例えば、観光ビザで来ていた外国人に会社の仕事を手伝わせた際できあがった作品を
「職務著作(法人著作)」
で
「お召し上げ」
できるか、というケースを考えます。
「観光ビザで来ていたんだし従業員の訳がない!」
などという文句が付けられた場合、当該外国人が、
「業務に従事する者」
に該当するかどうかが問題となります。
一般的に当該要件は、雇用関係にある従業員や役員であれば問題なく該当するとされていますが、この場合、明確な雇用契約の締結もないようです。
このような場合であっても、形式だけを見て職務著作の成否を考えるのではなく、前記の職務著作制度の意義から実質を検討しなくてはなりません。
実際、同種事例において最高裁は、
「指揮監督下において労務を提供するという実態にあり、法人等がその者に対して支払う金銭が労務提供の対価であると評価できるかどうかを、業務態様、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等に関する具体的事情を総合的に考慮して判断すべき」(最高裁2003<平成15>年4月11日判決)として、形式ではなく実質を見るべきであると判断しています。
著者:弁護士 畑中鐵丸 /著者所属:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所
【本記事をご覧になり、著者・所属法人にご興味をお持ちいただいた方へのメッセージ】
✓当サイトをご訪問いただいた企業関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいたメディア関係者の皆様へ:
✓当サイトをご訪問いただいた同業の弁護士の先生方へ:
企業法務大百科® 開設・運営:弁護士法人 畑中鐵丸法律事務所