02193_ごまかしと先送りを排す。再建の成否を決めるのは「裏技」ではなく、経営者の法務リテラシー
「裏技で切り抜けられる」。 そう考える経営者は少なくありません。 かし、経営危機に必要なのは「裏技」ではなく、条件を定め、準備し、決断を実行する力です。 これを私は経営者の法務リテラシーと呼んでいます。 やるべきことは複雑ではありません。 第一に、不正を排除すること。逆粉飾は「言わない・やらない・許さない」と社内で徹底...
「裏技で切り抜けられる」。 そう考える経営者は少なくありません。 かし、経営危機に必要なのは「裏技」ではなく、条件を定め、準備し、決断を実行する力です。 これを私は経営者の法務リテラシーと呼んでいます。 やるべきことは複雑ではありません。 第一に、不正を排除すること。逆粉飾は「言わない・やらない・許さない」と社内で徹底...
「裁判所の再生手続を使えば最後は助かる」。 裁判所を使わず、金融機関や取引先との交渉に固執する会社は少なくありません。 しかし、資金が尽いた時点で再生手続に入っても、条件はすでに大きく劣化しています。 取引先は離れ、スポンサー候補は動かず、事業価値は下がり、条件は一気に不利になります。 選択肢は大幅に狭まるどころか、消...
「法的整理をするか、しないか」。 経営会議でこの二択が議論されているとき、その時点で問いが浅い証拠です。 経営に問われているのは、制度に入るか否かではありません。 本当に問われているのは、「どの未来を選ぶか」です。 選択肢は複数あります。 (1)既存経営陣での継続(コストの再設計)(2)社内承継や外部プロ経営者の導入(...
「何とかなる」。 再生の現場でこの言葉が出たとき、私は必ず数字を求めます。 「何とかなる」は、「何ともならない」からです。 経営危機は、感覚や気合では乗り切れません。 再生の第一歩は、ミエル化──すなわち現状を数字で可視化することです。 PL(損益)、BS(財産)、資金繰り(週次・日次ライン)、そして未来シナリオ。 こ...
「もう少し頑張れる」。 この言葉ほど危険な判断はありません。 経営の現場で使われるとき、それはすでに遅れている兆候です。 再生において最大の敵は、遅延です。 資金が尽きる直前では、スポンサー探索も事業譲渡も分社化も消えます。 選択肢は机上から消え、資金繰りに追われるだけになります。 だからこそ、基準を決めておくことが不...
「法的整理は最後の手段だから、できれば避けたい」。 多くの経営者がこう考えます。 しかし、この理解は誤りです。 法的整理の本質は清算ではなく再生です。 裁判所の制度を使い、債権関係を整理し、時間を確保するための正規の手続です。 任意の交渉では行き詰まった場面で、秩序を回復するために用意された仕組みです。 禁じ手ではあり...
ある会社での話です。 経営会議の場で、役員のひとりがこう言いました。 「この案件、正式な契約はまだだけど、先に動いてしまおう」「一昨日、ゴルフに行ったんだけど、先方のトップ以下3名が了解してたから、大丈夫でしょ」 その場では、誰も強く反対せず、話は流れていきました。 法務担当者も出席していましたが、何も言いませんでした...