00318_「内部通報者」が「外部通報者」に豹変するリスク

公益通報者保護法は、公益目的で企業内部の非違行為を外部公表した従業員(公益通報者)を企業が不当に解雇することを禁じています。

この法律は、公益通報者を企業の報復的な解雇から保護することにより、従業員等が、解雇などの不利益を恐れずに企業の内部の不正等を通報することを可能としていますが、この法制度により、企業内で発生した問題が重篤化する前に早期に是正されるべきことが期待されています。

例えば、
「基準値以上の毒性を含む廃液を排出している工場がある場合、重篤な公害問題に発展する前の段階で通報を行う機会が保護されていれば、初期の段階で公害対策に取り組むことが可能となり、国民の健康を守ることができる」
といったものが公益通報者保護法の意図するところといわれています。

公益通報者保護法は、
「従業員等が、企業が設置した内部通報窓口等に通報すること」
を保護するだけではありません。

せっかく通報者が公益通報をしたにもかかわらず、一定の期間が経過しても通報先が何の調査も行わないような場合などには、通報者が
「その者に対し通報対象事実を通報することがその発生、またはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者」
に通報することを認めています。

要するに、企業内部の通報窓口に通報しても放置されたり、取り合ってくれなかったりした場合、
「企業の不正等により発生する被害やその拡大を防止するための一定の影響力を有する者」、
すなわちマスコミや政治家や圧力団体等に駆け込んで、企業内部の不正をベラベラしゃべっても問題ない、と法が積極的に認めているのです(これらを「内部通報」に対し、「外部通報」と呼ばれております。公益通報者保護法3条3号等)。

無論、法は
「外部通報を行ったことを理由とする解雇」
も禁止することで、通報者に対する手厚い保護を図っております。

なお、通報先が何の調査も行わない場合のほか、通報先から解雇などの不利益な扱いを受ける可能性が高い場合や、証拠の隠滅がされてしまうなどの危険性が高い場合には、即刻
「外部通報」
することも許されています。

著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所

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