現代のビジネス活動を支援するにふさわしい企業法務活動は、具体的にどのような活動を含むのでしょうか。
その射程範囲について述べていきます。
企業法務とは、企業経営に関わる法律業務全般を指しますが、活動理念や具体的活動内容、社外専門家との協働の要否等は扱う分野によって、大きく異なります。
例えば、他企業との取引や提携等を法務面から支援するという活動の場合、契約自由の原則が働くため、いかに交渉優位を勝ち取り、合意内容の書面化の段階で自己の要望を契約書に反映させるか等、徹頭徹尾、功利的・戦略的対応が求められます。
また、許認可取得の是非を巡る行政機関との折衝や違法不当な行政処分や行政指導へ対応する場合であっても、営業の自由(憲法22条1項)の観点から、違法不当な行政処分等に対しては、企業の正当な主張が展開できるよう法律技術面から支援しなければなりません。
他方、社内に企業の法令違反行為に起因する不祥事の萌芽が存在する可能性については厳しく目を光らせるとともに、役員・従業員個人の暴走が企業組織全体の危機に波及しないよう、内部統制システムを適正に構築し、厳格に運用しなければなりません。
契約事故・企業間紛争や企業の法令違反行為に起因する不祥事が訴訟等に発展した場合は、社外専門家である弁護士と協働し、必要な主張や証拠システムを適正に構築・整理し、裁判所等に対して効果的なプレゼンテーションをすることにより、判決なり和解なりの形で企業にとって有利な解決を勝ち取る活動を行います。
このように、一言に
「企業法務」
といっても、企業活動の全ての分野に関わり、多様な活動理念と活動内容を内包しています。
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著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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