00247_他者の労力やスキルを使う取引の設計:請負と委任と雇用をどのように使い分けるか

「お金をもらって仕事をする」というのは経済的には単純な話ですが、法律的には、それが請負ないし委任なのか雇用なのかはなかなか悩ましいところです。 悩ましいといっても、理論的な議論だけならいくらでも悩めばいいのですが、税務の問題が絡むと、議論の方向性を誤ると無用な税務リスクに発展するので、慎重に取り扱う必要があります。 さ...

00246_解雇ができない場合、どうやって、問題社員のクビを切るか

解雇をしたくても、解雇理由がない、あるいは、解雇理由があっても、労働契約法16条(「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」)によって、解雇権の濫用として、解雇が無効とされてしまう。 でも、この問題社員はなんとかクビにして追い出したい。 そ...

00245_解雇不自由の原則

労働法の世界では、解雇権濫用の法理といわれるルールがあるほか、解雇予告制度や即時解雇の際の事前認定制度等、労働者保護の建前の下、どんなに労働者に非違性があっても、解雇が容易に実施できないようなさまざまな仕組が存在します。 映画やドラマで町工場の経営者が、娘と交際した勤労青年に対して、「ウチの娘に手ぇ出しやがって。お前な...

00244_性悪説に立った契約書設計

今どきの契約書において、カネを払う側は、取引相手を「信頼に足り得る取引先」としてではなく、「契約書で縛っておかないと、あらゆる悪さをする危険のある、信頼できない奴」としたうえで、性悪説に立った契約書を取り交わし、厳格な法的管理を実行することがトレンドです。 「先生、信頼に足る適正な関係を構築するために必要な、関係構築哲...

00243_契約自由の原則:愚かでリスキーな契約上の立場に陥れられたら、それは自己責任であり、そんな愚かでリスキーな契約した方が全て悪い

民商事法の世界では、契約自由の原則という理屈があります。 これは、どのような契約を締結するかは当事者間の自由であり、公序良俗に違反しない限り、裁判官が理解して判決書ける程度に明確な条項を取り決めてあれば、どんな契約上条項も法的に有効なものとして取り扱う、という原則です。 逆に、契約相手を漫然と信頼して、本来契約内容にし...

00242_国際取引において、仲裁地の交渉がデッドロックになった場合のブレイクスルー・テクニック

国際契約においては、お互い仲裁地を譲らないことが多いです。 これによって、国際取引が暗礁に乗り上げてしまうことがあります。 無論、どちらかが契約交渉上に有利な地位を有していれば、力関係を通じて解決されます。 すなわち、強者が弱者に「契約条件についてオレの言うこときけないなら、契約はヤメだ」と要求すれば済む話です。 しか...

00241_管轄地・仲裁地の重要性

日本国内の会社同士の取引なんかですと、ある程度中味のしっかりした契約書を取り交わし、日常のコミュニケーションがしっかりしている限り、トラブルが裁判に発展するなんてことはありません。 とはいえ、いざ裁判になった場合、弁護士として一番気になるのは裁判管轄です。 サッカーや野球の場合、「試合の場所がホーム(当地)であるかアウ...

00240_売掛で商品を卸すということは、代金相当のカネを貸すのと同じ

売掛で商品を卸すということは、代金相当のカネを貸すのと同じです。 身なりや話しぶりだけで、いきなり新規取引先に売掛で商品を販売するような、物を知らない、世間を知らないベンチャー企業を見受けることがありますが、これは、見ず知らずの人に担保もなしにカネを貸したのと同じくらいアホなものだったということです。 代金引換で売り渡...

00239_著作者人格権:著作物を買った人間は、カネを払った以上、煮るなり焼くなり、いじくり回したり、落書きしたり、やりたい放題できるか?

資本主義社会においては、カネを持ってるヤツ、カネを出したヤツが一番エラい、というのがシンプルなルールです。 貧乏な芸術家に、シビれるくらいの大金を出して、絵画や彫刻を依頼して、作品の制作を委託した。カネに困っていた芸術家は、欣喜雀躍して、ひれ伏せんばかりに、制作を快諾した。 では、制作を委託した側は、出来上がった絵画や...

00238_知的財産権のデフォルトルール:権利は、誰のもの? 作った人? カネを出したスポンサー?

大工さんに家を造ってもらった場合、お金を払えば、当然ながら、出来上がった家は施主の所有となります。 「出来上がった家の所有権は代金支払と同時に施主に移転する」みたいなアホな条項を逐一契約書に記載する必要もありませんし、そんな当たり前なことが契約書に書かれていないことを盾にとって、大工さんが、「施主がこの家の所有者だなん...