役員が自分が企業から融資を受けるという場合、民事上、取引の有効性が否定されることや、役員が損害賠償責任を負うことに加え、刑事罰を受けるリスクまで想定すべきなのでしょうか。
「会社を取り巻く多数の利害関係者を調整する」
という目的を有する会社法は、役員による会社の私物化行為について、民事的な責任に加え、刑事罰による制裁を予定しています。
すなわち、会社の役員が、
「自己もしくは第三者の利益や会社に損害を与える目的」
で
「その任務に背く行為」
をし、
「会社に財産上の損害を加えた」
とき、特別背任罪として、厳しい処罰される可能性があるのです。
特に、会社が株式公開している場合、他のスキャンダルが追及される過程で、この種の
「微罪」
が出てくると、
「合わせ技一本」的
な政争の具として、使われる場合もあります。
その意味では、
「オーナーが会社からちょいと寸借したくらいで、ブタ箱行き」
ということは普段はありませんが、他の事件や事故の責任が追及するタイミングで、この種の話が出てくると、刑事責任リスクが高まることもあり得ます。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
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