取引や契約を規律する私法の根本原理である
「契約自由の原則」
は、欧米の私法原理としても採用されており、宗教的あるいは国家の特殊な政策が濃厚な非欧米国の企業等との交渉でない限り、万国共通のものと考えて差し支えありません。
そして、
「契約自由の原則」
というルールは、
「契約条件のありとあらゆる内容を、当事者間が合意する限り自由に決めていい」
という内容を意味し、したがって、国際契約においては、
「準拠法選択の自由」
「裁判管轄選択の自由(紛争解決方法として、裁判ではなく、仲裁を選択する場合には、仲裁地選択の自由)」
「契約言語選択の自由」
というものも、派生原理として当然も含まれます。
すなわち、契約書をどのような言語で記載するかも契約当事者同士の力関係で決まるのであり、
「国際契約だから英語でしなければならない」
というルールがあるわけではありません。
極端な言い方をすれば、アメリカの会社とフランスの会社とドイツの会社が、日本法を準拠法とし、リオデジャネイロを仲裁地とし、アラビア語で契約締結をしたってかまわないわけです。
相手が外国の会社であっても、ア・プリオリに
「国際契約なんだから、絶対英語で契約しなければならない」
などと考えず、もし、こちらが特許技術等相手の欲しいものを有していて、破談して困るのはこちらではなく外国会社の側、という状況の場合、
「ライセンスほしけりゃ日本語での契約に応じろ。いやなら、ゴー・ホームだ」
という形で強気に進めたってまったくかまわないわけです。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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