かつて、上場企業の株式を買い集めた某ファンドのトップが
「土地やカネをため込んで株主に還元しないなら、とっとと解散して、株主に分配しろ」
と主張しましたが、会計上は永遠の生命を持つとされる会社といえども、法律上は株主の都合で何時でも解体することができます。
すなわち、株主が会社を解散することを決めれば、清算手続が開始され、負債をすべて弁済した後に残った財産(残余財産)が株式数に応じて山分けされ、会社は消滅します。
この清算手続には、裁判所の監督は行われず、通常の事業活動と同様、会社関係者のみで自主的に進めることができます。
しかし、このような清算手続(通常清算)を取れるのは、債務超過ではない会社に限られます。
債務超過会社や破綻会社の場合、債務弁済の過程で債権者間の不公平が生じる危険がありますので、裁判所が目を光らせる必要が生じます。
債務超過会社の破綻処理として一般的に考えられるのは、破産や民事再生ですが、裁判所から管財人や監督委員というお目付役が派遣され、強い監督や指導を受けなければならないほか、
「破産」
や
「民事再生」
というレッテルが貼られると、極めてネガティブなイメージが付きまとうことになります。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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