ライセンス契約を行う上では、契約内容として、独占/非独占の別・ロイヤリティ算定方法・ミニマムギャランティ・契約期間・機密保持・テリトリー・源泉徴収税額の取扱・為替・解除条項・準拠法・仲裁条項等々、詳細な取引内容を取決める必要があります。
これらの取引の条件、内容ともにすべて交渉の際の綱引きで決まりますし、何も定めなかった場合(あるいは雑にしか定めなかった場合)は、ライセンスを受ける側(ライセンシー)は
「書いていないことはやっていいこと」
という解釈を前提に、たとえこちらに不利となったり、迷惑になるようなことであっても好き勝手なことをし始めます。
これが、取引や契約を規律する私法の根本原理である
「契約自由の原則」
の帰結です。
したがって、
「やられたら困ることは、すべて、事細かく、事前に、文書で書いておくべき」
であり、この手間や労力を惜しんで、雑に
「想定なことは信頼関係で」
といった取り決めしかしておかない場合のリスクは、全て、ライセンサーの不利な状況となって襲いかかります。
そして、これは、強い立場をもち、いくらでも細かく契約を取り決めることができるにもかかわらず、面倒くさがり、きっちり定めることを怠ったことによる当然の報いであり、自業自得、自己責任、因果応報の帰結として、法律上、救済の余地は一切認められません。
ライセンスする側(ライセンサー)としてライセンス契約を行う場合においては、
「基本的なことを定めて、後は信頼関係」
などという甘い考えは絶対禁物です。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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