01555_ウソをついて何が悪い(5)_「ウソつき」人口密度がもっとも高い裁判所

裁判とは、「お互い言い分が違う人間が、第三者に言い分と証拠を判断してもらって紛争を解決するシステム」のことをいいますが、より簡潔にいうと「どちらかがウソをついている場合に、『ウソをついているのはどちらか』をはっきりさせるための制度」ということになります。 わが国において、裁判という国家作用(司法権の行使)を独占的に実施...

01554_ウソをついて何が悪い(4)_「ウソつき」は社会的成功のはじまり

芥川賞作家の花村萬月氏は、ある小説で「小説家とは、小説という小さなウソを本にして生活する稼業だ」という趣旨のことを書いていました。 考えてみれば、エンターテイメントの才能というのは、「いかに上手に、世間が楽しめるウソをつけるか」という類のスキルといえます。 事実を正確に伝えるだけであれば誰でもできますし、無論、その種の...

01553_ウソをついて何が悪い(3)_「ウソ」をつく自由と権利

嘘をつくことは犯罪でありません。 さらに進んで、法律上、人には「ウソをつく自由と権利」が与えられているようにも思います。 エンターテイメントの世界では、虚構の世界を構築したり、話を面白くするために少し誇張をしてみたり、ということがよく行われます。 事実に即したドキュメンタリー番組は誰も見向きもしませんが、誇張や虚構を極...

01552_ウソをついて何が悪い(2)_「ウソ」は犯罪か?

俗に「ウソつきは泥棒のはじまり」といいますが、そもそもウソをつくことは罪なのでしょうか。 まず、「ウソつき」行為一般を処罰する法律はありません。 すなわち、刑法のどこをみても、「ウソつき一般=犯罪」とする規定はなく、したがって、「ウソをつく行為一般」については何ら犯罪を構成しません。 考えてみれば当たり前です。 男性が...

01551_ウソをついて何が悪い(1)_一般社会常識における「ウソ」

「ウソをついて何が悪い」という挑発的なタイトルを付けさせていただきましたが、本稿から「ウソ」あるいは「ウソをつく行為」をテーマに、法律を交えてお話したいと思います。 われわれは小さいころから、「ウソをつくと地獄で閻魔様に舌を抜かれる」「ウソつきは泥棒のはじまり」などと繰り返し教えられるなど、「ウソつき=重大な犯罪行為で...