裏書きした手形を、見ず知らずの人間に漫然と手渡した場合、ほぼ確実に大きなトラブルに巻き込まれます。
そもそも手形は色々な人の手に渡ることが前提となっているため、手形法上、手形譲渡にまつわる支払いトラブルについては、すべて譲渡した側に責任を負わせる仕組になっています。
手形をよく知らずに入手した素人の経営者の方で、見ず知らずの人間に
「取り立てをお願いする趣旨」
で手形を渡してしまうケースがありますが、その
「見ず知らずの人間」
は、実際には、取り立てなどせず、さらに、別の第三者に売却してしまうことが多く、これがトラブルになる典型的なパターンです。
最終的に手形を受領した第三者は、
「取り立てをお願いする趣旨」
で手形を渡したという事情があったかなんて知る由もありませんから(知っていても、知らないフリをするでしょうし)、その種のトラブルはすべて裏書人が負担すべきことになるのです。
このように、署名に関わった手形がいったん独り歩きすると、
手形を譲渡する過程で生じた
「滑った」「転んだ」などのトラブル
は、手形を取得した第三者に対しては一切弁解できなくなりますので、信用の基礎がない人間に漫然と手形を渡すことは絶対してはいけません。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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