に受け入れることで、売り手側の義務を軽減することができます。

「売り切り御免。保証なし」
を明確にする条項を盛り込むことが重要です。

M&A後に買い手から
「欠陥がある」
「話が違う」
などのクレームを防ぐためには、
「アンチ・サンドバッギング条項」(欠陥があるとわかっている場合、後から文句を言えない)

「売り切り御免条項」
を契約書に入れておくことが有効です。

また、株券の引き渡しと代金の支払いは完全な同時履行にすることで、買い手側がリスクに気づいて支払いを渋る事態を避けることができます。

分厚い契約書があるから安心できるという考えは必ずしも正しくありません。

取引の内容や相手の信頼性をしっかり確認し、売り手側にとって有利な契約条件を確保することが最も重要です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02010_分厚い契約書は安心できるか(教えて!鐵丸先生Vol. 18)

<事例/質問> 

分厚い契約書だから安心できると考えていいのでしょうか

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

契約書は約束の記録に過ぎません。

そのため、記録が分厚いからといって、約束が確実であるとは限りません。

内容が狂っていたり、実現不可能だったり、詐欺師や信用できない相手との契約であれば、どれだけ分厚くても必ずトラブルになります。

特に最先端技術や金融、投資、海外取引などの分野では、分厚い契約書に安心していたら騙された、失敗したという話が多くあります。

例えば、AIやRPA、仮想通貨のマイニング、太陽光発電、デリバティブ取引など、複雑な取引では、契約書の分厚さではなく、その内容の合理性が重要です。

内容を確認せずに取引を進めると、大きな問題に発展する可能性があります。

あるお客様の事例では、英語の契約書で独占販売権を設定した販売代理店契約を結びましたが、他にも代理店契約が結ばれており、自社の権利が無視されていました。英語で
「non-exclusive representative」
と書かれていたにも関わらず、誰もそれをしっかりと読んでいなかったため、分厚い契約書に安心していたのです。

契約書は、契約当事者が約束した内容を正確に記述するものです。

しかし、約束の内容が狂っていたり、不利だったり、目的が不明確であったりすると、その契約書も狂った内容や不明瞭な内容となってしまいます。

時間がないからといって契約書をしっかり読まずにサインするのは避けるべきです。

ラッシュディールはバッドディールという言葉がありますが、急いで結んだ契約は良い結果を生まないことが多いのです。

分厚い契約書があるから安心できると考えるのではなく、その内容をしっかり確認し、理解することが重要です。

契約書の外見やボリュームではなく、内容が肝心です。

契約書をしっかり読まずに安心するのは危険です。

契約相手の信用性や履行能力、そして取引内容の合理性や明確さが揃って初めて安心できる取引となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02009_契約書さえ作っておけば安心できるか(教えて!鐵丸先生Vol. 17)

<事例/質問> 

契約書さえ作っておけば、後は安心できますでしょうか

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

契約書は約束の記録や証拠に過ぎません。

契約書がしっかりしていても、約束を果たせるかどうかは他の要因にも大きく依存します。

まず重要なのは、契約相手が信用できるかどうかです。

例えば、契約書は完璧でも、相手が前科のある詐欺師なら事件になる可能性があります。

また、事業が危機的状況にある相手にお金を貸す場合も、契約書がどれほどしっかりしていても返済は期待できません。

契約相手が約束を果たせる状況にないからです。

さらに、契約相手が誠実であっても、能力不足の場合も問題です。

例えば、経験や知識のない人に大きな投資や専門的な業務を任せるのは、契約書が完璧でも実現不可能です。

実現可能性や前提条件に誤りがある契約も問題です。

経験や知識がないまま大規模なプロジェクトを引き受け、結果的に納期遅れや予算オーバーとなることがあります。

システム開発やAI、省力化プロジェクトなどでは、追加開発費用が膨らみ、最終的に契約破棄に至ることもあります。

東京地裁にある建築紛争やIT紛争専門部のように、契約書がしっかりしていても相手のスキルや能力を誤解したために起こる紛争が多いです。

取引条件が不明確であったり、表現が曖昧であったりするとトラブルの原因となります。

例えば、期限やスペック、ペナルティが明確でない契約は、実行が遅れたり、言い訳がましくなったりします。

要するに、契約書があるだけでは不十分であり、取引相手の信頼性や履行能力、取引内容の合理性や実現可能性、そして契約内容の明確さがすべて揃って初めて、安心できる取引となります。

契約書がいくらしっかりしていても、それを実行できる相手でなければ意味がありません。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02008_弁護士の契約書作成費用、作成費用を安くする方法(教えて!鐵丸先生Vol. 16)

<事例/質問> 

弁護士さんに契約書作成を頼むと、どのくらいかかりそうですか?

安く上げる方法とかないですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

契約書の作成費用についてお話します。

費用は、定型契約とユニークな契約で異なります。

定型契約は既製服のようなもので、取引価額1億円までなら5万円から30万円程度、1億円を超えると別途相談となります。

一方、ユニークな契約はオーダーメイドのようなもので、取引価額3億円までなら10万円から120万円程度、3億円を超えると応相談となります。

さらに、非常に複雑な契約の場合はタイムチャージとなり、1時間あたり2万円から8万円ほどの費用がかかります。

契約書作成費用を抑える方法としては、まずネットで探した契約書の書式を使用し、自分で必要な情報を埋めた後に弁護士にチェックしてもらう方法があります。

また、弁護士と顧問契約を結ぶことで、定型契約書式を顧問料の範囲内で提供してもらい、最後にチェックしてもらうことも可能です。

さらに、難易度が高い契約の場合でも、事前に定額制や上限予算を設定することで、タイムチャージを避けることができます。

一方で、弁護士費用を節約しようとして絶対に避けるべきこともあります。

例えば、相手方の弁護士が作成した契約書をそのまま使用することは避けるべきです。

必ず自分の弁護士にレビューしてもらうことが重要です。

弁護士は依頼者に忠誠を尽くすため、相手方の利益を優先した契約書を作成することがあるからです。

また、素人に契約書作成を任せることも避けるべきです。

過去のテンプレートを見様見真似で作成すると、後々の紛争の原因となるリスクがあります。

良い経営者は弁護士費用を保険のように捉え、適切なリーガルコストを設定しています。

例えば、取引金額の1%や0.5%をリーガルコストとして見積もるなど、事前に費用を見積もる工夫をしています。

弁護士費用をケチりすぎると、後々高くつく可能性があるため、慎重に考えることが大切です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02007_契約書は作らなければならないのか?(教えて!鐵丸先生Vol. 15)

<事例/質問> 

契約書はどうしても作らなければならないのでしょうか?

弁護士に以来すると、お金もかかるし、相手も信頼できそうなので、契約書なしで先に進めたいのですが。

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

契約書を作ることは法律で強制されているわけではありません。

契約とは約束であり、その約束は口頭でも成立します。

契約書は、約束の記録に過ぎません。

たとえば、ゴルフを仲間内で楽しむとき、スコアをつけるかどうかは自由です。

契約書も同様に、記録を残したいなら作ればいいし、不要なら作らなくてもよいのです。

ただし、これが大規模な取引や多額の金銭が関わる場合には、事情が異なります。

「信頼関係で取引するので契約書は不要」
と考えることもあるでしょう。

また、弁護士を通すと面倒になり、契約書を作ると手続きが遅れるといった懸念もあります。

しかし、信頼関係だけで進めることができるのは小額な取引に限られます。

数千円や数万円の話なら問題ないかもしれませんが、億単位の取引となるとそうはいきません。

契約書を作成することで、
「契約が存在したこと」

「契約の具体的内容」
を示す証拠が残ります。

これは、後々のトラブル防止に非常に重要です。

特に、大規模な取引では小さな勘違いや食い違いが大きな問題となり、億単位の損失を招くこともあります。

実際のビジネスでは、些細なことが原因で
「言った言わない」
の争いが起きることは日常茶飯事です。

これを避けるためには、多少の時間とコストをかけてでも契約書を作成し、合意内容を文書化することが大切です。

要するに、法的には契約書が必須ではありませんが、大切な取引や大金が関わる場合には、トラブルを未然に防ぐために契約書を作成することが賢明です。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02006_会社の借金について、名前だけの取締役は責任があるのか(教えて!鐵丸先生Vol. 14)

<事例/質問> 

会社経営していた主人が経営に失敗して、会社で多額の借金を作りました。

主人は借り入れの際に連帯保証をしております。

私は、一部出資して、名前だけの取締役にもなっていました。債権者から私にも責任がある、と言ってかなりきつく言われています。

どうしたらいいですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

結論から言います。

取締役を辞任して、あとは放置するだけで大丈夫です。

一切、電話や債権者からの連絡に応じる必要はありません。

もし債権者がしつこく迫ってくるなら、警察に相談してください。

借金は会社やご主人の債務であり、あなた個人の債務ではありません。

ご主人の名義の財産は差し押さえられる可能性がありますが、あなた名義の財産には一切影響はありません。

エルメスやジミーチューのような個人所有の物は差し押さえの対象外です。

理論的には取締役として責任を問われる可能性はありますが、それも裁判で債権者が勝訴して初めて取締役責任を負うことになります。

単に
「商売に失敗した」
だけでは取締役としての責任は発生しません。

会社法における
「経営判断の原則」
によれば、経営者が必要な情報を得て、会社の最大の利益になると信じて行った判断については、後から責任を問われることはありません。

この法理は、取締役が経営判断において一定の裁量を持ち、結果的に会社が損害を負ったとしても、それが正当な判断であれば責任を問わないというものです。

これにより、取締役が責任を恐れて萎縮することなく、積極的に経営判断を行えるようになっています。

要するに、あなたが妻として責任を負う必要は全くありません。

役員としての責任もほとんど発生しません。

ご主人は連帯保証人となっているため債務の責任を負いますが、あなたは全く関係ありません。

実際に、同様の状況で会社とご主人が破産し、奥さんだけが無傷で、奥さん名義で新しい会社を設立しているケースもあります。

このような場合、奥さんは新しい会社を運営し、ご主人はそのサポート役として活躍することができます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02005_友人のベンチャー会社の負債について、株主は肩代わりしなければならないのか(教えて!鐵丸先生Vol. 13)

<事例/質問> 

友人が作ったベンチャーの株式会社に一部出資しましたが、これが経営に失敗して、多額の負債を背負い込んでしまいました。

株主の私は、負債を肩代わりしなければなりませんか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

結論から言います。

株が紙くずになるだけで、あなたは多額の負債を肩代わりする必要はありません。

株式会社には法理論上、責任者はおりません。

株式会社制度は
「誰も責任を取ることなく、好き勝手やりたい放題でき、金もうけができ、もうかったら分け前がもらえるオイシイ仕組み」
として誕生したものです。

出資者はやばくなったら合法的に堂々と逃げ出せるように設計されています。

例えば、
「株式会社とは、社会に散在する大衆資本を結集し、大規模経営をなすことを目的とする。当該目的を達成するためには、多数の者が容易に出資し参加できる体制が必要である。そこで、会社法は、株式制度(104条以下)を採用し、出資口を割合的単位として細分化した。また、出資者の責任を間接有限責任(104条)とし、社員は、債権者と直接対峙せず、また出資の限度でしか責任を負わないようにしたのである」
という説明があります。

これは、要するに
「デカい商売をするには少数の慎重な金持ちよりも、山っ気のある貧乏人の小銭をたくさん集めた方が元手が集めやすい。とは言え、小口の出資しかしない貧乏人に会社がつぶれた場合の負債まで負わせると誰もカネを出さない。だから『会社がぶっつぶれても出資者は出資分をスるだけで、一切責任を負わない』という仕組みにしたのが株式会社だ」
ということです。

「株主は有限責任を負う」
とは、社会的には
「無責任」
という意味と同義です。

ちなみに、
「有限会社」

「有限責任組合」

「無責任会社」
「無責任組合」
という意味です。

「ホニャララ有限監査法人」
とは、
「監査法人がどんな不祥事を起こしても出資した社員の一部は合法的に責任逃れできる法人」
という意味です。

ただし、連帯保証の念書などを差し入れてしまうと話は別です。

これは、株主として責任を負うのではなく、保証人としてハンコをついてしまった結果、自業自得で保証人として責任を負うことになります。

ですから、債権者から
「株主としての責任」
などと迫られても、絶対にハンコをついてはいけません。

そうすると有限責任から無限責任に変わってしまいます。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02004_会社を作りたいが、その種類と選びかた(教えて!鐵丸先生Vol. 12)

<事例/質問> 

会社を作りたいのですが、どんな会社があって、どうやって選ぶんですか 

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

まず最もポピュラーなのが株式会社です。

株式会社は資本金1円から設立可能で、株主は出資金がゼロになればそれ以上の責任を負わない、つまり有限責任の会社形態です。

有限会社も同様に有限責任ですが、かつては300万円以上の資本金が必要でした。

現在は新規設立ができず、既存の有限会社がそのまま残っているだけです。

次に、合名会社という形態があります。

合名会社ではオーナーである社員が無限責任を負います。

会社の負債や賠償責任を個人の財産でカバーする必要があるため、リスクが高いです。

合資会社は無限責任社員と有限責任社員が混在するハイブリッド型の会社です。

このため、オーナーの中には無限責任を負う者もいます。

最後に、合同会社があります。

合同会社もオーナーは有限責任で、比較的新しい会社形態です。

株式会社に似た柔軟性を持っています。

有限責任とは、出資金の範囲内でのみ責任を負うことを指します。

つまり、出資金を放棄すれば、それ以上の負担はありません。

一方で、無限責任は会社の負債を無制限に負担することを意味します。

会社のトラブルが個人の財産に直接影響を与えるため、非常にリスクが高いと言えます。

会社形態を選ぶ際のポイントとしては、まずリスク管理が挙げられます。

リスクを限定したい場合は、有限責任の会社形態(株式会社、有限会社、合同会社)を選ぶと良いでしょう。

また、少額の資本金で始めたい場合は、資本金1円で設立可能な株式会社が適しています。

責任の範囲を明確に分けたい場合は、合資会社を検討するのが良いでしょう。

家族経営などで責任を共有できる場合は、合名会社も選択肢となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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02003_個人事業を法人にするメリット(教えて!鐵丸先生Vol. 11)

<事例/質問> 

個人事業を法人にしようか、という話を聞きますが、なんで、法人にするんですか?

何かメリットとかおいしいこととかあるんですか?

<鐵丸先生の回答/コメント/助言/指南>

法人とは、財産の集まりを人並みに扱い、取引や契約に参加できるようにする制度です。

個人事業主として商売をする際に会社を設立する義務はなく、屋号を使って商売する人もいます。

例えば、
「安田屋」

「成田屋」
といったビジネス版ペンネームのようなものです。

個人事業主として屋号を法務局に登記することも可能です。

例えば、
「8代目Jヒップヒップブラザーズ」
として歌と踊りの営業をしたい場合、登記できるのです。

もちろん、法人化することもできます。

司法書士に依頼して株式会社を設立し、そのオーナーや代表取締役になることも可能です。

資本金は1円でもOKです。

小学生が
「将来の夢は社長さん」
と言うように、理論的には1円持っていれば社長になれます。

しかし、実際には司法書士への報酬や登録免許税、ハンコの作成などの費用がかかります。

最も安く社長になるなら、7600円程度のプランもあります。

法人化のメリットはまず、事業や商売を子供に相続できる点です。

法人は
「継続企業の仮定」
に基づき永遠の生命を持ちます。

さらに、法人化することで責任の防波堤となります。

個人事業主が責任を負う場合、賠償や破産の可能性がありますが、法人にすると責任を法人に押し付けられます。

また、会社の社長という肩書きもかっこいいです。

税務面では、法人と個人事業主に大差はありません。

法人は収入が一旦法人に入り、法人税が取られます。

実効税率は34%弱で、そこから個人に給料や配当として渡される際に所得税が引かれます。

よって、税務的なメリットはどちらもどちらです。

最後に、弁護士法人についても触れておきます。

弁護士法人は法人化した法律事務所のことで、法人化していない法律事務所はトップが個人事業主となります。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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