00237_意匠登録をしていなかったら、自社商品をパクられても、何も文句は言えないのか?

パクリ商品が販売された場合、もし、自社商品を意匠登録していれば、侵害の停止や予防のための措置、損害賠償請求に加え、謝罪広告等も求められます。

とはいえ、自動車や家電等であれば別ですが、玩具や雑貨や文房具といった廉価な製品を全て意匠登録するのは現実的でありません。

「下手な鉄砲」
を数打って市場の反応をみてみる、という戦略も一定の合理性があります。

突然どんな商品がどんなキッカケでヒットするかどうかわからないわけですから、長期の戦略にしたがって販売を取り組む主力商品でもない限り、逐一、意匠登録するのは大変です。

すなわち、意匠制度は、登録費用や手間の負担があるため、おもちゃのように多品種少量生産品で、はやりすたりの激しい(商品ライフサイクルの短い)ものには、マッチしない制度なのです。

とはいえ、意匠登録をしていなければすべてのパクリ商品を黙ってみていなければならない、というわけではありません。

すなわち、
「不正競争防止法」
という法律があり、模倣品を売るようなあくどい連中に対しては、この法律にもとづいてヤキを入れてやることができます。

ちなみに、この
「不正競争防止法」
という法律、本件のように模倣商品の販売を禁止したりすることはもとより、著名なブランドの無断使用の禁止、紛らわしい商品名の使用禁止から、営業秘密の侵害禁止、さらには外国公務員への贈賄禁止まで、いろいろな趣旨の規定がヤミ鍋のようにブチ込まれている法律で、使い方も広汎であり、権利救済を考えるときに伝家の宝刀のように使える法律です。

ですので、
「いかに自由競争とはいえ、こんな汚いやり方、ありかよ!」
というときにあたってみると打開策のヒントになることが書いてあり、知っておくと便利なツールです。

不正競争防止法は、商品の最初に販売の日から3年は、当該商品の形態を保護しており、形態模倣をされた被害者は、差止請求、損害賠償請求が可能です。

さらに、平成17年改正に刑事罰も導入され、商品形態の保護が強化されております。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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